評価年月日:平成23年5月27日
評価責任者:国別開発協力第二課長 小野日子
(1)供与国名
ブラジル連邦共和国
(2)案件名
ベレン都市圏幹線バスシステム計画
(3)目的・事業内容
ブラジル北部に位置するベレン都市圏において,バスレーン建設,バスターミナ ル及びバスステーションの新設等,幹線バスシステムの整備を実施するもの。
(ア)主要事業内容
1)バスレーン建設
2)バスターミナル及びバスステーションの新設
3)コンサルティング・サービス
(イ)供与条件
供与限度額 | 金利 ※ | 償還(うち据置)期間 | 調達条件 |
---|---|---|---|
164.12億円 | 0.5% | 30(10)年 | 一般アンタイド |
(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点
(ア)EIA(環境影響評価)
本件計画は都市環境改善を行う案件であり,内容面からも環境への望ましくない影響は重大ではないと判断される。
(イ)用地取得:約7ヘクタール,住民移転:発生せず。
(ウ)外部要因リスク:特になし。
(1)必要性
(ア)開発ニーズ
本計画対象のパラ州,ベレン都市圏においては近年の経済発展に伴い市街地が拡大し,交通渋滞が深刻化していることが喫緊の課題となっているが,その原因としては,ピーク時における旅客の移動手段の約75%を唯一の公共輸送手段であるバスが占め,過剰なバス車両数が幹線道路を占有してしまうことが挙げられ,高効率な輸送手段確立に対する開発ニーズは大きい。更に,パラ州は同地域の交通渋滞緩和策として,2008年に道路整備及び幹線バスシステム整備による都市交通システムの整備を目的とした大都市圏アクション計画を策定し,右計画の実施を後押ししている。
(イ)我が国の基本政策との関係
我が国の対ブラジル援助重点分野としては,(a)環境,(b)社会開発,(c)三角協力を掲げている。本計画は,近年の経済発展に伴い市街地が拡大し,交通渋滞が深刻化しているパラ州,ベレン都市圏における大気汚染対策の一環として実施されるものであるという観点から,同国の環境関連の支援として上記(a)に資するものであり,我が国の援助重点分野とも一致する。
(2)効率性
区間別に調達ロットをまとめることにより,コストの削減及び調達手続きの簡素化を図ることとした。事業実施中においても,契約及び工事進捗管理も効率よく行うことが見込まれる。
(3)有効性
本計画の実施により,ベレン都市圏の交通渋滞及び大気汚染の緩和を通じた都市環境の改善が期待される。具体的には,事業完成2年後の2017年には,事業対象区間(Martibua~Sao Braz間)のピーク時の走行所要時間が短縮(58分→35分)するとともに,10年間で約23万トン(CO2換算値・概算)の温室効果ガスの削減が見込まれる。また,ブラジルの経済・社会発展への貢献を通じた我が国との二国間関係の強化が期待される。
要請書,国際協力機構環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/index.html),その他国際協力機構より提出された資料。
案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/zyoukyou.html),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html)及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html
)を参照。
なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。