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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日:平成23年5月27日

評価責任者:国別開発協力第二課長 小野日子

1.案件概要

(1)供与国名
 ブラジル連邦共和国

(2)案件名
 サンパウロ州無収水対策計画

(3)目的・事業内容

 国全体の約23%の人口を抱えながらも水資源の乏しいサンパウロ州において,既存水資源を効率的に利用し,住民への安定的な水供給を図るため,給水管及び配水管の更新,水道メーターの更新等,上水道関連インフラの整備を行うもの。

(ア)主要事業内容

 1)給水管及び配水管の更新
 2)水道メーターの更新
 3)コンサルティング・サービス

(イ)供与条件

供与限度額 金利 償還(うち据置)期間 調達条件
335.84億円 1.7% 25(7)年 一般アンタイド

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

(ア)EIA(環境影響評価)
 本件計画は都市環境改善を行う案件であり,内容面からも環境への望ましくない影響は重大ではないと判断される。

(イ)用地取得・住民移転
 本計画において用地取得・住民移転は発生しない。

(ウ)外部要因リスク:特になし。

2.資金協力案件の評価

(1)必要性

(ア)開発ニーズ
 本計画対象のサンパウロ州は,2007年までにほぼ100%の上水道の普及率を達成している一方,配水量のうち収入を得られない水量の比率を示す無収水率は,漏水,メーター不備,盗水などにより,34.4%(2008年)となっている他,同州は国全体の約23%の人口(約4,164万人)を抱える一方で,水資源量は国全体の1.6%しかない。そのため,今後の水需要増加に対応するためには,配水管における漏水の最小化や将来の水供給事業安定化に向けた給水システム運用の効率化が課題となっており,本計画に対する開発ニーズは大きい。

(イ)我が国の基本政策との関係
 我が国の対ブラジル援助重点分野としては,(a)環境,(b)社会開発,(c)三角協力を掲げている。本計画は,ブラジル最大の人口と経済規模を有するサンパウロ州において既存水資源を効率的に利用し,住民への安定的な水供給を図るための,水源管理対策の一環として実施されるものであるという観点から,同国の環境関連の支援として上記(a)に資するものであり,我が国の援助重点分野とも一致する。

(2)効率性
 工事につき,類似の機材及びスペアパーツを可能な限り一つのロットにまとめることでコスト削減を図ることとした。事業実施中においても,契約及び工事進捗管理も効率よく行うことが見込まれる。また,実施機関であるサンパウロ上下水道公社に対しては,技術協力プロジェクトとして,漏水調査手法や無収水対策計画等における技術者研修を行ってきたことから,技術協力の成果を応用した高い相乗効果が見込まれる。

(3)有効性
 本計画の実施により,水資源の乏しいサンパウロ州において,既存水源の効率的利用による水需要への対応が可能となり,同地域の安定的な水供給が期待される。具体的には,事業完成2年後の2016年には,対象地域における無収水率の削減(34.4%→22.5%))が見込まれる。また,ブラジルの経済・社会発展への貢献を通じた我が国との二国間関係の強化が期待される。

3.事前評価に用いた資料,有識者等の知見の活用

 要請書,国際協力機構環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/index.html他のサイトへ),その他国際協力機構より提出された資料。
 案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/zyoukyou.html),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html他のサイトへ)及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html他のサイトへ)を参照。
 なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。

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