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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成23年3月15日

評価責任者:国別開発協力第二課長 小野日子

1.案件概要

(1)供与国名
 バングラデシュ人民共和国

(2)案件名
 パドマ多目的橋建設計画

(3)目的・事業内容

 バングラデシュのパドマ川を横断する全長6.15キロメートルの多目的橋(ガス管等併設を含む。)の建設等を行うもの。

(イ)主要事業内容

  • 土木工事(橋梁本体)

(ロ)供与条件

供与限度額 金利 償還(うち据置)期間 調達条件
342億円 0.01% 40(10)年 一般アンタイド

 

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

(ア)EIA(環境影響評価):EIA報告書は2010年9月にバングラデシュ環境森林省環境局承認済み。

(イ)用地取得及び住民移転:約1,185ヘクタールの用地取得と20,836人の住民移転及び資材置き場建設に伴う用地借用と一時的な住民移転(約300世帯)を伴うため,バングラデシュ国内法及び実施機関作成の住民移転計画書に沿って移転が行われる。住民移転計画は完成済み。2011年8月に手続完了予定。用地取得費は政府予算にて支弁される予定。

(ウ)外部要因リスク:特になし

2.資金協力案件の評価

(1)必要性

(ア)開発ニーズ
 バングラデシュはパドマ,ジャムナ,メグナ川の三大河川により4地域に分断されており,各地域間を橋梁・道路の建設で結ぶ交通ネットワークの整備は同国開発政策の喫緊かつ根本的な課題となっている。マワ-ジャンジラ間を隔てるパドマ川に架橋がなく,自動車交通はフェリー運搬により行われており(2010年時点で約3,600台/日)円滑な人的・物的移動が困難であることから経済発展が阻害され,南西部では引き続き貧困率が上昇している。本件橋梁の建設は,国土基軸である東部と同国南西部及びインド(コルカタ)をつなぐ同国の基幹インフラとしてのみならず,南西部の経済成長・貧困削減に貢献するものとしても重要性が高い(本架橋完成2年後の2017年には,13,696台/日の年平均日交通量が見込まれる。)。

(イ)我が国の基本政策との関係
 2006年5月策定の対バングラデシュ「国別援助計画」においては,今後のODAの重点目標として,バングラデシュによる貧困削減努力を支援するため,1)経済成長の持続(「経済成長を通じた貧困削減」を追求するためのインフラの整備等),2)社会開発と人間の安全保障及び3)ガバナンス(貧困削減を効果的・効率的に進めるための不可欠の条件)を掲げている。本件は,橋梁を建設しダッカ都市圏や他地域と南西部間の交通・物流の円滑化を図ることにより経済成長を促進する点で,1)の重点目標に対応した支援となっている。

(ウ)効率性
 本件は,世銀,ADBとの協調融資案件であり,調査・設計段階から情報共有を行い,また,調達などの手続きをADBに委託すること等により,関係機関同士で作業重複しないよう役割分担を行い,効率的な実施を確保している。

(エ)有効性
 バングラデシュの三大河川のうち唯一パドマ川のみ架橋がなく,南西部地域だけが現在でも他地域から分断されているが,本件計画の実施により,ダッカ都市圏や他地域との間で交通・物流の円滑化が図られる(首都ダッカ・クルナ間の所要時間が2010年の765分から2017年(完成2年後)には200分に短縮される。)ことにより,南西部地域の経済発展・貧困削減及びバングラデシュ全体の経済発展に寄与することが期待される。また,バングラデシュ経済・社会の発展を通じた我が国との二国間関係の強化が期待される。

3.事前評価に用いた資料、有識者等の知見の活用

 要請書,これまでの国際協力銀行環境社会配慮ガイドライン(本件は,2010年4月にバングラデシュ政府より要請された案件であるため,本ガイドラインを適用するもの)(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html 他のサイトヘ),その他国際協力機構より提出された資料。

 案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/zyoukyou.html),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース (http://www.jica.go.jp/press/index.html 他のサイトヘ)及び事業事前評価表 (http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html 他のサイトヘ)を参照。
なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。

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