評価年月日 平成23年7月1日
評価責任者:国別開発協力第三課長 石塚英樹
タンザニア連合共和国・ルワンダ共和国
ルスモ国際橋及び国境手続円滑化施設整備計画
本計画は,タンザニア及びルワンダの国境に位置するルスモ橋及び同国境の両国の関連施設等の整備を行うものである。本事業により,ルスモ国境橋の通行車両に対する重量及び速度制限の緩和や,双方の通関施設の集約による手続合理化等,交通の円滑化を図る。供与限度額は,37億2,000万円(タンザニア:18.6億円,ルワンダ:18.6億円)であり,ルスモ橋を架け替え,両国の国境手続円滑化施設を建設・改修し,また関連の機材を整備する。
以下の事項がタンザニア連合共和国政府及びルワンダ共和国政府により実施される必要がある。
(1)本計画により整備されるルスモ橋及び国境手続円滑化施設並びに供与される機材の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。
(2)施設・機材維持管理の要員確保等,活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。(1)内陸国であるルワンダは国家開発計画である「Vision 2020」等において,経済成長のためには道路関連の輸送基盤整備が不可欠としている。タンザニアにおいても,国家貧困削減戦略の中で,優先幹線道路の整備とともに,物流関連施設の改善を優先課題としている。
(2)両国が加盟する東アフリカ共同体(EAC)では,地域の共通の運輸政策として「東部アフリカ運輸交通改善計画」を策定し,加盟国間の国境通関の利便性向上に向けた取組を進めている。特に,同地域の国際幹線道路である中央回廊は,タンザニアの中心都市ダルエスサラーム(港)から,ルワンダとの国境に位置するルスモ橋を通過し,ルワンダの首都キガリに達しており,両国間の輸送路の中心である。他方,ルスモ橋は,現在一車線仕様で,かつ老朽化が進み,重量及び速度制限が課されており,特に大型車輌は約400キロメートルの迂回を余儀なくされるなど,増大する交通量に対応できていない。また,国境通関に多大な時間を要するため,両国間の国際物流の阻害要因となっており,同橋架け替えと国境施設の整備が重要な課題となっている。
(1)我が国は,これまで両国に対し,国境手続(税関)の運営能力向上を主たる目的として,技術協力プロジェクト「東アフリカ地域税関能力向上プロジェクト」を実施しており,本計画の効率性向上を図っている。
(2)ルスモ橋に耐候性鋼材を採用し,再塗装が不要等維持管理が簡易となる。また,国境手続円滑化施設については,建築仕材の種類を限定し,調達・工事・維持管理の合理化を図った。
(1)本件の実施により,以下のような成果が期待される。
ア.ルスモ橋の架け替えにより,車線が1車線から2車線へ拡幅され,重量制限が8トンから20トンに,速度制限が時速5キロメートルから同30キロメートルに改善される。
イ.双方の国境通過手続が集約され,今まで約14時間かかっていた国境手続が,5~10時間に短縮される。
ウ.国境通過時間短縮により物資の輸送コストが低減される。
エ.ルスモ橋が位置する中央回廊(タンザニア・ダルエスサラーム港始点)が整備され,北部回廊(ケニア・モンバサ港始点)に偏重している物流の平準化が図られ,東アフリカ全体の物流が円滑化する。
(1)タンザニア連合共和国政府及びルワンダ共和国政府からの要請書
(2)JICAの概略設計調査報告書