評価年月日:平成23年10月6日
評価責任者:国別開発協力第二課長 徳田修一
タジキスタン共和国
第二次クルガンチュベ-ドゥスティ間道路改修計画
本計画は現在実施中の「クルガンチュベ-ドゥスティ間道路改修計画」に続き,同一路線の17.9キロメートルの道路及び同区間に架かる橋梁の改修を行うことで,道路の走行性や安全性の改善等を図ることを目的とする。供与限度額は18.89億円。
以下の事項がタジキスタン政府により実施される必要がある。
(1)本計画により整備された道路及び橋梁の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。
(2)維持管理に必要な予算措置を行うこと。
(1)国土の93%が山岳地帯のタジキスタンにおいて,首都や主要都市から隣国へ通じる幹線道路は,国内の物流だけでなく周辺国との交易にも利用され,同国経済を支える主要なインフラである。しかし,道路の殆どは旧ソ連時代に建設されたものであり,建設後30~40年経過したこれら道路は,道路や橋梁等の劣化が著しく進行している状態にあるものの,予算及び機材不足から抜本的な改修が実施されていない区間が多い。
本計画の対象区間も,内戦や経年劣化による道路舗装及び橋梁等の損傷・老朽化が進行しているものの,限られた予算の中で日常的な維持管理しか実施されていない。
(2)タジキスタン政府は計画的なインフラ整備を実施するために「長期運輸開発計画」を5年毎に策定し,幹線道路網の整備を進めているが,慢性的な予算不足が続いており,外国や国際機関からの援助に依存しながら,道路インフラ整備を進めざるを得ない状況にある。クルガンチュベ-ドゥスティ間に位置する本計画の対象道路は,「2006年から2015年までの国家開発戦略」においても最重要路線として位置づけられており,現在までにアジア開発銀行によるドゥシャンベ-クルガンチュベ間の道路改修,我が国によるドゥスティ-ニジノピャンジ間の道路改修,米国によるアフガニスタン国境に架かるニジノピャンジ橋の建設が実施された。またクルガンチュベ-ドゥスティ間の一部は現在我が国による道路改修を実施中である。本計画の対象区間17.9キロメートルが整備されれば,ドゥシャンベからアフガニスタン国境に至る道路全線が整備されることになり,早期の抜本的な改修が必要とされている。
橋の架け替え(5橋梁中4橋)については,灌漑用水路の水位が低い渇水期(12月~4月)にしか工事を行えないボックスカルバート方式ではなく,年間を通じて工事可能な鋼橋及びRC橋(ポータルラーメン方式)を選定し,工程上の制約を取り除いた。また相手国負担事項となる水道管等の移設には移設期間を十分に見込む必要があるため,その移設を極力減らす設計にして効率化を図った。
本計画の実施により,以下のような成果が期待される。
(1)現行の安全な走行速度30キロメートル/時が73キロメートル/時に向上することで,輸送時間の短縮が可能になる。また路肩の付帯による歩行者・自転車と走行車両の分離により,道路交通の安全性が向上する。
(2)タジキスタンとアフガニスタン,パキスタンを結ぶ広域幹線道路としての機能が発揮され,地域の物流・人的交流が促進される。またアフガニスタンへの支援物資等の物流促進も見込まれ,アフガニスタンの自立促進にも寄与する。
(1)タジキスタン政府からの要請書
(2)JICAの基本設計調査報告書(JICAホームページより入手可能)