評価年月日 平成23年7月5日
評価責任者:国別開発協力第二課長 小野 日子
パラグアイ共和国
コンセプシオン市,ピラール市給水システム改善計画
本計画は,パラグアイの地方二都市(コンセプシオン市及びピラール市)において,老朽化した取水施設の改修及び浄水施設の新設と及び関連の技術指導を行うもの。本計画によって,より多くの地域住民が,衛生的で安全な飲料水を得ることが可能となり,水因性疾患の減少に寄与する。
供与限度額は14.89億円。
以下の事項がパラグアイ国政府により実施される必要がある。
ア 配水池の整備,送水管の更新等,パラグアイ側の負担工事に必要な予算措置を行うこと。
イ 本計画により改修・新設された施設の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。ア パラグアイでは,経済開発戦略計画等において,全国の上水道普及率を2015年までに80.5%とすることを目標としているが,2008年の普及率は68.4%に留まっており,首都圏のみならず,地方の上水道の改修・拡張が急務となっている。
イ コンセプシオン市及びピラール市では,取水及び浄水等の上水道施設(1979年建設)の老朽化が激しく,また,河川水を適切に浄水処理するシステムが整備されていないため,水質基準を満たした安全な飲料水を供給できない状況にあり,水因性疾患(下痢,寄生虫等)の原因の一つとなっている。さらに,需要量に対する平均給水量の割合は,コンセプシオン市で75%,ピラール市で71%に留まっており,今後,給水人口の増加も見込まれることから対応が急務となっている。
ウ このような状況の中,パラグアイ政府は,両市の給水システムの改善を計画したが,同国の厳しい財政状況から施設改修・新設が困難なため,我が国に無償資金協力を要請したものである。
ア 取水施設の改修においては,既存の取水塔躯体を活用し,ポンプ及び周辺機器類の更新のみを行うこととした。
イ 施工工程は,コンセプシオン市及びピラール市で同種の構造物が建設されることから,可能な限り仮設資機材の共有を図り,経済的かつ効率的な工程となるよう策定した。
本件の実施により,以下のような成果が期待される。
ア 給水人口が,コンセプシオン市で約2万6千人から約3万1千人に,ピラール市で約2万2千人から約2万7千人に増加する。
イ 衛生的かつ安全な飲料水の配水が可能となり,下痢性疾患等をはじめとする水因性疾患の減少に寄与する。
ウ 施設の運用及び維持管理に係る技術指導により,パラグアイ側の運転管理員に正確な浄水知識が蓄積され,浄水場の運転管理技術が向上する。JICAの基本設計調査報告書(JICAホームページを通じて入手可能)