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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成23年5月30日
評価責任者:国別開発協力第二課長 小野日子

1.案件名

1-1.供与国名

 ニカラグア共和国

1-2.案件名

 マナグア-エルラマ間橋梁架け替え計画

1-3.目的・事業内容

 ニカラグアにおいて,貧困度の高いカリブ海側地域の経済活性化と,隣国のコスタリカやホンジュラスを始めとする中米各国との貿易促進を目的として,同国の太平洋側とカリブ海側を結ぶ中央部幹線道路上に位置する3橋梁の架け替え等を行う。同路線は,中米地域の国際幹線道路「大西洋輸送回廊」の一部を成す。それぞれの橋長は,(1)ラス・バンデラス橋100.5メートル,(2)テコロストーテ橋100.8メートル,(3)ラ・トンガ橋99.7メートル。供与限度額は18.78億円。   

1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

  以下の事項がニカラグア共和国政府により実施される必要がある。

(1)本計画により整備される橋梁・取付道路の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。

(2)関連活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。

2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性

(1)2007年1月に発足したニカラグアの現政権は,国家開発計画に基づき,交通・物流の中心である道路網の整備に取り組んでいる。その中でも,特に中米諸国全体のインフラ統合を目的としたメソアメリカ計画が同地域の国際幹線道路と位置づける太平洋輸送回廊及び大西洋輸送回廊の整備並びに貧困層が多く居住する同国西部カリブ海側地域と東側の首都マナグアを結ぶ幹線道路の整備を重視している。

(2)しかしながら,大西洋輸送回廊上に位置し,同時にニカラグアのカリブ海側地域と太平洋側の首都マナグアを結ぶ主要幹線道路上にも位置する本件対象の3橋梁は,建設後50年以上が経過するなどして老朽化が進んでいるのみならず,洪水による被害・車輌衝突等のため深刻な損傷を受けたままとなっている。また,幅員が狭く1車線しか確保できていないことからも,円滑で安全な国際・国内物流の確保及び地域経済の活性化に支障を来している。

(3)このような状況を受け,ニカラグア政府は,当該幹線道路上で未整備のまま残されている3橋梁の架け替え等を目的に,我が国政府に対し,本件橋梁整備のために必要な資金につき無償資金協力を要請してきたものである。

2-2.効率性

(1)事前の現地調査において既存橋の構造的危険性の深刻度及び交通のボトルネックの深刻度等を調査・評価し,ニカラグア政府と確認した上で,本件計画の対象を3橋梁とした(当初要請は4橋梁)。

(2)ニカラグア側の運営・維持管理担当機関の維持管理能力・技術力・予算等にも配慮しつつ,適切に橋梁の構造等を確定した。

2-3.有効性

(1)現在の1車線橋が2車線橋になることで,各橋梁の車輌通過に際し,平均4.5分(停車時間+橋梁前後の徐行時間)の時間短縮が見込まれ,円滑な交通が確保される。

(2)老朽化や主要部材の変形・破断等のため崩落の危険性も有している本件対象橋梁を整備することで,交通の安全性が確保される。

(3)当該橋梁が位置する幹線道路の信頼性向上により,ニカラグアにとって主要な輸出先であるコスタリカ等への輸出がより容易になり,これにより,オレンジや肉牛の生産額の増加等,地域経済の活性化が促される。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)ニカラグア共和国政府からの要請書

(2)JICAの基本設計調査報告書

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