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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成23年5月27日
評価責任者:国別開発協力第一課長 清水茂夫

1.案件名

1-1.供与国名

 モンゴル国

1-2.案件名

 ウランバートル市水供給改善計画

1-3.目的・事業内容

 本計画は,首都ウランバートル市における水供給施設(取水井戸,送配水管等)を整備することにより,人口の急増やゲル地区(遊牧民移入地)の拡大,集合住宅地区への人口移動に伴う水需要の増大に対応するため,水供給能力を拡張するもので,供与限度額は33億500万円である。  

1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

  以下の事項がモンゴル国政府により実施される必要がある。

(1)配水池の建設等モンゴル側負担工事の品質を確保し,全体の実施工程から遅延のないようにすること。

(2)本計画により整備された水供給施設の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。

(3)本計画により整備された水供給施設の供用開始後,水使用量の増加に伴う地下水水質への影響評価を行うとともに,悪影響が確認された場合,下水処理能力を強化すること。

(4)活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。

2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性

(1)ウランバートル市の上水道施設は,1950~1980年代にかけて旧ソ連の援助のもとに建設され,その後同市の自助努力あるいはドナーからの支援を受け,施設整備による給水能力拡大,漏水対策,節水啓発を行っている。他方,人口の急増,ゲル地区の拡大,集合住宅地区への人口移動に伴う水需要の増大により,水供給能力の拡張が急務となっている。

(2)特に,ゲル地区では,飲料水販売所で生活用水を購入しており,水利用量は,集合住宅居住者が約230リットル/人/日であるのに対し,ゲル地区居住者は約7リットル/人/日と極端な格差が生じている。ゲル地区では,飲料水販売所においても,水供給量の不足から給水が止まっている間利用者は給水の再開を待ち続けなければならず,飲料水販売所からの水以外に不衛生な水を使用している居住者もみられる。

(3)現在,同市では,4ヶ所の水源地において地下水を揚水して給水しているが,既存水源はいずれも増給水が困難であり,間もなく現在の給水能力を需要が上回ることが予測されている。このため,同国は我が国に対して,調査において最適地として提案されている市東部における新規の水源地の開発について,本計画実施を要請したものである。

2-2.効率性

(1)本計画に必要な資機材は可能な限り現地調達とし,現地調達が不可能なものや品質・仕様等が現地調達可能な資機材で適合しないもの等は日本調達とする計画とした。

(2)冬季において凍結地面の掘削が困難になる点や,コンクリート打設等が不可能となる点を考慮した効率的な施工計画を策定した。

2-3.有効性

(1)本件の実施により,以下のような成果が期待される。

  • 水源の開発と送配水管の整備により,同市の給水量が25,200立方メートル/日増加する(現状240,000立方メートル/日)。この増加分はゲル地区の住民約39万人及び集合住宅地区の住民約4万人分の水需要量に相当する。
  • ゲル地区の住民約39万人の一人当たりの使用可能水量が7リットル/日から25リットル/日に増加する。
(2)我が国は,1990年の同国の民主化への移行開始後,これまで最大の援助国として積極的に支援しており,二国間関係は幅広い分野で着実に発展。「戦略的パートナーシップ」の確立という共通の目標を掲げ,新たな段階に二国間関係を引き上げるための取組を強化しており,本計画の実施は,両国の友好関係の更なる強化に資することが期待される。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)モンゴル国政府からの要請書

(2)JICAの準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)

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