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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成23年6月8日
評価責任者:国別開発協力第三課長 石塚英樹

1.案件名

1-1.供与国名

 マリ共和国

1-2.案件名

 「第四次小学校建設計画」

1-3.目的・事業内容

 本計画は,首都及び首都圏近郊の人口増加率の高いバマコ特別区,カイ州,クリコロ州における小学校46校216教室等の建設,教育機材の供与及び学校運営維持管理等に関する技術指導を行うものである。供与額は,10.11億円。

 マリ共和国は,地方分権化及び国営企業の民営化を積極的に推進しながら,貧困削減に向けた積極的取組を行っている。我が国は,同国の貧困削減及び経済改革努力を支援するため,基礎生活分野(水供給,教育,保健・医療)や基礎インフラ分野(道路,橋梁等)に対し,無償資金協力を実施している。

1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

(1)本案件は,小中学校の教室等の整備を主たる内容としており,特段の環境社会影響は想定されないところ,JICA環境社会配慮ガイドラインにおいてもカテゴリーC(環境社会への影響が最小限)に分類される。

(2)以下の事項がセネガル政府により実施される必要がある。

ア 本計画により建設される教室等の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。

イ 活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。

2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性

(1)マリ政府は,1998年に教育開発10ヶ年計画を策定し,2012年までに初等教育就学率を95%に向上させる目標を掲げている。同国では,右目標の実現及び教育環境改善に向けて,18,000教室の建設に取り組んできており,初等教育就学率は60.9%(2001年)から,82%(2008年)と年々改善されている。

(2)しかしながら,急激な生徒数の増加及び施設の老朽化等に対し,施設整備がいまだ不十分であり,過密状態での教室の使用や倒壊の危険のある日干し煉瓦造りの教室の使用を余儀なくされているところも少なくない。入学する生徒数に制限を設けたり,クラスを午前・午後に分割する二部制の導入,複数クラス合併の複式学級の実施にて対応してきているものの,このような授業形態では,年間教育課程を修了できないため,生徒の学力低下のみならず,留年の要因にもなっている。このため,生徒数の増加に応じた教育環境改善及び安全性が確保された施設整備が早急に必要である。

(3)このため,マリ政府は,首都及び首都圏近郊の人口増加率の高いバマコ特別区,カイ州,クリコロ州における教育環境改善に必要な資金につき,我が国に無償資金協力を要請してきたものである。本計画は,我が国がアフリカ開発会議(TICAD IV)で表明した小中学校1,000校(約5,500教室)の建設支援及びミレニアム開発目標の達成に資することが期待されるところ,実施の意義は大きい。

2-2.効率性

(1)工事監理及び資材管理の観点より,対象地域,施設規模及び機材供与の範囲を決定し,事業の効率的・効果的実施に努めた。

(2)技術協力プロジェクト「学校運営委員会支援プロジェクト(みんなの学校)」との相乗効果を図り,本件実施後の学校施設の運営・維持管理体制の構築を強化する。

(3)他ドナーが実施した教室建設事業(面積,仕様,平米単価等)と本事業を比較した上で,適切な設計・仕様を決定するとともに,コスト削減に努めた。

2-3.有効性

(1)対象校46校において,使用可能な教室が309教室から525教室に増加し,老朽化及び過密状態で学習している生徒が約33,000名から,約6,700名に減少する。

(2)教育環境の改善により,対象地域(バマコ特別区,カイ州,クリコロ州)の就学率の上昇及び留年率の改善に寄与することが期待される。

(3)衛生環境改善に関する指導により,生徒らの保健衛生に対する関心が高められ,衛生設備(トイレ)が適切に使用・維持管理される。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)マリ政府からの要請書

(2)JICA事業化調査報告書(JICAを通じて入手可能)

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