1．案件名

1－1．供与国名

　マラウイ共和国

1－2．案件名

　「第二次中等学校改善計画」

1－3．目的・事業内容

　本計画は，マラウイ北部及び中部のコミュニティ中等学校6校において施設及び機材を改善し，計画対象地域の就学人数を倍増させるとともに，教育環境の改善を図るものである。供与額は10億8,500万円であり，一般教室，理科実験室，管理・図書室等及び女子学生寮（寮は農村部の5校のみ）の施設及び教育用家具，理科実験器具等の機材の整備を行うものである。

1－4．環境社会配慮，外部要因リスクなど留意すべき点

　以下の事項がマラウイ共和国政府により実施される必要がある。

（1）本計画により整備される教育施設の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。

（2）先方政府が本計画により増員される教職員の人件費等の予算確保を適切に行うこと。

2．無償資金協力の必要性

2－1．必要性

（1）マラウイ政府は，教育の普及をその開発重点分野とし，「国家教育セクター計画（2008～2017）」において，中等教育の就学者増加，公平性の担保，教育施設の改善及び効率的な利用促進を優先課題として掲げている。また，1994年に初等教育を無償化して以来，初等・中等教育の就学者数が激増した。初等教育修了児童の増加に伴い，中等教育就学者数も約5万人（1993年）から約24万人（2010年）へと増加した。政府は，地域社会が建設した成人教育施設をコミュニティ中学校に格上げする等，教育事情に対応してきたが，依然として就学者数の増加に施設整備が追いつかず，その不足が深刻な問題となっている。

（2）公立中学校の80%を占めるコミュニティ中等学校では，一般教室の不足に加え，理科実験室や図書室など中等学校として必要な施設が不足し，十分な教育環境が整備されていない。

（3）また，地方部では遠距離による通学困難や寮施設の未整備のため，女子生徒の就学率が低く，女子生徒の比率が全体の42.9%と低くなっている。

（4）このような状況の下，マラウイ政府は，教育環境整備の遅れているコミュニティ中等学校の整備に必要な資金につき，我が国に無償資金協力を要請したものである。

2－2．効率性

（1）本計画を実施するに当たっては，中等教育レベルとしての学校運営・カリキュラム実施に最低限必要な施設及び機材の整備を行い，事業の効率的・効果的実施に努める。

（2）設計に当たっては，マラウイにおける他ドナー（世界銀行及びアフリカ開発銀行）による中等学校施設標準プランに準拠した計画を基本としながらも，利用実態や日本の設計事例等も踏まえ面積規模を縮小するなどし，事業実施の効率化を図る。

2－3．有効性

　本件の実施により，以下のような成果が期待される。

（1）教室の増設により，生徒収容能力が約2倍（1,014名→約2,240名）となり，約1,226名の児童が新たに中等学校に就学可能となる。

（2）理科実験室，図書室等が新たに整備されることで，教育環境が改善され，正規カリキュラムに沿った授業の実施が可能となる。

（3）女子寮が整備されることにより，遠距離通学や通学困難により学業の継続を断念していた女子生徒数が減少し，就学率の向上や留年率及び退学率の低下が期待される。

（4）教育分野での社会開発を図る本案件は同国の一層の安定，更には二国間関係の強化に寄与し，実施の意義は大きい。また，我が国はTICAD IVにおいて小中学校の建設支援を表明しており，本件は同公約の実現に資する。

3．事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

（1）マラウイ共和国政府からの要請書

（2）JICAの概略設計調査報告書