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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成23年7月28日
評価責任者:国別開発協力第一課長 横山 正

1.案件名

1-1.供与国名

 ラオス人民民主共和国

1-2.案件名

 ビエンチャン国際空港拡張計画

1-3.目的・事業内容

 本計画は,内陸国ラオスの玄関口として,また,観光分野をはじめとする経済活動の拠点として重要な役割を担っているビエンチャン空港において,施設の拡張及び機材の整備を行うことで,同空港の安全性・保安体制を向上させるとともに,将来的な航空需要の増加に対応しうる施設を整備することを目指すものであり,供与限度額は19.35億円である。

1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

(1)環境社会配慮
 工事中の汚水等に対する対策を行う。
 本件は,既存の空港敷地内で行うため,環境社会への望ましくない影響はほとんどないと考えられる。

(2)外部要因リスク
 ビエンチャン空港の近郊に新空港の建設がなされる等,ビエンチャン国際空港の需要が大幅に減少するような事由の発生。
 関連のICAO基準に大きな改正が生じること。

(3)先方負担事項
 主に以下の事項がラオス政府により実施される必要がある。  

 ア 気象観測施設及びエプロン内施設の移設
 イ 国際線受託手荷物検査のためのX線機材用シェルターの解体・組立及び新設
 ウ 消防車及び救急機器用運搬車用の機材調達及び消防所の増築

2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性

(1)ラオスの国家開発計画「第6次国家社会経済5カ年計画(NSEDP)」において,社会経済開発のためのインフラ整備が課題とされ,この中で航空分野は,国際観光及び外貨獲得のために必要不可欠な交通手段として位置づけられている。

(2)ビエンチャン国際空港は,ラオス全体の玄関口として,また,観光分野を始めとする経済活動の拠点として,重要な役割を担う同国内最大の空港であり,年間約96万人の旅客と約1400トンの貨物を取り扱っている。

(3)国際民間航空機構(ICAO)は,空港に関する国際的な基準を定めており,ラオスはICAO加盟国としてその基準を遵守する義務がある。しかしながら,ビエンチャン国際空港では,X線検査機や消防車両などの空港設備の不足や既存設備の故障・老朽化によって,ICAOの基準に十分対応できておらず,これら機材の新規調達,更新等が必要となっている。

(4)また,現在,ビエンチャン国際空港には8箇所の駐機場があるが,2000年から2009年までの航空旅客数の年間増加率(平均9%)とラオスの経済成長の動向を勘案すると,2018年には14箇所,2023年には21箇所が必要になる見込みである。既に,国際会議の開催や外国政府要人の訪問に伴い複数の大型機が利用する場合には駐機場が不足し,小型・中型の定期便の運用が著しく制限されるほか,移動中の航空機と駐機中の航空機の間に確保すべきICAO基準に基づく安全な離間距離が確保できていない状況にある。以上から,安全性確保及び将来需要への対応のため,エプロンの拡張が必要となっている。

(5)このためラオス政府から我が国に対し,ビエンチャン国際空港の拡張についての協力が要請された。

2-2.効率性

(1)エプロン拡張に関して,コンクリートブロックのサイズを既存のものよりも大きくとることで,作業回数を少なくし,工期の短縮をはかる。

(2)機材調達に関して,ラオス政府の維持管理能力及び財務負担能力等を勘案の上で,必要かつ最小限の機材計画を策定する。

(3)施工に関して,ラオスの雨季(5月から10月までの6か月間)においては,工事の稼働率及び舗装の品質等が低下することを踏まえて,効率的な施工スケジュールを定めるとともに,施工時の雨への対策に配慮する。

2-3.有効性

(1)直接的には,エプロンの拡張による航空機接触の可能性の低減,民間航空機による軍用施設の使用低減,不法行為に対する空港保安水準の向上及び航空機事故等による緊急時対策の強化により,空港運用が国際的水準を満たし,空港の安全性が向上する。

(2)また,空港処理能力に係る制約要因が取り除かれ,航空輸送産業の振興,観光業の振興,投資環境の改善に資する。

(3)我が国は,1955年の外交関係樹立以降,ラオスと友好関係を築いてきており,加えて,昨年11月の日メコン首脳会議においてメコン地域への一層の協力を表明している。ラオスが重視する本計画を支援する外交的意義は大きく,日本とラオスの二国間関係強化への効果が期待される。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)ラオス人民民主共和国政府からの要請書

(2)JICAの準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)
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