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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成23年5月30日
評価責任者:国別開発協力第1課長 清水 茂夫

1.案件名

1-1.供与国名

 インドネシア共和国

1-2.案件名

 プルイット排水機場緊急改修計画

1-3.目的・事業内容

(1)本計画は,人口の集中,気候変動の影響による降雨の不規則化により,洪水災害に対する脆弱性が一層増大しているインドネシアの首都ジャカルタにおいて,中心市街の排水機能を担っているプルイット排水機場が機能不全に陥っていることから,同排水機場の改修を行い,ジャカルタ中心部の洪水被害の防止及び低減を図るもの。

(2)本計画では,プルイット排水機場の東ポンプ場の排水設備の設置(排水ポンプ及び建屋の建設等)及び同排水機場海側の防潮堤改修を行う。供与限度額は,19億8,500万円である。

1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 以下の事項がインドネシア共和国政府及びジャカルタ特別州政府により実施される必要がある。

(1)インドネシア公共事業省水資源総局の監督の下,ジャカルタ特別州公共事業局が施設の運営・維持管理を適切かつ継続的に実施すること。

(2)関連活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。

2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性

(1)ジャカルタは,低平な扇状地に位置し,多数の河川が貫流するという地形的条件から,長年にわたり洪水被害が繰り返されてきているが,過度の人口集中と無秩序な住宅密集地の形成により,洪水被害に対する脆弱性が増大している。

(2)同市中心部の約34平方キロメートルの区域の雨水及び下水の排水調整の基幹設備であるプルイット排水機場は,2009年2月に発生した海水流入により東ポンプ場を中心に機能不全に陥っており,排水能力が著しく低下している。

(3)同市は,インドネシアの政治・経済活動の中心であり,我が国企業を初めとする外国企業も多数活動している他,在留邦人も多く滞在している。

(4)このような状況から,洪水対策における同排水機場の重要性に鑑みて同排水機場の早期の本格的な機能回復が求められており,同排水機場の改修を行う必要性が高いものと判断される。

2-2.効率性

(1)ポンプ性能及び台数を検討する際に,インドネシア政府とも協議の上,排水能力を維持したまま,排水機場建屋及びポンプ設備にかかる経費を低減することに配慮した。

(2)地盤沈下が進んでいる地域であることを踏まえて,将来の地盤沈下を想定し,沈下に対する対応性,施工性,維持管理の容易性,経済性を考慮した排水方式を採用した。

2-3.有効性

(1)ジャカルタ中心部の排水機能の回復により,ジャカルタ北部の人口約18万人の洪水被害の危険性低減が期待できる。

(2)浸水によるジャカルタ北部地区の漁港,工業地帯,鉄道駅,発電所,住宅街などの重要施設への被害及びこれらに関連する経済活動等への被害の防止及び低減が期待できる。 

(3)両国で合意した首都圏投資促進特別地域構想(MPA)において,同排水機場の改修が早期実施候補案件に指定されているなどインドネシア政府の注目も高い事業であることから,二国間関係の促進に資すること及び首都圏投資環境改善に貢献することが期待できる。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)インドネシア共和国政府からの要請書

(2)JICAの基本設計調査報告書(JICAを通じて入手可能)

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