広報・資料 報告書・資料

政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成23年5月30日
評価責任者:国別開発協力第二課長 小野日子

1.案件名

1-1.供与国名

 ホンジュラス共和国

1-2.案件名

 首都圏地滑り防止計画

1-3.目的・事業内容

 首都テグシガルパ市の地滑り発生リスクの高い地区において,住民の安全を確保し,災害に強い都市を形成することを目的に,集水井(10基),水路(約5,330メートル),排土・盛土(約4万立米)等の地滑り防止施設の建設及び地滑り状況の測定・警戒避難体制の整備を行う。供与限度額は10.53億円。   

1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

  以下の事項がホンジュラス共和国政府により実施される必要がある。

(1)本計画で整備される地滑り防止施設の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。

(2)関連活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。

2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性

(1)ホンジュラス政府は,1998年の大型ハリケーン「ミッチ」による甚大な被害以降,自然災害対策や気候変動対策への取組を一層重視している。同国の「国家計画2010-2022」において気候変動の緩和及び適応が目標として掲げられているほか,2010年には同計画に基づいて気候変動国家戦略が策定され,大統領府直轄の国家防災委員会,公共事業・交通・住宅省,各自治体の防災委員会等による相互連携のもとで,自然災害対策等に取り組む体制が構築されている。

(2)しかしながら,傾斜地の多い盆地に発達した首都テグシガルパ市では,地滑りや洪水による河川氾濫の危険性の高い地区が特定されているにもかかわらず,政府やテグシガルパ市の予算不足,上記(1)の担当諸機関における地滑り防災についての経験・技術の欠如などから,現在も適切な地滑りの抑止や災害発生時の対策等が取られていない。

(3)このような状況を受け,ホンジュラス政府は,テグシガルパ市で地滑りの発生・災害リスクの高いエル・ベリンチェ地区及びエル・レパルト地区における地滑り防止施設の建設及び地滑り状況の測定・警戒避難体制の整備を行うことを目的に,我が国政府に対し,本件計画実施のために必要な資金につき無償資金協力を要請したものである。

2-2.効率性

(1)構造物対策のみではなく,警戒・避難体制の整備等の技術支援を組み合わせることにより,総合的に地滑り災害の危険性を軽減する。

(2)構造物対策では,経済性も考慮し,多額な投資を必要とする抑止工ではなく,抑制工を採用。

【注】 抑止工:杭の不動地盤への挿入などにより,地滑りの動きを直接抑え,地滑り運動を停止させる工法。

抑制工:地形・地下水の状態などを変化させ,地滑りの動きと抵抗力のバランスを改善し,地滑り運動を停止または緩和させる工法。

2-3.有効性

(1)地滑りや洪水発生の危険性を軽減するとともに,警戒・避難体制を整備し,周辺住民約5,300世帯の安全が確保され,災害に強い都市が形成される。

(2)本計画の実施により,地滑り対策の知見が蓄積され,同国の他の地滑り危険地区に対するモデルケースが確立され,他の地域への波及効果が形成される。

(3)防災分野は対中米諸国支援のひとつの柱となっており,本計画の実施はホンジュラスのみならず,広域協力の観点から中米各国にも事業例として技術移転が期待される。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)ホンジュラス共和国政府からの要請書

(2)JICAの基本設計調査報告書

このページのトップへ戻る
目次へ戻る