評価年月日 平成23年5月2日
評価責任者:国別開発協力第三課長 石塚英樹
エチオピア連邦民主共和国
アムハラ州中学校建設計画
本計画は,エチオピア連邦民主共和国で二番目に人口の多いアムハラ州において,中学校8校の新設及び既存の中学校9校の拡張を行うものであり,中等教育を受ける機会の拡大と,生徒の就学環境改善を目的とする。供与限度額は12億800万円であり,合計292教室を建設し,学校家具・教育機材の供与を行う。
以下の事項がエチオピア連邦民主共和国政府により実施される必要がある。
ア 本計画開始前に,建設予定地の造成工事,地下及び地上障害物の除去,建設予定地への連絡道路の整備を行うこと。
イ 関連活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。
ウ 本計画により建設された建物の再塗装や光熱費の負担等,維持管理を適切かつ継続的に実施すること。ア エチオピアは2015年までの初等教育の完全普及を目指し,初等(1~8学年)及び中等(9~12学年)教育機会の拡充及び教育の質の向上に取り組んできた。その結果,エチオピア政府の努力や我が国を含むドナーによる支援により,エチオピアの初等教育就学率は41.8%(1997/98年)から94%(2008/09年)に改善した。しかし,中等教育に関しては,前期中等教育(9~10学年)就学率は同期間に8.8%から38.1%と改善してはいるものの,進学率は未だ限定的である。また,初等教育の生徒数が近年急激に増加したため,教室数の不足,教室の過密化,質の高い教員の不足等,新たな課題が生じている。
イ 本計画対象地域であるアムハラ州の初等教育就学率は98.4%であるのに対し,前期中等教育就学率は38.4%にとどまっている。同州は,中等教育の1教室あたりの生徒数を40名と定めているが,実際の生徒数は1教室当たり平均64名であり,教室数の増加による就学環境改善が急務である。同州内の中学校の4割以上は,教室数不足を補うために昼夜二部制で授業を行っているが,それでも1,000人以上の入学希望者に対し入学制限を行わざるを得ない状況である。このように,エチオピアにとって中等教育機会拡充は重要かつ早急な対策が必要な課題であるが,同国の厳しい財政状況から,同国自身では迅速に教育機会の拡充を行うことができないため,我が国に対し無償資金協力を要請したものである。
本計画では,アムハラ州の中でも特に教室数の不足が著しい地域のみを対象とした。また,中学校として運営するために必要最小限の施設・機材を整備することにした。
本件の実施により,以下のような成果が期待される。
ア 中学校8校(256教室)の新設及び既存の中学校9校について各4教室(36教室)等の増設により,約1万人の生徒が新たに就学機会を得るとともに,教室の過密度緩和を通して約24,000人の生徒の就学環境が改善される。また,読書自習室の収容人数が約1,800人増加する。なお,エチオピアでは,特に地方では自宅に自習環境の整っていない生徒が多く,読書自習室は生徒の自習用として積極的に活用されている。
イ 我が国が第4回アフリカ開発会議 TICAD IVで表明した教育分野のコミットメント「小中学校1000校(5,500教室)を建設」達成に貢献する。
ウ 中学校新設による通学距離の短縮により,特に,安全上の理由により長距離通学を断念していた女子生徒や,寄宿のための経済的余裕がない生徒達が,教育を受ける機会を得る。(1)エチオピア連邦民主共和国政府からの要請書
(2)JICAの基本設計調査報告書(JICAを通じて入手可能)