評価年月日 平成23年5月2日
評価責任者:国別開発協力第三課長 石塚英樹
エチオピア連邦民主共和国
第四次幹線道路改修計画
本計画は,エチオピア連邦民主共和国の首都アディスアベバと,隣国スーダン共和国とを結ぶ国際幹線道路である国道三号線の未舗装区間65.5キロメートルのうち,デジェンより30.5キロメートルの舗装,整備を行うものである。国道三号線は,スーダンからの石油輸入の輸送路であり,沿線沿いは国内有数の穀倉地帯である。計画対象の区間を含む国道三号線全体の円滑な通行確保により,エチオピアの経済の発展及び食料安全保障の基盤を確保することを目的とする。供与限度額は41億5,800万円である。
以下の事項がエチオピア連邦民主共和国政府により実施される必要がある。
ア 本計画により改修された道路の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。
イ 本計画開始前に,住民移転及び用地取得を含む環境社会配慮への適切な対応,本計画区域の障害物の除去等を行うこと。ア 内陸国であるエチオピアでは,輸送,交通の大部分が道路輸送となっている。また,エチオピア政府は,農業を経済開発の基盤とし,農業生産地域と市場を連結する道路網の整備を経済全体の活性化の重点課題として,道路整備の総合計画である「道路セクター開発計画」でも,4年間で年間のGDPの約30%に相当する投資を行うとしている。
イ 国道三号線は,首都アディスアベバから,エチオピアの食料の約40%を生産するアムハラ州を縦断し,隣国のスーダンに至る,最も重要な幹線道路の一つである。また,スーダンからの原油輸入の約80%が国道三号線を通じて輸送されており,上述の国家開発計画上も重要な位置を占めている。我が国はこれまで同道路のアディスアベバからデジェンまでの約220キロメートルの整備事業に対し,無償資金協力を実施し,エチオピア側も本道路整備を両国間協力の重要事業としている。
ウ 国道三号線の改修は,我が国等の協力並びにエチオピアの独自資金により改修を行ってきており,未舗装区間はデジェンからデブレマルコスのみとなっている。同区間には,道路建設に高度な土木技術を要する黒灰土土壌が広く分布しており,雨期には度々道路が冠水し,道路交通に支障をきたしている。エチオピア側も本計画の早期実施を希望しているが,同国の厳しい財政状況,また技術的な困難から我が方に無償資金協力を強く要請したものである。
ア 移転住民数をできる限り少なくするために,エチオピア側が当初予定していたルートを一部変更した。
イ 改修後の道路の将来にわたる継続的利用のため,軟弱な黒灰土土壌への対策として,置き換え工法の採用及び遮水シートの敷設を併用した。本件の実施により,以下のような成果が期待される。
ア 国道三号線は,スーダンから石油を輸入する際の輸送路であり,沿線沿いは国内有数の穀倉地帯である。計画対象の第四次区間を含む国道三号線全体の円滑な通行確保により,エチオピアの経済の発展及び食料安全保障の基盤が確保される。
イ 本件計画対象区間の通行時間が10分程度短縮される。
ウ 改修により,雨期の冠水による交通遮断(年10回程度)が解消され,年間を通じて安全な交通が確保される。
エ 対象区間に広く分布する軟弱な黒灰土土壌に対する対策により,道路の維持・補修にかかる経費が節減される。(1)エチオピア連邦民主共和国政府からの要請書
(2)JICAの基本設計調査報告書(JICAを通じて入手可能)