評価年月日 平成23年5月2日
評価責任者:国別開発協力第三課長 石塚英樹
エチオピア連邦民主共和国
国道一号線アワシュ橋架け替え計画
本計画は,エチオピア連邦民主共和国の首都アディスアベバと隣国ジブチ共和国のジブチ港とを結ぶ国際幹線道路である国道一号線上に位置するアワシュ橋の架け替え及び取付道路の建設を行うものである。本事業により,エチオピアの輸出入の90%を占めるジブチとの円滑な物流が確保され,両国のみならず,紛争の続くソマリア等を抱え政治的に不安定なアフリカ東部の「アフリカの角」地域の経済・社会の発展に寄与することを目的とする。供与限度額は12億100万円である。
以下の事項がエチオピア連邦民主共和国政府により実施される必要がある。
ア 本計画により建設された橋梁及び取付道路の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。
イ 本計画開始前に本計画区域の障害物の除去を行うこと。ア 内陸国であるエチオピアでは,輸送,交通の大部分が道路輸送となっている。また,エチオピア政府は,農業を経済開発の基盤とし,農業生産地域と市場を連結する道路網の整備を経済全体の活性化の重点課題として,道路整備の総合計画である「道路セクター開発計画」でも,4年間で年間のGDPの約30%に相当する投資を行うとしている。
イ 国道一号線は,首都アディスアベバと,エチオピアにとって唯一の安定した外港であり,同国の輸出入の90%を占める隣国ジブチのジブチ港とを結ぶ国際幹線道路である。ジブチ経由の貿易及び沿線の工業地帯関連の輸送のため,走行する車両の約86%をトラック等の物流車両が占める。また,国内で最も交通量の多い道路であるため,舗装や橋梁の損傷が激しい。このためエチオピア政府は,道路の維持・補修に多くの予算を割いているが,特に橋梁に関しては,資金及び技術の不足のため,エチオピア自身で十分な修理や架け替えができない状況にある。
ウ 本件計画対象のアワシュ橋は,建設から40年を経過し,損傷が激しく,安全のため,一度に一車両の走行の通行制限を実施している。仮に同橋が落橋した場合,近くに適当な迂回路が存在しないことから,ジブチとの物流が停止し,両国の経済及び国民生活に多大な影響が及ぶこととなる。また,本件橋梁の架かるアワシュ川は急峻な渓谷であり,十分な耐荷力のある橋梁の架け替えには高度な技術が要求され,エチオピアの技術力では実施が困難であることから,我が国に対し無償資金協力を要請してきたものである。
ア 橋梁については,現在及び将来予想される交通量に基づき,適正ながら過大な規模とならない設計を行った。
イ 橋梁形式の決定については,最も経済性が高く,かつ完成後の維持管理が容易な形式を選択することにより,コストの削減に努めるとともに,適切かつ継続的な維持管理が可能となるよう配慮した。
本件の実施により,以下のような成果が期待される。
ア アワシュ橋の架け替えにより,現在の一度に一車両の通行制限から,車両数に制限のない双方向通行が可能となり,平均15キロメートル毎時から60キロメートル毎時で通行可能となる。これにより,エチオピアの輸出入の90%を占めるジブチとの円滑な物流が確保され,両国のみならず,紛争の続くソマリア等を抱え政治的に不安定なアフリカ東部の「アフリカの角」地域の経済・社会の安定・発展に寄与する。
イ 通行可能な車両の重量が,32.6トンから40.8トンに増え,将来的な交通量の増加にも対応できるようになる。
(1)エチオピア連邦民主共和国政府からの要請書
(2)JICAの基本設計調査報告書(JICAを通じて入手可能)