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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成23年5月10日
評価責任者:国別開発協力第三課長 石塚英樹

1.案件名

(1)供与国名

 コンゴ民主共和国

(2)案件名

 キンシャサ保健人材センター整備計画

(3)目的・事業内容

 本計画は,コンゴ民主共和国の首都であるキンシャサにおいて,保健人材育成のモデル校としてキンシャサ保健人材センターの施設及び機材の整備を行うものである。本事業では,保健人材に対して質の高い教育,研修を受ける環境を整備し,保健,医療サービスの住民への普及の促進を目的とする。供与限度額は17億6,700万円であり,保健人材センターの建物を建設し,人材育成に必要な研修機材等の供与を行う。

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

 以下の事項がコンゴ民主共和国政府により実施される必要がある。

ア 本計画開始前に,建設予定地における廃屋の撤去及び敷地整備並びに建設にかかる各種申請手続を遺漏なく行うこと。

イ 本計画にあわせ,樹木植栽等の外構工事,電気・給水設備等の引き込み,接続工事を行うこと。

ウ 本計画により建設された建物の通常の維持管理や光熱費の負担等,施設の運営管理を適切かつ継続的に実施すること。

2.無償資金協力の必要性

(1)必要性

ア コンゴ民主共和国においては,長年の内戦の影響により,医療施設・機材の改修が行われず,妊産婦死亡率は990人(/10万人),5歳未満児の死亡率も205人(/1000人)と非常に高い水準にあり,保健・医療分野は劣悪な状況にある。そのため,同国政府は,開発の重点5分野の中に保健分野を位置付け,貧困削減戦略文書(PRSP)においても,同分野の体制強化を重要課題としているが,中級保健人材育成のモデル校の不在,専門職員による分娩介助率の低さ,人材の特定職種,特定地域への偏在など,中級保健人材の質の低さ及び体制の不備が問題となっている。

イ 旧キンシャサ保健人材センターは,内戦に伴う爆撃や略奪により施設としての機能を失い,現在は州立総合病院の一部を間借りし,教材も不足する中で授業を行っているが,良質な保健人材を職種や地域の偏在なく継続的に育成,輩出するためには,当該センターを保健医療分野における質の高い教育環境を提供する場として整備する必要がある。このため,コンゴ(民)政府は,保健人材育成のモデル校としてキンシャサ保健人材センターの施設及び機材を整備することについて,我が国政府へ無償資金協力を要請してきたものである。

(2)効率性

 本計画では,当該保健人材センターを適切な保健人材育成及びモデル校として機能するために必要最小限の機材を調達するものとし,既存の病院における実習で対応が可能な機材については計画の対象外とした。

(3)有効性

 本計画の実施により,以下のような成果が期待される。

ア 質の高い教育を受けた人材を年間約90名継続的に養成することにより,コンゴ民主共和国における中級保健人材を輩出し,保健・医療の住民への普及を促進する。

イ 特に数の少ない助産師,准薬剤師,臨床検査技師,衛生技師などの養成により,保健人材の職種における偏在を是正し,住民への多様な保健・医療サービスの普及を促進する。

ウ 保健人材センターが保健人材育成のモデル校となることで,教員育成等を通じて全国的な保健人材育成水準の向上に寄与する。

エ 我が国は,第四回アフリカ開発会議(TICAD IV)において,アフリカにおける保健システムの強化を重点的な支援分野に位置付け,「1,000箇所の病院及び保健センターの改善」「10万人の保健・医療従事者を研修」等の支援策を表明している。本案件はその達成に貢献するものである。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)コンゴ民主共和国政府からの要請書

(2)JICAの基本設計調査報告書(JICAを通じて入手可能)

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