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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成23年7月7日
評価責任者:国別開発協力第二課長 小野日子

1.案件名

1-1.供与国名

 ブータン王国

1-2.案件名

 サイクロン災害復興支援計画

1-3.目的・事業内容

 2009年5月に発生したサイクロン・アイラの被害を受けて流出した橋梁の復旧,今後の豪雨により被災する可能性のある橋梁の架け替え等を行い,地域住民の交通利便性の向上や豪雨による橋梁崩壊を防止し,通年の交通確保を図るもの。南部のサルパン県で国道5号線上の2橋梁(ドルコラ橋,ジグミリング橋)の建設を行い,中部のトンサ県で国道4号線に接続する農道上の3橋梁(マンデチュ(レオタラ)橋,ケラ橋,ジャンビ橋)の橋台等橋梁の下部構造部分の建設を行う。
供与限度額は10億1,900万円。

1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 以下の事項がブータン政府により実施される必要がある。

 ア 農道上の3橋梁の工事現場まで,工事用車両が通行可能な道路を建設すること。
 イ 農道上の3橋梁の橋梁下部構造の建設終了後速やかに,橋梁上部構造のベイリー橋を架橋すること。
 ウ 国道4号線から農道上の3橋梁を経由して各村落に至る農道を整備すること。
 エ 本計画により建設された橋梁を適切かつ継続的に維持管理すること。

2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性

(1)ブータン政府の国家開発大綱「ブータン2020」においては「全国民に半日で幹線道路にアクセスできる道路網の整備」が目標とされており,第10次5カ年計画においても,幹線道路の改修整備,地方道路網の充実,既存道路,橋梁の維持補修,既存橋梁の架け替えを推進するとされている。

(2)ブータンは内陸国で国土の大部分が険しい山岳地帯であるため,国民の移動手段は全般的に道路輸送による。しかし,道路及び橋梁の整備は未だ不十分であり,更に2009年の豪雨では主要な道路,橋梁の多くが被災した。そのため,特に農村部では,各種社会福祉の円滑な享受や市場への農作物の出荷等の経済活動が困難な状況にある。また,主要幹線道路である5号線上の橋梁も,構造が脆弱であるため,今後の豪雨等で流出する可能性が高く,迂回路が存在しないため,被災すれば,重要な物流・交通網が遮断されることとなる。

(3)このような状況から,地域住民の交通利便性の向上による社会福祉の増進,経済活動の発展や豪雨による幹線道路上の重要橋梁の崩壊防止及び国道の安定的な交通確保を図るために,橋梁の復旧,架け替えを行う事業の実施意義は高い。

2-2.効率性

(1)対象橋梁の選定に際して,必要性,緊急性,裨益効果等の点から検討した。また,資機材の搬入,施工管理等に要するコストの削減に努めた。

(2)農道上の橋梁については,技術的にブータン側が施工困難な橋梁基礎,橋台,橋脚等の下部構造のみを本件協力による施工とし,ブータン側の十分な施工能力が確認されている上部構造をブータン側の自助努力による施工とし,コストの削減に努めた。

2-3.有効性

(1)豪雨により被災する可能性が高い国道上の橋梁の架け替えにより,国道の安全性・信頼性が高められる。

(2)国道5号線上の2橋梁の性能が重量制限が18トンから40トンに緩和され,幅員も1車線から2車線に改善されることにより,大型車による交通について,首都ティンプーと南部の主要都市ゲレフ間の走行距離が120キロ短縮される。

(3)農道上の3橋梁については,サイクロンで落橋した橋の復旧等により,国道と村落が車道で結ばれることにより,地域住民の行政・社会福祉の享受,市場への生産物の出荷などの経済活動が促進される。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)ブータン政府からの要請書

(2)JICAの概略設計調査報告書(JICAを通じて入手可能)

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