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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成24年2月15日
評価責任者:アフガニスタン支援室長 有馬 裕

1.案件名

(1)供与国名

 アフガニスタン・イスラム共和国

(2)案件名

 「カブール市東西幹線道路等整備計画」

(3)目的・事業内容

 カブール市の迂回路である市北部の東西幹線道路を整備することにより,市中心部の交通量を減少させ,交通渋滞を緩和する。また,同路線沿線のカブール市第11区の主要街路の改修を行うことにより,住民の交通事情を改善する。また,併せて,電灯,歩行者横断用地下道を設置する。供与額は25.09億円。

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

 円滑な事業実施のため,今後カブール市における治安状況が著しく悪化しないこと。

2.無償資金協力の必要性

(1)必要性

ア カブール市では,近年の急激な人口増加に伴い,自動車交通量が増大してきており,交通渋滞及びそれに伴う環境汚染,交通事故の増加等が深刻化している。また,市中心部の道路や環状道路が整備されていないことが交通渋滞等の悪化に拍車をかけている。
 カブール市北部の東西幹線道路は,市中心部の迂回路(東部のジャララバード市へ延びる国道と北部のチャリカル市へ延びる国道間を連絡)の機能を持つ東西方向の幹線道路である。また,主要物流ルートでもあるため,大型車の通行が多い。西側区間は舗装されているものの片側1車線であるため交通渋滞が頻発し,平均速度は約20キロメートル/時である。東側区間は,片側2車線ではあるものの,舗装されておらず大小の陥没が随所にみられるなど,車両の円滑な走行に支障をきたしている。
 また,この東西幹線道路の西側に位置する第11区は,人口100万人以上が居住する人口密集エリアであるが,主要街路は未舗装区間が多く,雨水により路面が浸食された箇所もあり,住民の通学や買い物等の日常生活に支障をきたしている。

イ アフガニスタン政府は2008年に,2013年度を目標年度とした国家開発戦略計画(ANDS)をとりまとめ,国家開発戦略の3本柱として「治安」,「ガバナンス」,「経済・社会開発」を掲げた。そして,「経済・社会開発」を推進するための道路セクターの施策として,全国環状道路と周辺国への接続道路の改良を重点施策として挙げている。アフガニスタンでは2002年以降急速に道路整備が行われているものの,未だ不十分な状態であり,適正な維持管理が行われていないために,冬期の通行ができない区間も多く存在する。

ウ 上記のことから,カブール市内の交通の円滑化,郊外居住区の交通利便性の向上を図ることにより,アフガニスタンの「経済・社会開発」を推進することを目的として,我が国に対し無償資金協力を要請してきたものである。なお,我が国は技術協力を通じて本件実施機関であるカブール市当局の道路維持管理能力の向上を図ってきている。

(2)効率性

 JICAの調査及びアフガニスタン側との協議を通じ,必要性・緊急性の高い区間の整備に限定するとともに,アフガニスタン側の運営・維持管理体制に適した供与内容とした。

(3)有効性

 本計画の実施により,以下のような成果が期待される。

ア 東西幹線道路の車両交通が円滑化することにより,物流の円滑化に貢献する。

イ カブール市北部の迂回路の機能が改善することにより,市中心部の通過交通量が減少することになり市中心部の交通渋滞が緩和される。

ウ 渋滞の緩和等によりバス等の公共交通機関の定時運行性が向上し,公共交通の信頼性が向上する。

エ 通行車両の平均速度が18キロメートル/時から60キロメートル/時に改善され,ジャララバード道路からチャリカル道路までの所要時間が50分から15分に短縮される。

オ 西側区間で約23千台/日,東側区間で約8千台の交通量がそれぞれ約27千台/日,10千台/日に増加する。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1)JICAの概略設計概要書

(2)開発協力適正会議

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