評価年月日 平成24年2月15日
評価責任者:アフガニスタン支援室長 有馬 裕
アフガニスタン・イスラム共和国
「カブール国際空港駐機場改修計画」
(ア)カブール国際空港は,長年に亘る不十分な維持管理と近年の交通量増加により,駐機場の劣化が著しく,剥離した骨材が原因となって航空灯火や航空機エンジンに損傷をもたらしている。また,駐機場不足により,航空機発着が遅延したり,一部航空機を誘導路に駐機せざるを得ない等の状況が発生している。
(イ)カブール国際空港駐機場の舗装改修及び拡張を実施し,また併せて駐機場照明灯の設置を行うことにより,航空機運航の安全性及び効率性の向上を図る。供与限度額は19億6,000万円。
(ア)円滑な事業実施のため,今後カブール市の治安状況が著しく悪化しないこと。
(イ)案件実施に際し,アフガニスタン側負担事項が実施され,案件完了後もアフガニスタン側で適切な維持管理がなされること。
(ア)アフガニスタンにおいて,航空運輸は道路と並ぶ運輸・交通の重要な手段となっている。カブール国際空港は3,500メートルの滑走路1本を有するアフガニスタン最大の空港として,国内外の交通・物流の拠点となっている。その年間旅客者数は,2010年には約140万人に上り,2011年に我が国が実施した準備調査では,2020年には400万人,2025年には約550万人に達すると予測されている。
(イ)カブール国際空港は,これまでの我が国の無償資金協力(国際線ターミナルビルの建設,滑走路南側の誘導路改修等)及び世界銀行による支援(滑走路の改修)等が実施されているが,駐機場は,長年に亘る不十分な維持管理や近年の交通量増加により劣化が著しく,航空灯火や航空機エンジンに損傷をもたらしていることに加え,駐機場不足により航空機発着が遅延したり,一部の航空機を誘導路に駐機せざるを得ない等の状況が発生しており,航空機の安全で効率的な運航に支障を生じかねない状況にある。
(ウ)アフガニスタン政府は2008年にとりまとめた「アフガニスタン国家開発戦略計画(ANDS)」において,国家開発戦略の3本柱として「治安」,「ガバナンス」,「経済・社会開発」を掲げ,「経済・社会開発」を推進するための航空セクターの施策として,カブール国際空港とヘラート空港を国際民間航空機関(ICAO)の基準と勧告を満たす国際空港とすることを目指している。また,ANDSと同時に公表された運輸民間航空省作成の「運輸民間航空省戦略」においても,カブール国際空港とヘラート空港の整備が最上位に位置付けられている。
(エ)このため,カブール国際空港駐機場の舗装改修及び拡張,駐機場照明灯の設置を行い,カブール国際空港の安全で効率的な運航を確保することにより,アフガニスタンの「経済・社会開発」を推進することを目的として,我が国に対し無償資金協力を要請してきたものである。
JICAの協力準備調査及びアフガニスタン側との協議を通じ,必要性・緊急性の高い内容に限定するとともに,アフガニスタン側の運営・維持管理体制等に適した供与内容とした。
本計画の実施により,以下のような効果が期待される。
(ア)駐機場の舗装改修により,航空灯火や航空機機体やエンジン等への損傷が軽減されるとともに,駐機場の拡張により駐機できる航空機が26機から32機に増加し,航空機運航上の安全性及び効率性が向上する。
(イ)駐機場照明灯の設置により,夜間の乗降及び作業の安全性が向上する。
(ウ)利用者の増加が見込まれるカブール国際空港の発着便数の増加が可能となり,アフガニスタンの経済発展に資することが期待される。
(1)JICAの概略設計概要書
(2)開発協力適正会議