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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成21年9月3日
評価責任者 国別開発協力第三課長 石塚英樹

1.案件概要

(1)供与国名
 モロッコ王国

(2)案件名
 地方都市上水道整備計画

(3)目的・事業内容
 モロッコの中北部のケミセット及び中央部のクリブガ地域の上水道施設を整備するもの。

(イ)主要事業内容

  • 浄水場の設置
  • ポンプ場の設置
  • 貯水施設の設置
  • 送水管等の整備等

(ロ)供与条件

供与限度額 金利 償還(据置)期間 調達条件
154.87億円 1.4% 25(7)年 一般アンタイド

 (注)コンサルタント部分は金利0.01%を適用。

(4)環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

(イ)EIA(環境影響評価):環境に影響を及ぼしやすいセクター・特性及び影響を受けやすい地域に該当せず、環境への望ましくない影響は重大でないと判断される。EIA報告書は、モロッコ国内法上作成が義務付けられていないが作成。

(ロ)土地収用及び住民移転:用地取得は約150 ヘクタール。モロッコ国内手続きに沿って取得が進められる。住民移転は発生しない。

(ハ)外部要因リスク:特になし。

2.資金協力案件の評価

(1)必要性

(イ)開発ニーズ
 モロッコはEUとのパートナーシップ協定に基づく2010年の欧州との市場統合に向けて輸出産業の育成と民間投資誘致を目指した経済基盤整備を進める一方、持続的成長を確保し格差解消のための生活基盤の整備を重要な課題としている。その優先分野の一つである上水道セクターでは、給水率は着実な伸びを見せているものの、今後も地方村落部での給水率改善や、各戸給水の普及、(人口増加、都市化、生活水準の向上等による)水需要増加に対応するための設備改善等に取組む必要がある。

(ロ)我が国の基本政策との関係
 1999年7月の経協政策協議以降、我が国は次の分野を重点支援分野と位置づけている。1)農業及び水産業の開発・振興の支援、2)限られた水資源の効率的利用のための農業用水及び飲料用水確保のための水資源開発支援、3)持続的経済成長を支える基礎インフラ整備分野への支援、4)都市・地方間の格差是正及び貧困削減のための地方開発分野への支援、5)持続的発展確保のための環境分野での支援、6)社会セクター開発。
 今回の支援は、2)の飲料水確保のための水資源開発支援にあたる。

(2)効率性

(イ)浄水処理方法については、原水濁度、浄水処理量、価格を総合的に比較検討し、急速濾過方式を採用した。

(ロ)本計画の実施において進捗状況を適切に監理することにより、案件の効率性が確保される。

(3)有効性

(イ)本計画の実施により直接の効果として、完成2年後には、合計約160.8万人(事業実施前、合計約99.3万人)を対象とする、ケミセット地域及びクリブガ地域への給水が可能となる。

(ロ)本件上水道整備により、安全な水の安定的な供給、水汲み労働の軽減等が期待でき、住民の生活改善が期待される。

(ハ)モロッコの経済・社会発展を通じた我が国との二国間関係の強化が期待される。

3.事前評価に用いた資料、有識者等の知見の活用

 要請書、これまでの国際協力銀行環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html 他のサイトヘ)、その他国際協力機構より提出された資料。
 案件に関する情報は、交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/anken/zyoukyou.html)、借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html 他のサイトヘ)及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html 他のサイトヘ)を参照。
 なお、本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。

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