評価年月日 平成22年3月1日
評価責任者 国別開発協力第一課長 清水茂夫
(1)供与国名
インドネシア共和国
(2)案件名
ジャワ・スマトラ連系送電線計画(第一期)
(3)目的・事業内容
本計画は、スマトラ島からの余剰電力をジャワ島に送電するための送電線(海底送電線を含む)を建設するとともに、直流を交流に交換する変電所の新設工事等を行うもの。
(イ)主要事業内容
(ロ)供与条件
供与限度額 | 金利 | 償還(据置)期間 | 調達条件 |
---|---|---|---|
369.94億円 | 1.4% | 30(10)年 | 一般アンタイド |
(4)環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点
(イ)EIA(環境影響評価):EIA報告書は、ジャワ側交流架空送電線部を含む直流・交流変換所、直流送電線部分については2009年8月に、スマトラ側交流架空送電線部分については2009年5月に環境省により承認済み。
(ロ)用地取得及び住民移転:本計画では約272ヘクタールの用地取得を伴い、2軒の住民移転が予定されている。用地取得・移転に係る計画及び国内法に基づき用地取得・移転手続きが実施される。
(ハ)外部要因リスク:特になし。
(1)必要性
(イ)開発ニーズ
2008年のインドネシア全体の電力ピーク需要21,866メガワットに対し、インドネシア国有会社によると、現存する電源設備容量は29,205メガワットであるが、電源設備予備率は同国有会社の目標値である35%を下回る34%となっている。今後、経済成長に伴い電力需要の増加が見込まれ、逼迫する電力需給の改善は急務となっている。
また、ジャワ島における電力不足は深刻で、ジャカルタ首都圏では電力不足、送電系統の不備に伴う計画停電を余儀なくされており、同島に進出している日本企業も頻繁に生じる停電により多大な影響を受けている他、インドネシアにおいては電力需要が集中するジャワ島西部地域の基幹送電線建設が重点課題の一つとなっており、これらの状況を踏まえると、本件のニーズは大きい。
(ロ)我が国の基本政策との関係
我が国の対インドネシア国別援助計画は、「民間主導の持続的な成長」、「民主的で公正な社会造り」、「平和と安定」のための支援を対インドネシア経済協力の三つの柱と位置付け、特に、円借款については、「民間主導の持続的な成長」実現のための支援を念頭に置き、技術協力等、他の援助形態とも有機的に連携しつつ、投資環境改善のための経済インフラ整備を重点分野とし、支援を行っていくこととしている。本計画は、インドネシアの投資環境改善に必要なものであることから、我が国の基本政策とも合致する。
(2)効率性
2008年実施の「ジャワ・マドゥラ・バリ地域最適電力開発計画調査」において、同地域における最適電源開発計画、最適送変電系統開発計画、系統運用改善計画等を策定するとともに、スマトラ・ジャワ連系送電線完成後のジャワ・マドゥラ・バリ系統運用における信頼性向上対策について提案をしており、本事業における開発計画及び系統運用の効率性を高めている。
また、本計画の実施において進捗状況を適切に監理することにより、案件の効率性を高める。
(3)有効性
本計画により、ジャワ島及びスマトラ島の電力供給逼迫の緩和及び供給の信頼性向上を図り、民生の向上、投資環境の改善を通じて両島を始めとするインドネシアの経済発展に寄与、ひいては我が国との二国間関係の強化が期待される。
また、直接的な効果として、事業完成2年後の2018年には、3,000メガワットの電力がスマトラ島・ジャワ島間で融通可能となり、これによりジャワ-バリ系統における設備予備率は35.8%から42.5%に上昇すると見込まれる。
要請書、これまでの国際協力銀行環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html )、その他国際協力機構より提出された資料。
案件に関する情報は、交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/anken/zyoukyou.html)、借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html )及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html
)を参照。
なお、本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。