評価年月日 平成21年11月26日
評価責任者 国別開発協力第一課長 清水茂夫
(1)供与国名
インドネシア共和国
(2)案件名
第二次気候変動対策プログラム・ローン(景気刺激支援含む)
(3)目的・事業内容
本計画は、政策対話を通じて次の3点に係る支援を実施し、インドネシアが進める気候変動対策を後押しするもの。(イ)温室効果ガス排出抑制・吸収による温暖化緩和、(ロ)気候変動の悪影響に対する適応能力強化、(ハ)気候変動に係る分野横断的課題への対応。
供与限度額 | 金利 | 償還(据置)期間 | 調達条件 |
---|---|---|---|
374.44億円 | 0.15% | 15(5)年 | 一般アンタイド |
※上記のうち、緊急財政支援借款分(93.61億円)は変動金利(円LIBOR(6ヶ月))、償還(据置)期間は15(3)年。
(4)環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点
特になし。
(1)必要性
(イ)開発ニーズ
インドネシアは、伐採や火災による森林の減少及び泥炭地荒廃等を含めると、中国、米国に次ぐ世界第3位の温室効果ガス排出国とも言われている他、経済発展に伴ってエネルギー分野からの排出量が急増しており、地球温暖化対策の重点国である。
また、インドネシアでは、気候変動リスクの高まりにより、農業をはじめとするインドネシアの重要産業に与える悪影響や災害リスクの増大が懸念されており、同国の持続的な開発にとっての重大なリスク要因となることが予想される。このような状況を踏まえると、本件のニーズは大きい。
(ロ)我が国の基本政策との関係
今年9月、国連気候変動首脳会合において、鳩山総理大臣が演説を行い、途上国への支援について、1)我が国を含む先進国が、相当の新規で追加的な官民の資金で貢献すること、2)途上国の排出削減について、とりわけ支援資金により実現される分について、測定可能、報告可能、検証可能な形での、国際的な認識を得るためのルールづくりをすること、3)途上国への資金支援については、予測可能な形の、革新的なメカニズムの検討をすること等の途上国への支援原則を「鳩山イニシアティブ」として発表した。
また、今年10月、日インドネシア首脳会談において、鳩山総理は本件を「鳩山イニシアティブ」に合致する具体的案件である旨述べた。
なお、2004年11月に策定された我が国の「対インドネシア国別援助計画」においては、我が国支援の三つの柱の一つである「民主的で公正な社会造り」において、環境保全への支援を掲げている。これらに鑑みると、本件は我が国の基本政策に整合している。
(2)効率性
本計画は、予め日インドネシア間で設定する「政策アクション」の達成を受けて借款が供与されるという政策制度の支援であり、政策アクションの達成状況の評価は両国により構成される諮問委員会(年3回を目途に開催)にて検証を行うことで、案件のより一層の効率性を確保している。
(3)有効性
本計画の実施により、政策対話を通じて、インドネシアが進める気候変動国家計画(2025年の地熱発電設備容量を9,500メガワットに増強(これによる温室効果ガス排出量削減見込みは年間約60百万トン)。再生可能エネルギーの導入及び省エネ対策により、発電分野のCO2排出量を2025年までに対策を講じなかった場合(2025年には年間1,200百万トンに達する見込み)と比べて17%削減(これによる温室効果ガス排出量削減見込みは年間約200百万トン)等。)を支援し、温室効果ガスの排出の抑制・吸収が図られ、併せて気候変動に伴うリスクの軽減・適応能力の強化に寄与することも期待される。さらには、インドネシアの経済・社会発展を通じた我が国との二国間関係の強化が期待される。
要請書、これまでの国際協力銀行環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html )、その他国際協力機構より提出された資料。
案件に関する情報は、交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/anken/zyoukyou.html)、借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html )及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html
)、インドネシア政府公表によるNational Action Plan Addressing Climate Change(http://climatechange.menlh.go.id/index.php?option=com_docman&Itemid=26&task=docclick&bid=17&limitstart=0&limit=5(PDF)
)を参照。
なお、本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。