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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日:平成21年11月2日
評価責任者:国別開発協力第二課長 小野日子

1.案件概要

(1)供与国名
 インド

(2)案件名
 コルカタ東西地下鉄建設計画(第二期)

(3)目的・事業内容
 本計画は、西ベンガル州の州都コルカタにおいて、地下鉄及び高架鉄道による高速輸送システム(約14キロメートル)の建設等を行うもの。

(イ)主要事業内容

 1)土木工事(地下区間)
 2)信号・通信関連工事
 3)自動料金収受システム調達
 4)車両調達
 5)コンサルティング・サービス

(ロ)供与条件

供与限度額 金利 償還(うち据置)期間 調達条件
234.02億円 1.40% 30(10)年 一般アンタイド

 (注)コンサルタント部分は金利0.01%を適用。

(4)環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

(イ)EIA(環境影響評価):2005年12月(西ベンガル州承認:2006年11月)及び2007年8月(西ベンガル州承認:2007年9月)に作成済み。

(ロ)用地取得:約18.74ヘクタール、住民移転:490戸
   2011年3月までに用地取得・住民移転・補償の手続きが完了する予定。

(ハ)外部要因リスク:特になし。

2.資金協力案件の評価

(1)必要性

(イ)開発ニーズ
 コルカタは、極めて高い人口密度(25,000人/平方キロメートル)を有する都市であり、道路交通への依存度が高いにも関わらず道路面積の割合が小さい一方、土地収用の観点から道路拡幅等を通じ道路輸送容量を増強することも困難な状況であり、中心部での交通渋滞が深刻化している。また、郊外と中心部を結ぶ東西の鉄道が整備されていないこともあり、東西方向を結ぶ交通需要への対応が急務となっている。このような状況を踏まえると、本計画のニーズは大きい。

(ロ)我が国の基本政策との関係
 2006年6月に策定された「国別援助計画」においては、今後の対インドODAの重点目標として、(a)経済成長の促進(「経済成長を通じた貧困削減」を追求するためのインフラの整備等)、(b)貧困・環境問題の改善及び(c)人材育成・交流拡大(強固な二国間関係の構築を念頭)を掲げている。本計画は、都市交通システムの整備という観点から、同国のインフラ整備に資する案件として上記(a)に資するものであり、我が国の基本政策とも合致する。

(2)効率性
 効率的な実施及び運営維持管理のためには、財務的に自立した事業実施体制の確立が重要との認識の下、特別目的会社(SPV)を設立して事業実施に当たっており、完成後は同社が運営維持管理に当たることとしている。

(3)有効性
 本計画の実施により、コルカタ都市圏で増加する輸送需要への対応を図り、もって交通渋滞の緩和と交通公害の減少を通じた地域経済の発展及び都市環境の改善に寄与することが期待される(完成2年後(2016年)見込み:運行数328本/日・1方向、乗客輸送量341万人・キロメートル/日)。また、インドの経済・社会の発展を通じた我が国との二国間関係の強化が期待される。

3.事前評価に用いた資料、有識者等の知見の活用

 要請書、これまでの国際協力銀行環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html 他のサイトヘ)、その他国際協力機構より提出された資料。
 案件に関する情報は、交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/anken/zyoukyou.html)、借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html 他のサイトヘ)及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html 他のサイトヘ)を参照。
 なお、本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。

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