評価年月日 平成21年11月1日
評価責任者 国別開発協力第二課長 小野日子
(1)供与国名
グルジア
(2)案件名
東西ハイウェイ整備計画
(3)目的・事業内容
本計画は、グルジアのゼスタフォニ~クタイシ~サムトレディア間において、グルジア東西回廊道路の一部を担う道路(39.6キロメートル)を整備することにより、同国の輸送力増強を図り、また、地域経済の発展及び紛争後の復興に寄与するもの。
(イ) 主要事業内容
(a)既存2車線道路のリハビリ
(b)バイパスの新設等(橋梁を含む)
(c)2車線道路の新設
(ロ)供与条件
供与限度額 | 金利 | 償還(据置)期間 | 調達条件 |
---|---|---|---|
177.22億円 | 年0.65% | 40(10)年 | 一般アンタイド |
(注)コンサルタント部分は金利0.01%を適用。
(4)環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点
(イ)EIA(環境影響評価):グルジア国内法に則り、詳細設計の策定段階でEIA報告書を作成し、承認申請を行うことになっている。なお、大気汚染・騒音については、植栽や必要に応じて防音壁等の緩和策が検討される予定。
(ロ)用地取得及び住民移転:約197千平方メートルの用地取得、5 世帯の住民移転が必要であり、国内手続に則り関連手続きが進められている。
(1)必要性
(イ)開発ニーズ
東西ハイウェイは、黒海とカスピ海、欧州とアジアを結ぶ重要な国際交通網の一部であるが、ソ連崩壊後の財政難等により、維持管理がほとんどなされないまま放置され、人の移動や物流の確保に重大な支障をきたしている。また、近年のロシアとの武力紛争により、外貨参入が鈍化し、経済成長の後退が懸念されている中、幹線道路等インフラ整備を呼び水とする外資参入の促進が緊急かつ不可欠な課題となっている。
グルジア政府が策定している中期開発計画「基本データ及び方向性2008-2011(The Basic Data and Directions (BDD) 2008-2011)」において、中央アジアと黒海を結ぶ最短ライン上に位置するというグルジアの地政学上の優位性を生かした国作りの重要性が強調されており、特に東西ハイウェイを含めた道路網の整備を同国の優先課題と位置づけており、本計画のニーズは大きい。
(ロ)我が国の基本政策との関係
1999年及び2008年12月に行った経済協力政策協議において、1)経済インフラの整備(特にエネルギー、運輸・通信)、2)社会セクター(特に保健・衛生、医療、教育、環境)、3)人造り(中小企業振興等)をグルジアに対するODAによる協力の重点分野としている。本計画は上記1)に資するものであり、我が国の基本政策とも合致する。
(2)効率性
本件対象地区のうち、ゼスタフォニ~クタイシ間(22.2キロメートル)については、特に必要性の高い区間であるナフシルゲレ~チョグリ間(5.2キロメートル)に絞り込んだ他、路盤材料については、周辺地域から採取可能な砂とセメントを混合させ製造することで、コスト削減を図った。また、本計画の実施において進捗状況を適切に監理することにより、案件の効率性を確保する。
(3)有効性
本計画を実施することにより、ナフシルゲレ~チョグリ間の交通量が約2倍(現在:約7,800台/日→2016年:約14,000台/日)に増加するとともに、線形の改善、バイパス整備によるルートの短縮、市内交通渋滞の緩和により、ナフシルゲレ~チョグリ間の所要時間が事業完成2年後には約8分(41.2分→33.8分)削減されることが期待される。また、グルジアの経済・社会発展を通じた我が国との二国間関係強化が期待される。
要請書、これまでの国際協力銀行環境社会配慮ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html )、その他国際協力機構より提出された資料。
案件に関する情報は、交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/anken/zyoukyou.html)、借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/index.html )及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html
)を参照。
なお、本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。