評価年月日 平成20年8月22日
評価責任者 有償資金協力課長 宮原隆
(1)供与国名
インドネシア共和国
(2)案件名
気候変動対策プログラム・ローン
(3)目的・事業内容
本計画は、政策対話を通じて次の3点に係る支援を実施し、インドネシアが進める気候変動対策を後押しするもの。(1)温室効果ガス排出抑制・吸収による温暖化緩和、(2)気候変動の悪影響に対する適応能力強化、(3)気候変動に係る分野横断的課題への対応。
供与限度額 | 金利 | 償還(据置)期間 | 調達条件 |
---|---|---|---|
307.68億円 | 0.15% | 15(5)年 | アンタイド |
(4)環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点
特になし。
(1)必要性
(イ)開発ニーズ
インドネシアは、伐採や火災による森林の減少及び泥炭地荒廃等を含めると、中国、米国に次ぐ世界第3位の温室効果ガス排出国とも言われている他、経済発展に伴ってエネルギー分野からの排出量が急増しており、地球温暖化対策の重点国である。
また、インドネシアでは、気候変動リスクの高まりにより、農業をはじめとするインドネシアの重要産業に与える悪影響や災害リスクの増大が懸念されており、同国の持続的な開発にとっての重大なリスク要因となることが予想される。このような状況を踏まえると、本件のニーズは大きい。
(ロ)我が国の基本政策との関係
今年1月、福田総理がダボス会議において発表した新たな資金メカニズム「クールアース・パートナーシップ」において、我が国は「気候変動対策円借款」を創設し、各国の地球温暖化対策プログラムの実施等のために特別金利による5千億円程度の資金供給を行う方針を打ち出した。
また、2004年11月に策定された我が国の「対インドネシア国別援助計画」においては、我が国支援の三つの柱の一つである「民主的で公正な社会造り」において、環境保全への支援を掲げている。これらに鑑みると、本件は我が国の基本政策に整合している。
(2)効率性
本計画の実施において進捗状況を適切に監理することにより、案件の効率性が確保される。
(3)有効性
本計画の実施により、インドネシアが進める気候変動対策を支援するとともに、政策対話を通じて、温室効果ガスの排出の抑制・吸収が図られ、併せて気候変動に伴うリスクの軽減・適応能力の強化に寄与することも期待される。さらには、インドネシアの経済・社会発展を通じた我が国との二国間関係の強化が期待される。
要請書、環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html )、その他国際協力銀行より提出された資料。
案件に関する情報は、交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/zyoukyou.html)、借款契約締結後公表される国際協力銀行のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/archives/jbic/news.html )及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html
)を参照。
なお、本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力銀行が行う予定。