評価年月日 平成18年12月11日
評価責任者 有償資金協力課長 岩間公典
1.案件概要
(1)供与国名
パキスタン・イスラム共和国
(2)案件名
インダス・ハイウェイ建設計画(第III期)
(3)目的・事業内容
本案件は、インダス・ハイウェイ(国道55号線)のシンド州中部から北部の未整備区間(セワンーラトデロ間:約200km)において、現道(2車線)に並行して新道(2車線)を建設すること等により、交通のボトルネックを解消し、インダス・ハイウェイ全体の効果発現及び沿線地域の経済発展を図るもの。
供与限度額 | 金利 | 償還(据置)期間 | 調達条件 |
194.55億円 | 1.3% | 30(10)年 | 一般アンタイド |
(4)環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点
(イ)EIA(環境影響評価)
2005年10月にシンド州政府により承認済
(ロ)用地取得及び住民移転
約430haの用地取得及び198世帯の住民移転が必要。用地取得は2006年度中に終了予定。住民移転についての住民の合意は得られている。
(ハ)外部要因リスク
社会経済環境等の変化による交通需要への影響
2.資金協力案件の評価
(1)必要性
(イ)開発ニーズ
パキスタンの道路セクターは、旅客輸送の89%、貨物輸送の96%を担っており、道路網の最適利用が最優先課題となっている。特に、北のペシャワールと主要な海への出口であるカラチを結ぶ国内物流の基幹ルートであるインダス・ハイウェイ(国道55号線)は本事業を含む一部区間が未整備のために円滑な交通のボトルネックとなっており、本案件のニーズは高い。
(ロ)対パキスタン国別援助計画との関係
対パキスタン国別援助計画においては、援助戦略の方向性を、(a)人間の安全保障の確保と人間開発、(b)健全な市場経済の発達及び(c)バランスの取れた地域社会・経済の発達の3点としている。上記(b)においては、雇用政策と貧困削減、及び市場経済活性化に資する経済インフラの整備への支援、上記(c)においては、後発地域の発展を先導する民間投資に外部性を与える公的投資の拡充が重点課題とされており、本案件はこれらの項目に整合する。
(2)効率性
本案件の実施において進捗状況を適切に監理することにより、案件の効率性が確保される。
(3)有効性
本案件の実施により、パキスタンの国内物流の基幹ルートであるインダス・ハイウェイにおける交通のボトルネックが解消され、ハイウェイ全体の効果が発現することが期待される。
また、本事業実施区間にはシンド州北部の中心都市で米の生産が盛んなラルカナや、中部のダドゥといった中核的な地方都市があり、これらの都市からカラチやハイデラバードといった主要都市への市場アクセスが改善されることにより、シンド州地域における社会・経済発展に寄与し、パキスタン全体の経済発展ひいては我が国との二国間関係の強化につながる。
3.事前評価に用いた資料、有識者等の知見の活用
要請書、F/S、環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html)、その他国際協力銀行より提出された資料。
案件に関する情報は、交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/anken/zyoukyou.html)、借款契約締結後公表される国際協力銀行のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/archives/jbic/news.html)及び事業事前評価表(
http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html)を参照。
なお、本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力銀行が行う予定。