広報・資料 報告書・資料

政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日 平成19年3月5日
評価責任者 有償資金協力課長 岩間公典

1.案件概要

(1)供与国名
 インドネシア共和国

(2)案件名
 プサンガン水力発電所建設計画

(3)目的・事業内容
 本案件は、ナングル・アチェ・ダルサラム州のプサンガン川上流に位置するタワール湖付近に水力発電所2カ所、関連送電線及び関連変電施設を建設するとともに、配電網を整備することにより、アチェ・北スマトラ系統の電力需給逼迫の緩和及び供給の安定性を改善、電化率の向上を図ることを目的とする。

供与限度額 金利 償還(据置)期間 調達条件
260.16億円 0.75% 40(10)年 一般アンタイド

(4)環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

(イ)EIA(環境影響評価)
 2006年10月にナングル・アチェ・ダルサラム州政府より承認。また、実施機関が環境管理計画(RKL)及び環境モニタリング計画(RPL)に基づいて河川水質・灌漑用水流量等についてモニタリングする。

(ロ)用地取得及び住民移転
  約32ヘクタールの用地取得、4世帯の住民移転が見込まれており、国内手続きに沿って進められる予定。住民移転については同意取得済み。

(ハ)外部要因リスク
  気象の変化による水量の減少、治安情勢の悪化。

2.資金協力案件の評価

(1)必要性

(イ)開発ニーズ
 本案件の位置するナングル・アチェ・ダルサラム州では、2004年12月に発生したスマトラ沖地震・津波災害からの復興に加え、2005年8月にインドネシア政府と独立アチェ運動(GAM)との間で和平合意が成立し、同州の復興が進められている。このような状況の下、今後、アチェ・北スマトラ系統のピーク需要は上昇する見込である。今後見込まれる同系統における既存ピーク電源設備の老朽化による運転停止等を考慮すると、電源構成の適正化の観点から、新たなピーク電源開発が急務となっている。こうした事情を考慮すると本案件のニーズは高い。

(ロ)対インドネシア国別援助計画との関係
 本案件は、我が国の国別援助計画の中の「平和と安定」のための支援に合致するとともに、「民間主導の持続的な成長」実現のための支援の中の円借款の重点分野として掲げられている投資環境改善のための経済インフラ整備(電力)に合致する。

(2)効率性
 本案件の実施において進捗状況を適切に監理することにより、案件の効率性が確保される。

(3)有効性
 アチェ・北スマトラ系統の需給逼迫の緩和、供給の安定化を通じたスマトラ島北部の経済発展、アチェの復旧・復興支援及び貧困緩和、再生可能エネルギーの利用による地球環境負荷の軽減に寄与する。さらには、インドネシアの経済・社会発展を通じた我が国との二国間関係の強化が期待される。

3.事前評価に用いた資料、有識者等の知見の活用

 要請書、F/S、環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html)、その他国際協力銀行より提出された資料。
 案件に関する情報は、交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/anken/zyoukyou.html)、借款契約締結後公表される国際協力銀行のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/archives/jbic/news.html)及び事業事前評価表( http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html)を参照。
 なお、本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力銀行が行う予定。

このページのトップへ戻る
目次へ戻る