評価年月日 平成19年3月5日
評価責任者 有償資金協力課長 岩間公典
1.案件概要
(1)供与国名
インドネシア共和国
(2)案件名
貧困削減地方インフラ開発計画
(3)目的・事業内容
本案件は、ジャワ島・バリ島以外の貧困層の多い地域を対象に、地域住民の要望に基づき、交通関連施設(道路、橋)、上水・衛生関連施設(井戸・公衆トイレ)、生産関連施設(小規模灌漑)、市場関連施設、保健関連施設、教育関連施設(小中学校)等の小規模の基礎インフラの建設、改修、拡張等を行うほか、地域住民による自助グループを対象としたマイクロ・ファイナンスをパイロット的に導入し、当該地域に居住する貧困層の経済機会及び社会能力向上、地方行政能力の強化を図ることを目的とする。
供与限度額 | 金利 | 償還(据置)期間 | 調達条件 |
235.19億円 | 1.5% | 30(10)年 | 一般アンタイド |
(4)環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点
(イ)EIA(環境影響評価)
サブ・プロジェクトが環境への影響を持つことが想定されるが、その選定においてはインドネシア政府が策定する環境ガイドラインに則り、環境上脆弱な地域や保護区は対象外とすることになっている。
(ロ)用地取得及び住民移転
不要。
(ハ)外部要因リスク
特になし。
2.資金協力案件の評価
(1)必要性
(イ)開発ニーズ
インドネシアの貧困人口は、高い経済成長率を背景に減少傾向にあったが、1997年のアジア通貨危機や米価の上昇等により2006年3月における貧困人口は3,905万人(貧困比率17.8%)となり、貧困削減は依然として同国の重要な課題となっている。
インドネシア政府は、国家中期開発計画及び国家貧困削減戦略において2009年までに貧困層の割合を8.2%に削減することを主要優先課題とするとともに、初等教育や保健サービスの充実、貧困層の雇用機会創出の重要性を掲げている。2005年の石油価格高騰による燃料補助金削減は貧困層に大きな負担となっており、同政府は、補償プログラムとして貧困地域を対象に保健及び初等教育サービスの充実、小規模インフラ整備などを緊急に実施する方針である。このような事情を考慮すると、本計画のニーズは高い。
(ロ)対インドネシア国別援助計画との関係
本案件は、我が国の国別援助計画に掲げられた三つの柱のうち、貧困削減、教育、保健・医療、基礎的公共サービスの向上を通じた「民主的で公正な社会造り」に合致する。
(2)効率性
本案件の実施において進捗状況を適切に監理することにより、案件の効率性が確保される。
(3)有効性
貧困地域の基礎インフラを整備することを通じて、貧困削減に寄与する。さらには、インドネシアの経済・社会発展を通じた我が国との二国間関係の強化が期待される。
3.事前評価に用いた資料、有識者等の知見の活用
要請書、F/S、環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html)、その他国際協力銀行より提出された資料。
案件に関する情報は、交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/anken/zyoukyou.html)、借款契約締結後公表される国際協力銀行のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/archives/jbic/news.html)及び事業事前評価表(
http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html)を参照。
なお、本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力銀行が行う予定。