評価年月日 平成19年3月5日
評価責任者 有償資金協力課長 岩間公典
1.案件概要
(1)供与国名
インドネシア共和国
(2)案件名
北西スマトラ連系送電線建設計画
(3)目的・事業内容
本案件は、スマトラ島の北部に位置する北スマトラ電力系統と同島中部に位置する西スマトラ電力系統を連系するため、北スマトラ州パダンシデンプアンと西スマトラ州パヤクンブ間に約300キロメートルの架空送電線を新設するとともに、変電所2カ所を増設し、両地域の電力供給能力を向上させ、両系統の電力需給逼迫の緩和及び供給の信頼性向上を図るもの。
供与限度額 | 金利 | 償還(据置)期間 | 調達条件 |
161.19億円 | 1.5% | 30(10)年 | 一般アンタイド |
(4)環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点
(イ)EIA(環境影響評価)
2007年3月にインドネシア政府より承認予定。
(ロ)用地取得及び住民移転
事業対象地域における用地取得・住民移転の有無等の確認が必要。
(ハ)外部要因リスク
電力需給の大幅な変化。
2.資金協力案件の評価
(1)必要性
(イ)開発ニーズ
インドネシアにおける持続的経済成長・貧困削減のためには、改革推進と経済成長との好循環の実現に向けた環境整備が必要であり、経済インフラの整備は、ビジネス環境を整備し、民間投資を回復するために重要である。特に、電力の安定供給は、民間投資誘致のために不可欠である。
本計画の位置するアチェ・北スマトラ系統及び西スマトラ系統は、経済成長に伴い、今後電力のピーク需要が増加する見込みである。一方、スマトラ島の供給信頼度(停電時間及び停電回数)はインドネシア全体の平均より低い水準にあり、適正な電力供給システム構築のために送変電設備の整備が急務となっている。こうした事情を考慮すると本案件のニーズは高い。
(ロ)対インドネシア国別援助計画との関係
本案件は、我が国の国別援助計画の中で、円借款の重点分野として掲げられている投資環境改善のための経済インフラ整備(電力)に合致する。
(2)効率性
本案件の実施において進捗状況を適切に監理することにより、案件の効率性が確保される。
(3)有効性
アチェ・北スマトラ系統及び西スマトラ系統を連系して両系統の電力供給能力を向上させ、電力需給逼迫の緩和及び供給の信頼性向上を図り、もって投資環境を改善し、経済発展に寄与する。さらには、インドネシアの経済・社会発展を通じた我が国との二国間関係の強化が期待される。
3.事前評価に用いた資料、有識者等の知見の活用
要請書、F/S、環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン(http://www.jica.go.jp/environment/guideline/archives/jbic/index.html)、その他国際協力銀行より提出された資料。
案件に関する情報は、交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/anken/zyoukyou.html)、借款契約締結後公表される国際協力銀行のプレスリリース(http://www.jica.go.jp/press/archives/jbic/news.html)及び事業事前評価表(http://www.jica.go.jp/activities/evaluation/before.html)を参照。
なお、本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力銀行が行う予定。