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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日平成18年4月5日
評価責任者:無償資金協力課長 鈴木秀生


1.案件名

1-1.被供与国名
 ニカラグア共和国

1-2.案件名
 「ボアコ病院建設計画」
2.無償資金協力の必要性

2-1.二国間関係
 1935年に外交関係樹立。ニカラグアは、これまでにわが国との間で良好な関係を構築している。これまでのわが国の援助は、ハリケーン・ミッチ災害にも耐えた橋梁等に代表されるように、ニカラグアにおいて高く評価されており、わが国ODAプロジェクトを図柄とした友好記念切手も発行されている。2005年には日本・中米(ニカラグアを含む)外交関係樹立70周年を迎え、8月には日本・中米首脳会談が開催され、「東京宣言」及び「行動計画」が採択された。

2-2.対象国の経済状況
(1) 所得水準(1人あたりのGNI)は748ドル(2003年)
(2) 主要産業は、農業を中心とする第一次産業。
(3) 1996年、ニカラグアは重債務貧困国(HIPC)に認定。その後、債務削減措置であるHIPC拡大イニシアチブの適用条件である「暫定貧困削減ペーパー(Interim-PRSP)」を2000年8月に作成し、同年12月に世銀及びIMFのそれぞれの理事会において決定時点への到達が承認された。2004年1月には完了時点に到達し、その結果、ODA債務の大幅削減、非ODA債務原則90%削減(G7各国は自主的に100%削減を実施)、国際機関の債務返済免除等、債務持続可能となる範囲までの救済措置が実施され、わが国も129億円の債権放棄を行った。

2-3.対象国の開発ニーズ
(1) ニカラグアでは、内戦(79年~89年)終了後、着実な経済復興を見せているが、依然としてラテンアメリカ諸国内の最貧国の一つであり、米州保健機構の統計では全人口の約50%が貧困層、約19%が極貧困層にある。また、内戦終了後の人口増加率は、平均3.9%と高い状況にあるため、医療及び保健水準が低い状況にある(乳児死亡率32/1000出生、妊産婦死亡率120/10万出生であり、隣国であり、人口、面積、所得水準も比較的近い中米のホンジュラスの乳児死亡率32/1000出生、妊産婦死亡率110/10万出生と比較しても低い状況にある)。
(2) ニカラグア政府は、2003年、「国家開発計画(2003~28年)」を策定し、その中で「医療、教育等のサービス向上や弱者保護強化」をうたい、さらに保健セクターでは「国家保健計画(2004~15年)」を策定し、「保健医療サービスへのアクセス拡大・質の改善」及び「大西洋側地域における保健改革」を掲げている。
(3) 保健省は「国家保健5ヶ年計画(2005~09年)」を策定し、医療保健インフラのうち、早急に整備が必要な第二次病院を7つ選択し、その中でボアコ病院が優先的に整備すべき病院施設となっている。ボアコ病院は、ボアコ県のみならず貧困度の高い北東部3県における中核病院としての位置づけを持つことから、保健省としては、本病院を緊急に整備することを決定したものである。
(4) このような状況のもと、ニカラグア政府は、「ボアコ病院建設計画」を策定し、わが国に対し無償資金協力を要請したものである。

2-4.わが国の基本政策との関係
 わが国は、2002年の「国別援助計画」の5つの重点分野の一つとして、「保健・医療・教育(施設の整備と人材育成)」を掲げており、本案件は我が国の対ニカラグア支援の基本政策に合致している。

2-5.当該案件に無償資金協力を供与する理由
 ニカラグアは低所得国であり、本件の実施を先方政府は高い優先順位を付して要請してきている。現ボアコ病院は、1988年のハリケーン災害後、倉庫を病院として活用してきており、病院としての安全面、衛生面が確保されていない。新たにボアコ病院を建設、医療機材整備を行うことは、ニカラグア北東部の医療事情改善につながり、実施することによる効果は大きい。
3.案件概要

3-1.本プロジェクトの目的
 本計画は、第二次病院であるボアコ病院を建設し、ニカラグア北東部の医療サービス向上を目的としている。

3-2.実施内容
 供与限度額は13億1,800万円(国庫債務負担行為。平成18年度2億4,300万円、平成19年度10億7,500万円)であり、ボアコ病院の建設及び医療機材整備を行うものである。

3-3.環境社会配慮など留意すべき点
 以下の事項がニカラグア政府により実施される必要がある。
(1) 本計画により整備された施設の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。
(2) 活動に必要な運営経費について必要な予算措置を行うこと。

3-4.無償資金協力供与の成果の目標(アウトカム)
(1) ボアコ病院の医療サービスが改善することに伴い、外来患者数(20,519件/年)、入院患者数(22,953件/年)、手術件数(3,262件/年)等の数値が増加する。
(2) ボアコ病院の患者に対して病状に応じた利用サービスが提供できる。
(3) ニカラグア北東部における医療関連研修を行うことできる。
(4) 本計画の実施により、わが国とニカラグアの友好関係が促進される。
4.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1) ニカラグア政府からの要請書
(2) JICAの基本設計調査報告書(平成17年9月)(JICAを通じて入手可能)
(3) 第25回無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/kaikaku/ugoki.html


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