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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日平成18年4月1日
評価責任者:無償資金協力課長 鈴木秀生


1.案件名

1-1.供与国名
 モンゴル国

1-2.案件名
 「東部幹線道路建設及び道路建設機材整備計画(2/2期)」
2.無償資金協力の必要性

2-1.二国間関係
 1990年の民主化以降、我が国とモンゴルの関係は急速に強まっている。1998年5月にモンゴル元首として初めてバガバンディ大統領が公式訪日し、日モンゴル両国政府は、「総合的パートナーシップの確立」の確認とモンゴルの民主化、改革への日本の継続的支援等の内容を盛り込んだ「友好と協力に関する共同声明」を発表した。
 1999年7月には小渕総理(当時)がモンゴルを、2001年2月にはエンフバヤル首相が初めての外国訪問として我が国をそれぞれ訪問したほか、2006年3月には、「大モンゴル建国800周年」を契機にエンフボルド首相が来訪するなど、「総合的パートナーシップ」を機軸とする友好と協力関係が一層促進されている。

2-2.対象国の経済状況
(1) モンゴルの一人当たりGDPは約479ドル(2003年)で、低所得国に属する。主な産業は、鉱業、牧畜業及び軽工業である。
(2) 1990年の改革開始当初は、移行経済に伴う諸困難から経済は低迷を続けるが、経済の構造改革、日本をはじめとする外国からの支援等を軸に1994年には経済の低迷に歯止めがかかり、GDP前年比数値が1990年以降初めてプラスに転じ(2.3%)、1995年にはプラス6.3%となった。
(3) 1996年から2004年の間もプラス成長を記録しているが、銅やカシミヤの国際価格の変動に影響を受け、財政赤字と貿易赤字が続いている。

2-3.対象国の開発ニーズ
(1) モンゴル政府は、東西の道路網が整備されていない各県を結び、輸送効率、工業・サービスの促進、更に地域開発による地方の生活向上を目指し、2000年に「ミレニアム道路計画」(全長約2,200km)を策定した。この国家計画の下、モンゴル政府の要請に基づき我が国が実施した開発調査「東部幹線道路建設整備調査」(2001年)の結果、道路整備によって特に高い経済効果が期待できるモンゴル東部の全長約260km(エルデネ~ウンドゥルハーン間、全6区間)の整備について、モンゴル政府は2001年に最優先プロジェクトとして認定し、事業化に着手した。
(2) この6区間のうち、モンゴル政府は自己資金により区間1(2002年完成)及び区間3~区間5(2003~2006年完成予定)の整備を行ってきたが、幹線道路上の交通ボトルネックとなっている、国際基準を満たしていない4橋梁の整備を含む区間2(バガヌール~ヘルレン間、30.1km)及び区間6(ムルン西~ウンドゥルハーン間、28.1km)については、モンゴル政府による実施が技術的・資金的に困難であることから、両区間の道路・橋梁等の整備及び道路維持管理用機材の調達のための資金につき、我が国政府に無償資金協力を要請してきたものである。
(3) このうち本計画は、第一期の道路新設(区間2のうち一部5.2km)及び第二期の詳細設計に引き続き、第二期本体工事(4年国債)を実施するものである。

2-4.わが国の基本政策との関係
 2004年11月に策定した、対モンゴル国別援助計画の重点分野の一つである「経済活動促進のためのインフラ整備支援」に合致している。

2-5.無償資金協力を実施する理由
 本案件は、対象地域の幹線道路整備の早期実現に有効で、沿道の経済活性化、地域住民の生活向上に寄与するとともに、地域間格差の是正を通じて国土の均衡ある発展に寄与することから、無償資金協力を実施する必要性が高い。
3.案件概要

3-1.目的
 本案件は、轍道を解消するため、東部幹線道路を整備し、幹線道路上の交通ボトルネックとなっている、国際基準を満たしていない4橋を建設するものである。本案件の実施により、ウランバートルからウンドゥルハーン間が舗装道路となり年間を通じて安全で確実な道路交通が確保されることにより、モンゴル東部地域における確実な輸送が可能となり、地域経済の活性化が促進される。

3-2.案件内容
 供与限度額は、24億円(4ヵ年総額)。「東部幹線道路」(エルデネ~ウンドゥルハーン間・全6区間、約260km)のうち、区間2(バガヌール~ヘルレン間、30.1km)及び区間6(ムルン西~ウンドゥルハーン間、28.1km)の2区間(計58.2km)における道路改修・新設および橋梁の改修、ならびに道路維持管理用機材の整備を行う。

3-3.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点
 次の事項がモンゴル政府によって確保される必要がある。
(1) 道路用地および建設用地が確保されること。
(2) 予算が確保され、適切に施設・機材の維持管理が行われること。

3-4.無償資金協力の成果の目標(アウトカム)
(1) 年間を通じた(特に冬季の)東西の地域間交通に対する安全性が増し、安定した物資の供給が確保される。
(2) 東西区間(バガヌール~ウンドゥルハーン間223km)の移動時間の短縮(平均走行速度20~40kmhが60~80kmhに向上することにより、移動時間5~10時間が2時間半程度に短縮)と大型車の重量制限(総重量14t以下)の撤廃により、輸送コストが低減し、東部地域における農牧業の振興と鉱業の発展に寄与する。
(3) 轍と粉塵により草原が消失するのを防ぎ(草原消失面積が約12%減少)、脆弱な環境を保全する。
(4) 市場・学校・病院等へのアクセスが容易となり、モンゴル東部3県の地域住民(約108万人)の住民生活レベル向上が期待される。
(5) 本案件の実施によって、我が国とモンゴルとの二国間関係が増進される。
4.事前評価に用いた資料、有識者の知見等

(1) 先方政府からの要請書。
(2) JICA基本設計調査報告書(JICAを通じて入手可能)。
(3) 第25回無償資金協力適正会議(概要については外務省のODAホームページ。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/kaikaku/ugoki.html


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