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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日:平成19年2月26日
評価責任者:無償資金・技術協力課長 和田充広


1.案件名

1-1.供与国名
 マダガスカル共和国

1-2.案件名
 「アンツィラナナ州及びトリアラ州小学校教室建設計画」

1-3.目的・事業内容
 本プロジェクトは、全国的にも教室充足率が低い北部アンツィラナナ州及び南西部トリアラ州において、小学校教室及び給水施設の建設並びに教育家具等の調達を行うものであり、これによって対象サイトにおける適切な初等教育環境の改善とともに、技術指導を通じ住民組織による学校運営維持管理能力の向上と衛生環境の改善を図ることが目的である。
 供与額は10億3,200万円であり、アンツィラナナ州及びトリアラ州の小学校における64校200教室の建設及び建替え、倉庫付き校長室32室の建設、便所64棟192便房の建設及び生徒・教員用机椅子、収納棚等の整備、給水施設を有しないトリアラ州5校、アンツィラナナ州21校における給水施設の建設及び施設維持管理に係る技術指導を行うものである。

1-4.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点
 以下の事項がマダガスカル共和国政府により実施される必要がある。
(1)本計画により建設された施設の維持管理を適切かつ継続的に実施すること。
(2)活動に必要な人的手当及び予算措置を行うこと。
2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性
(1) マダガスカル政府は「貧困削減戦略文書(PRSP)」の下、教育セクターへの投資計画を重点分野の一つに掲げ、2005年には「万人のための教育計画」を策定し、2015年までに児童の初等教育修了率100%達成を目指し初等教育の無料化等の施策を行っている。これらにより、1990年代後半以降同国の初等教育就学率は上昇傾向にあるが、児童数増加に施設建設が対応出来ておらず、1教室あたりの生徒数は57.3人(2005/2006)と過剰を呈しており、教育環境の改善が課題となっている。
(2) 上記目標の達成には、年間2,000教室の建設が必要とされているが、我が国や他ドナーの支援を含め、2000年度からこれまでに1,200教室しか建設されておらず、既存施設の老朽化も相俟って、依然として絶対的な教室数が不足している状況である。このような背景から、同国政府は我が国に対し全国的にも教室充足率が低い残り2州の北部アンツィラナナ州及び南西部トリアラ州に対し、教室の建設及び建替え並びに教育家具の調達に必要な資金につき、無償資金協力を要請してきたものである。
(3) なお、本案件はコミュニティ開発支援無償を活用して実施される。父兄や地域住民によって構成される学校運営委員会の設立、運営や給水施設や便所の維持管理や衛生教育についての技術指導を行い、コミュニティによる持続的な学校運営・維持管理能力の向上やコミュニティにおける衛生環境の改善に資することを計画している。

2-2.効率性
(1) 本件は、コミュニティ開発支援無償を活用して実施される案件であり、資機材は全て現地調達とし、また各州の気候・地理学的条件に合わせた設計仕様(雨の少ない乾燥地帯のトリアラ州では天井のない仕上げ等)により、コスト縮減に努めている。
(2) 本件を実施するにあたり、要請対象校の教室及び便房の数量設定は、サイトの就学需要、施設状況、費用対効果等のデータについて定量的に調査し作成した、各地域における優先整備校リストに基づき必要数を算定した。

2-3.有効性
(1) 本件の実施により、以下のような成果が期待される。
・教室の建設、建替え、教育家具の調達により、教育環境の改善及び児童収容数の増加が見込まれる。
・給水施設及び便所の建設によって衛生環境が向上する。
・学校施設の維持管理のためのガイドラインが策定され、技術指導により地域住民の学校運営維持管理に対する意識向上が図られ、適切な学校運営体制が確立される。
(2) また、同国PRSPにおいても、教育は優先項目のひとつであり、教育・科学研究省の教育開発・改革戦略計画「万人の教育」では、初等教育の質の向上及び全児童に対する教育へのアクセスの保障を掲げている。本案件はこのような上位目標に合致しており、実施による有効性は高い。
(3) 教育分野においては、我が国はこれまでに1997年度及び1998年度に「小学校建設計画」、2005年度及び2006年度に「第二次小学校建設計画」を実施しており、本案件の実施は同国教育分野に対する我が国の一貫した協力方針を維持強化するものである。
(4) さらに、本計画の実施により、マダガスカルと日本の二国間関係の強化が期待される。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

(1) マダガスカル共和国政府からの要請書
(2) JICAの基本設計調査報告書(JICAを通じて入手可能)
(3) 無償資金協力適正会議(同会議の概要については外務省ODAホームページ参照。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/kaikaku/ugoki.html


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