1.案件名
1-1.供与国名 インドネシア共和国 1-2.案件名 「海賊、海上テロ及び兵器拡散の防止のための巡視船建造計画」 |
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2.無償資金協力の必要性 2-1.二国間関係 インドネシア共和国は、我が国が中東から石油等を運ぶ際の極めて重要な海上輸送路に位置する上、東南アジア地域において国土・人口・資源の全てにおいて最大規模であり、ASEANの中核国の一つとして東南アジアの安定と発展のために重要な役割を担う国である。したがって、我が国は、インドネシア共和国を我が国の東南アジア外交上の重要なパートナーの一つと位置付けている。 日・インドネシア関係は、昨年の経済連携協定交渉の開始に代表されるように、主として経済面での相互依存関係を背景として、緊密且つ広範な友好協力関係が築かれている。両国間の要人往来も活発に行われており、文化、人物交流の面でも幅広い協力関係が進展している。 2-2.対象国の経済状況
近年多発している海賊・武装強盗事件は、凶悪化、組織化、国際化し、海上保安対策の重要性が増してきている中で、インドネシア領海は、全世界の海賊事件の約3割が発生する海賊多発地帯となっている。また、我が国をはじめ世界各国にとって極めて重要な海上輸送路であるマラッカ海峡は、通過船舶200隻/日以上、我が国の関係船舶も年間14,000隻が往来する国際的な海運の大動脈である。その一方で、全世界の1割強(2004年:37件)もの海賊事件が発生しており、沿岸国であるインドネシア共和国の海上保安体制の強化は緊急の課題となっている。また、マラッカ海峡を挟んだ密輸や不法入国も問題となっている。 本計画は、国家開発計画(PROPENAS)の中で国家開発のプライオリティとしている5点の1つである「健全な統治の実施」に寄与するものである。 2-4.我が国の基本政策との関係 我が国は、インドネシア共和国に対し、「民間主導の持続的な成長」「民主的で公正な社会造り」「平和と安定」の3分野を重点分野として支援しているが、本計画はこのうち「平和と安定」に該当する。 また、本計画は、我が国のODA重点課題のうち、「地球規模の問題への取組」における「テロとの闘い」に該当するものである。供与予定の巡視船艇は、乗員を保護するための防弾措置を施した結果、輸出貿易管理令に規定される「軍用船舶」に該当し、武器輸出三原則等上の「武器」に当たるため、平成18年6月の官房長官談話で、武器輸出三原則等の例外化を図る予定である。 2-5.当該案件に無償資金協力を実施する理由 テロリストや海賊は国境を越えて活動しており、国際的な協力が重要である。一方で、マラッカ海峡は沿岸国の領海で占められていることから、沿岸国が同海峡の安全確保に責任を有しており、沿岸国の取締り能力を向上させることが重要である。また、インドネシア共和国の海上保安体制の強化は、インドネシア共和国の安定した経済社会開発に寄与するのみならず、2005年3月に同海峡で発生した日本船の襲撃に象徴されるような事件は、我が国の国民の安全及び我が国の経済活動にとって直接の脅威となっており、緊急に解決すべき課題といえる。また、同海峡を挟んだ密輸や不法入国も問題となっている。 インドネシア共和国は低所得国であることから、テロ・海賊行為等の取締まりやその防止に必要な資機材等の整備が困難な面があり、その対応能力は不十分であるという状況にある。 テロ・海賊行為等の効果的な取締り・防止に必要な本案件の実施については、インドネシア共和国政府自身も高い優先順位で要請を行っており、本計画の実施により対象地域の海上保安体制が強化される。 |
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3.案件概要
3-1.目的 海賊・武装強盗事件が頻発しているマラッカ海峡において、インドネシア共和国に巡視艇を供与することにより、同国の海上保安体制の強化に資することを目的とするものである。 3-2.案件内容 国家警察海上警察局で使用する巡視船3隻(船舶全長約27m、速力:約30ノット、航続距離:約600海里)を供与し、ベラワン基地及びタンジュンバツ基地、ジャカルタ基地に配備するもの。 3-3.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点 次の事項がインドネシア共和国政府によって確保される必要がある。
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4.事前評価に用いた資料、有識者等の知見等
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