1.案件名
1-1.供与国名 インド 1-2.案件名 プルリア揚水発電所建設計画(II) | ||||||||||||
2.有償資金協力の必要性
2-1.二国間関係 インドは世界第二位の人口、アジア第二位の国土面積を有し、民主主義、市場経済というわが国と共通の価値観、システムを共有し、また、「南」「非同盟」の指導的地位を確立しているばかりでなく、近年は米国や中国との関係緊密化を促進し、国連等国際場裡での発言力を一層強めている。 またインドはIT分野の飛躍的発展もあり、今後ともアジア太平洋における経済成長の一大センターになることが見込まれ、インドとの関係を更に発展させることはわが国にとって重要。 2-2.対象国の経済状況 インドの一人当たりGNIは480ドル(2002年:世銀資料)であり、円借款供与対象国の貧困開発途上国として位置付けられるが、10億4,828万人(2002年:世銀資料)の人口を抱えGDP5,150億ドル(2002年:世銀資料)、経済成長率は4.3%(2002年度:印側資料)を達成している。 外貨準備高は1991年度の56億ドルから1,018億ドル(2003年12月:印側資料)と順調に増えている。経常収支は、2003年度に入り再度赤字化したものの、2001、2002年度は黒字に転じている。長期債務残高は、1,046億ドル(2002年度:印側資料、対GDP比20.1%(2002年度:IMF資料、)、DSRは14.8%(2002年度:IMF資料)である。 また、インドは規制緩和・撤廃、貿易自由化、外貨導入等を内容とする経済自由化を積極的に推進しており、対インド外国投資の増加、経済成長率の増進、輸出増大による貿易赤字の縮小、外貨準備高の増加等が期待できる。 したがって、今後とも、インドの長期的債務返済能力が問題となる蓋然性は低い。 2-3.対象国の開発ニーズ インドの人口の約3分の1が貧困状態にあること、電力、運輸等の経済インフラが依然として絶対的に不足していること等の開発ニーズを踏まえて、我が国は、国別援助方針において、1)電力・運輸を中心とした経済インフラ整備、2)農業・農村開発等を通じた貧困対策、3)植林、水質改善、さらには都市部の環境改善への取組み等の環境改善を円借款供与の重点分野と位置づけている。 本件計画は、上記 1)の重点分野に該当するものである。この協力は、インドにおける持続的経済成長・貧困削減に資するものであり、有償資金協力の意義が認められる。 2-4.我が国の基本政策との関係 本件計画について、国際連合憲章の諸原則(特に、主権、平等及び内政不干渉)やODA大綱の「援助実施の原則」に抵触する点は認められない。 なお、インドが1998年5月に行った核実験に対してわが国は「経済措置」をとっていたが、核実験モラトリアムの継続等を踏まえて2001年10月に同措置を停止している。 2-5.有償資金協力を実施する理由 インドでは慢性的な電力不足が続いており、年間実績(2002年度*)において、必要電力量545,674GWhに対する供給不足は▲48,085GWh(▲8.8%)、ピーク時の必要電力81,492MWに対しする供給不足は▲9,945MW(▲12.2%)となっている。電力不足は、産業の発展や生活レベルの改善におけるボトルネックとなっており、インド全土で電力不足の解消が緊急課題となっている(*)ピーク時のみ4月~2月実績。西ベンガル州においても、2002年度ピーク電力需要3,854MWに対して供給は3,407MWに留まっており、11.6%の電力不足が生じている。 |
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3.案件概要
3-1.目的(アウトプット) インド東部西ベンガル州カルカッタ市北西約300kmのプルリア地区キストバザール川に出力900MWの揚水発電所(ピーク需要対応)を建設し、併せて関連送変電設備を建設する計画に係る2004年4月から2006年3月までに生じる資金需要に対して支援を行う。 3-2.実施内容 供与限度額:235億78百万円 金利:年1.30% 償還(うち据置)期間:30(10)年 調達条件:一般アンタイド 借入人:インド政府 実施機関:西ベンガル州電力庁 3-3.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点
3-4.有償資金協力の成果の目標(アウトカム) 本件計画を通じ、電力供給能力の改善による民生の向上、産業の活性化等が期待される。また、本事業への資金協力を通じ、インドの経済近代化の後押しを行うことから、二国間関係の増進に資する。 |
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4.事前評価に用いた資料等及び有識者の知見の活用
要請書、F/S、国際協力銀行から提出された資料 |