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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日:平成15年4月11日
評価責任者:無償資金協力課長 山田彰


1.案件名

1-1.供与国名
 セネガル共和国

1-2.案件名
 「第四次小学校教室建設計画(3/3期)」
2.無償資金協力の必要性

2-1.二国間関係
 日セネガル関係は従来より良好であり、両国間の要人往来も活発である。
 セネガルは、我が国が主催する「アフリカ開発会議(TICAD)」に対する貢献も大きい。具体的には、拡大共催者としてTICADプロセスに参加するのみならず、1998年、2001年と二度にわたりTICAD準備会合をホストするなど、我が国がTICADプロセスを推進するにあたって重要な理解・協力者となっている。また、文化面においても、数多いアフリカ諸国の中でも抜きん出て交流が盛んである。
 我が国は係る良好な二国間関係、民主的な政治運営による安定等に鑑み、セネガルを我が国援助の重点国の一つとして位置付けており、同国内においても我が国の経済協力は高く評価されている。

2-2.対象国の経済状況
 経済は、落花生栽培などの農業が中心で、一次産品価格の低迷などにより、財政赤字、国際収支赤字、対外債務問題が恒常化している。このような状況の中で、セネガル政府は、世銀・IMFとの協調の下、緊縮財政、構造調整、民営化等に取り組んでおり、1994年1月のCFAフラン切り下げ以降、経済が上向き、経済成長率は高水準で安定し(1995-2001年にかけて5%台を維持)、物価上昇率も抑制されている(2000年0.7%)。他方、構造調整の影響として失業の増加、都市部への人口の集中、貧富の差の拡大等による社会不安も増大しており失業、貧困対策や経済の多様化が今後の課題となっている。

2-3.対象国の開発ニーズ
 セネガル政府は、国家開発政策(PNDS1998-2007)において初等教育の普及を重点事項とし、また、「教育・訓練10ヵ年計画(2000-2010年)」を策定し、初等教育について2010年までに就学率を100%とする目標を掲げている。

2-4.我が国の基本政策との関係
 アフリカ有数の民主主義国家として政情が安定。本案件は我が国援助重点分野(水、教育、保健・医療、環境、農水産業)と一致。2002年に「貧困削減戦略文書」(PRSP)最終版を策定したが、その重点分野とも一致。

2-5.無償資金協力を実施する理由
 セネガルは後発開発途上国であり、本件の実施についてセネガル政府から高い優先順位を付して要請されている。
3.案件概要

3-1.目的
 本計画は「教育・訓練10ヵ年計画」の目標である初等教育の就学率の向上を達成するため、年間2,000教室を建設するという計画の一部を構成し、就学率の向上及び初等教育環境整備を目的としている。

3-2.案件内容
 供与限度額は11億800万円。第三期目として、カオラック州及びファティク州における小学校41校計119教室の建替え、増築、新設。便所等の建設。児童用椅子・机、黒板等の初等教育機材の供与、生徒、父兄、村落を対象とした施設の維持管理に関する指導。

3-3.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点
(1) 便所を男女別にし、女子の就学に配慮。
(2) 教室の新設及び増設に伴う教員等の学校関係者の増員、干ばつ等により対象地域の住民の収入が激減しないことが前提。

3-4.無償資金協力の成果の目標(アウトカム)
(1) 教室の新設、増設、建替えにより、約15,000人の生徒が新たに就学することが可能となる。
(2) 現在行われている二部授業や過密教室の問題が大幅に緩和され、約34,000人の生徒に対して良好な学習環境を提供する。
(3) 教室、便所等の学校施設の維持管理に関する指導を行うことにより、父母、教師を中心とした学校施設の維持管理体制が確立されると共に、教育省の施設管理能力が向上する。
(4) セネガル政府の初等教育就学率を2010年までに100%にするという目標の達成に貢献できる。
(5) アフリカにおける我が国の重要な理解・協力国であるセネガルの将来を担う人々の育成支援を通じて、二国間関係を増進させる。
4.事前評価に用いた資料、有識者の知見等

(1) 先方政府からの要請書、政策対話結果
(2) 第3回無償資金協力実施適正会議にて説明し、建設コスト等につき意見を聴取。


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