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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日:平成15年4月11日
評価責任者:無償資金協力課長 山田彰


1.案件名

1-1.供与国名
 マダガスカル共和国

1-2.案件名
 「国道7号線バイパス建設計画」
2.無償資金協力の必要性

2-1.二国間関係等
 マダガスカルと日本との二国間関係は、伝統的に良好である。マダガスカルは、インド洋における仏語圏の拠点として、仏との友好関係強化を主眼としつつ、経済開発を進める観点から先進諸国との関係強化を図っている。2001年12月の大統領選挙に端を発した政情不安が起こったが、翌2002年7月頃から鎮静化している。

2-2.対象国の経済状況
 労働人口の約80%が農業生産に従事し、国内総生産(一人当たりGDPは260ドル)の約30%を農業分野が占める農業国であるが、1970年代に社会主義政策を採ったこと、また天候不順による農業生産の不振、主要輸出品であるコーヒーの国際価格の下落等から深刻な経済困難に陥り、1980年代よりIMF、世銀との構造調整を実施して経済の再建に鋭意努力しているが、未だ厳しい経済・財政状況にある。

2-3.対象国の開発ニーズ
(1) 年平均8%の車輌台数の増加と財政難による劣悪な道路整備状況により、深刻な交通渋滞が慢性的に発生しており、実施途中にあるIMF及び世界銀行との構造改革でも、幹線道路・首都圏道路整備は重要項目の一つとして挙げられている。
(2) 首都アンタナナリボ市を起点として、国内主要都市との間を放射線状に結ぶ5つの主要幹線道路が存在するが、それらを連結する循環道路がないため、どの車輌も渋滞の著しいアンタナナリボ市を通過せざるを得ず、地域間物流の大きな障害となり経済開発を進める上で深刻な阻害要因となっている。また現在、同国政府は渋滞緩和のために大型車輌の市街地流入制限措置をとっており、物流への影響は甚大である。更に、首都から第二の都市フィアナランツォアへと伸び、同国の穀倉・工業地帯を横断する国道7号線については、首都から南方約5km地点に位置するタンジュンバト地区で極度の交通渋滞が慢性的に発生し、物流・運輸の恒常的障害となっている。このため、輸出入および主要生産物の要となる幹線道路整備と、首都圏道路整備に重点を置いている。


2-4.我が国の基本政策との関係
 我が国の対マダガスカル援助の重点分野の一つが、地方開発に資するインフラ分野の整備であり、幹線道路の整備はこれに含まれる。従って、本案件は我が国の基本政策に合致している。

2-5.無償資金協力を実施する理由
 マダガスカルは後発開発途上国であり、本件の実施を先方政府は高い優先順位を付して要請してきている。
3.案件概要

3-1.目的
 本計画は「首都圏道路整備計画」の中の「首都圏環状道路整備計画」の一部を構成するものであり、首都アンタナナリボ市の慢性的交通渋滞の緩和と物流の円滑な流れを実現させることを目的としている。

3-2.案件内容
 供与限度額は31億2,700万円(平成15年度:6.70億円、平成16年度:12.77億円、平成17年度:8.01億円、平成18年度:3.79億円)。
 国道7号線と、国道2号線とを繋ぐ2車線(片側1車線)のバイパス道路約15kmの建設(96mと150mの橋梁2本の建設を含む)。

3-3.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点
 以下の事項がマダガスカル政府によって確保される必要がある。
(1) マダガスカル側の負担部分(土地収容、家屋収用、住民移転先整地、障害物移転、水道・電気・電話の整備)の適切な実施のための予算の確保・工事の進捗。
(2) 完成後の維持管理のための予算及び人員の確保。

3-4.無償資金協力の成果の目標(アウトカム)
(1) 首都アンタタナリボ市への流入車輌の減少により交通渋滞を緩和する。
(2) 首都南方タンジュンバト地区の渋滞緩和による物流を正常化する。特に市街地を経由しない輸送路の確立による輸送の費用と時間的ロスを軽減する。
(3) 穀倉・工業地帯と輸出港を結ぶ輸送路の拡充・能力向上による、沿岸の農民、軽工業従事者等による経済活動を活性化する。
(4) マダガスカルとの二国間関係を増進する。
4.事前評価に用いた資料等及び有識者等の知見の活用

(1)先方政府からの要請書
(2)第3回無償資金協力実施適正会議にて検討。


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