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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日:平成15年4月11日
評価責任者:無償資金協力課長 山田 彰


1.案件名

1-1.供与国名
 ネパール王国

1-2.案件名
 「第三次カトマンズ地区配電網拡張整備計画」
2.無償資金協力の必要性

2-1.二国間関係
 我が国皇室とネパール王室との間の往来は盛んであり、両国関係は伝統的に極めて友好裡に推移。また、要人往来も活発。文化関係では、青年の相互交流等を実施している。

2-2.対象国の経済状況
 ネパールの一人当たりGDPは約240ドルで、経済面では、農業のほか、観光業と繊維加工業を主たる産業としており、GDPの約4割、就業人口の約8割を農業部門が占めているため、農作物収穫高にその年の経済成長率が左右される構造を有している。
 国家財政は慢性的な赤字状態を呈しており、赤字を外国援助が補う構造となっている。また、貿易赤字は財政赤字と並びネパール経済の最大の懸案で、2001年度の貿易赤字額は7億ドルとなり、対GDP比11%となっている。主要な貿易産品としては、輸出は既製服、カーペット、銀器、宝石類、パシュミナなど、輸入は石油製品、金、糸、化学肥料、輸送用機械及び部品等が挙げられる。
 また、開発支出を維持していくために外国援助が不可欠である(開発予算の約6割を外国援助で充当)が、援助依存体質脱却に向け、徴税能力の強化、課税基盤の拡大による歳入強化が重要となっている。

2-3.対象国の開発ニーズ
 カトマンズの電力事情は、発電施設及び送配電網の双方の整備の遅れから、慢性的な供給不足が続いてきたが、発電施設に関しては逐次建設が進められ、電力供給能力については改善されつつある。その一方で、電力需要の増加に伴う送電・変電・配電設備の容量不足がカトマンズ市への電力供給における新たなボトルネックとなっており、新たな送配電網の整備が必要となっている。

2-4.我が国の基本政策との関係
 ネパールとの政策協議において援助重点分野(人材資源開発、社会分野、農業開発、経済基盤整備、環境保全)とされた経済基盤整備分野への支援と合致している。

2-5.無償資金協力を実施する理由
 ネパールは後発開発途上国であり、本案件の実施についてネパール政府から高い優先順位を付して要請が行われている。
3.案件概要

3-1.目的
 本計画は、「カトマンズ地区送配電網拡張整備計画マスタープラン」(1991年策定)で提言されたもののひとつであり、特にカトマンズ中心部における電力の安定供給を目的としたものである。なお、本マスタープランに沿った計画の実施は、主に我が国の無償資金協力(第一次及び第二次カトマンズ地区配電網拡張整備計画、1992~1997年)により実施されている。

3-2.案件内容
 供与限度額は13億8000万円(国庫債務負担行為案件。平成15年度12億1800万円、平成16年度1億6300万円)。カトマンズ地区における変電所の新設及び変電機器、送配電線の整備。

3-3.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点
 次の事項がネパール政府によって確保されること。
 ・本計画により整備された送配電設備の維持管理の適切かつ継続的な実施。

3-4.無償資金協力の成果の目標(アウトカム)
(1) 新たな変電所の建設により、カトマンズ中心部の電力の安定供給を確保する。
(2) 既存変電所の変圧器の容量不足による広域停電及び計画停電を解消する。
(3) カトマンズ中心部の電力の安定供給により、社会経済活動を活性化する。
(4) ネパールとの2国間関係を増進する。
4.事前評価に用いた資料及び有識者の知見等

(1)先方政府からの要請書
(2)第3回無償資金協力実施適正会議において検討。


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