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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日:平成15年5月13日
評価責任者:無償資金協力課長 山田彰


1.案件名

1-1.供与国名
 カメルーン共和国

1-2.案件名
 「第二次小学校建設計画(3/3期)」
2.無償資金協力の必要性

2-1.二国間関係等
 1960年1月、カメルーンが独立し、我が国が同国を承認して以来、主に我が国よりの経済協力を通じて関係は良好である。同国は中部アフリカの指導的国家であり、我が国との友好関係に鑑み、農業、教育、給水等の基礎生活分野において積極的に支援を行ってきている。

2-2.対象国の経済状況
 1980年代後半以降の一次産品の価格低迷より経済・財政状況は悪化したが、1994年1月のCFAフラン切り下げを機に、それまで停滞していたカメルーン経済は、石油生産量の減少にも拘わらず堅調に推移し始めている。2000年10月には、HIPCイニシアティブが適用され、今後政策面においては保健、教育・社会インフラ分野の改善に力を入れていくこととなる。

2-3.対象国の開発ニーズ
 カメルーンは「教育セクター戦略計画」を策定し、2005年までに初等教育就学率を現在の65%から75%に引き上げ、2003年までに2,500教室、2010年までに11,000教室の建設を目標に掲げ、初等教育の普遍化、教育機会のアクセスと公平性の改善、教育の質の改善、教育管理運営の改善、教育関連機関とのパートナーシップの促進を優先課題としている。また、同国政府は右計画に沿って、徐々に教員の新規採用等を進め国民の教育状況の改善に努めている。
 しかしながら、同国の財政状況から上記計画の進捗ははかばかしくなく、教室数の不足は深刻な状況にある。特に人口増加と共に教育施設の老朽化が著しい中央州、南部州及び西部州においては二部制授業を余儀なくされ、1教室あたり平均約80人の児童を抱えている。かかる状態は児童の学力の全般的低下につながり、また年々悪化する人口増加と相まって就学率の低下にも繋る。

2-4.我が国の基本政策との関係
 カメルーンの「教育セクター戦略計画」の目標達成に貢献。また、我が国が開催したTICADII(第2回アフリカ開発東京会議)で採択した行動計画との目標にも合致。

2-5.無償資金協力を実施する理由
 カメルーンは後発開発途上国であり、本案件の実施につき、同国政府より高い優先順位を付して要請がなされている。
3.案件概要

3-1.目的
 本計画は「教育セクター戦略計画」のもと、児童数の増加が著しく全国的に施設需要の高い地域である中央州、南部州及び西部州における小学校の新設、建て替え及び増築、教育機材の整備並びに教育省職員を対象とした維持管理技術の研修、維持管理マニュアルの作成を目的としている。

3-2.案件内容
 供与限度額は13億4,500万円。三期にわたる計画の第三期目として、西部州の小学校12校を対象に163教室の建設及び教育機材の供与等を実施。(注:第一期(2000年)9億7,800万円。第二期(2002年)9億8,300万円。)

3-3.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点
 次の事項がカメルーン政府によって確保されること。
 カメルーン側負担部分の予算の確保・工事の進捗

3-4.無償資金協力の成果の目標(アウトカム)
(1) 教室の増築及び建て替えにより、教室の過密状態が緩和(平均79人/教室から平均61人/教室)される。
(2) 男女別便所の建設による児童への衛生教育の普及、また女子の就学率向上に資する。
(3) 教室備品の整備により、教育の質の向上に寄与する。
(4) 適切規模の教育プログラムの策定・実施が可能になり、学校運営の効率化が実現する。
(5) カメルーンとの二国間関係を増進する。
4.事前評価に用いた資料、有識者の知見等

(1)先方政府からの要請書
(2)第4回無償資金協力実施適正会議にて検討。


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