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政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日:平成15年7月15日
評価責任者:無償資金協力課長 山田彰


1.案件名

1-1.供与国名
 ベナン共和国

1-2.案件名
 「小学校建設計画」
2.無償資金協力の必要性

2-1.二国間関係
 ベナンと日本との二国間関係は良好である。96年から続いているケレク現政権(2001年に再選)は、民主化・経済構造改革を積極的に推進している。内政は比較的安定を保ち、外交的には先進諸国との関係強化を進めつつも、ECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体)を通じた地域協力の強化も推進している。

2-2.対象国の経済状況
 綿花生産を中心とする農業部門が、国民総所得(一人当たりGNIは360ドル)の34%、労働人口の70%を占めている。
 1986年以降、貿易赤字、累積債務等の増大により破綻した財政状況を立て直すため、財政改革、公企業改革、農業改革を主な内容とする構造調整計画を随時策定しており、同国の経済改革努力に対するドナー側の評価は極めて高い。

2-3.対象国の開発ニーズ
(1) 90年代より経済状況は改善されつつあり、構造調整政策が実施された結果、国家予算の約3割が教育分野へ優先的に配分されるようになった。なお、同国教育省は、「教育セクター開発計画」及び「貧困削減戦略文書」を策定し、基礎教育の状況改善に努めている。
(2) しかしながら、同国の初等教育就学適齢児童総数(6歳から11歳の人口)の増加が顕著(毎年平均約3%ずつ増加)である中、教室総数の増加(毎年平均1~2%ずつ増加)がそれに追いつかず、深刻な教室数の不足問題(約2000教室)を引き起こしている。また、都市部では急激な人口増加により、児童一人当たりの教室面積が0.8m2と過密状態にある(日本では約2m2)。また、農村部においては、ほとんどの校舎が土壁、丸太で出来た簡易校舎であり、悪天候(多雨、高温多湿)に対して抗しきれず、崩れることが多く、毎年のように校舎を造り直したり、修復する必要がある。そのため教育活動は、頻繁に混乱または停止するといった状況にある。


2-4.我が国の基本政策との関係
 我が国の対ベナン援助の重点分野の一つが、基礎生活分野の整備であり、基礎教育分野の整備はこれに含まれる。したがって、本案件は我が国の基本政策に合致している。

2-5.無償資金協力を実施する理由
 ベナンは後発開発途上国であり、本件の実施を先方政府は高い優先順位を付して要請してきている。
3.案件概要

3-1.目的
 本計画は「教育セクター開発計画」及び「貧困削減戦略文書」の一部を構成するものであり、全国規模で小学校における教育環境が改善されることを目的としている。

3-2.案件内容
 供与限度額は10億3,300万円。
 ベナン全国において、45校192教室を建設(50教室の増設と142教室の建替)。椅子、机、黒板等の教育関連機材と、校舎の維持管理に必要最低限の工具を供与。学校施設の運営・維持管理に係る技術指導。

3-3.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点
 以下の事項がベナン政府によって確保される必要がある。
(1) ベナン側の負担部分(建設サイト整地、建設サイトへのアクセス工事、障害となる既存建物や工作物の移設又は撤去、工事期間中の仮設教室)の適切な実施のための予算の確保・工事の進捗。
(2) 教職員の配置及びこれに係る予算の確保。
(3) 完成後の維持管理のための予算及び人員の確保。


3-4.無償資金協力の成果の目標(アウトカム)
(1) 都市部では、50教室が増設されることにより、2,400人の児童が新たに収容されるとともに、最低限の学習スペース(一人当たりの教室面積1.4m2)が提供される。
(2) 農村部では、142教室が悪天候に対応できる施設に建て替えられることにより、約7,000人の児童が安定した教育環境を享受することになる。さらにこの建替により、毎年地域住民が課せられてきた悪天候時の校舎修繕に要する労働作業が解消され、修繕経費も削減される。
(3) ベナンとの二国間関係を増進する。
4.事前評価に用いた資料等及び有識者等の知見の活用

(1)先方政府からの要請書
(2)第5回無償資金協力実施適正会議にて検討。

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