2021年版開発協力白書 日本の国際協力

(4)開発協力における性的搾取・虐待等に関する取組

近年、人道・開発支援における性的搾取・虐待およびセクシャルハラスメント(SEAH)への国際的な関心が高まっています。2018年10月に英国がSEAHに関する国際会議を主催し、日本を含む主要ドナーは取組の強化に関するコミットメントに署名しました。また、2019年7月には、OECD開発援助委員会(DAC)において、「開発協力と人道支援における性的搾取・虐待・セクシャルハラスメントの撲滅に関するDAC勧告」が採択されました。

こうした動きを踏まえ、外務省では、研修などを通じた職員の啓発に加え、国民の理解促進のため、日本の基本的な立場や勧告の概要を外務省ホームページに掲載しています。

JICAにおいても、SEAH撲滅(ぼくめつ)に向けての理事長メッセージをホームページに掲載するとともに、就業規則やJICA関係者の倫理等ガイドラインにSEAH防止を記載し、JICA事業にかかわる幅広い関係者にSEAH防止の重要性を周知しています。また、相談窓口や、万一事案が発生した際の対応およびモニタリング体制の整備にも取り組んでいます。

2021年、外務省NGO研究会「国際協力分野における性的搾取・虐待・ハラスメントからの保護に関する世界の動向の調査と、日本の国際協力NGOにおける取組に向けたガイドライン等の策定・普及」の実施主体である、国際協力NGOセンター(JANIC)PSEAH(性的搾取・虐待・ハラスメントからの保護)ワーキング・グループは、「PSEAH性的搾取・虐待・ハラスメントからの保護実践ハンドブック」と研究会の報告書を作成しました。また、同年8月に実施された、NGO・外務省定期協議会第1回連携推進委員会においても、SEAH撲滅が議題の一つとなるなど、国内においても関心が高まっています。

2021年12月には、国連諸機関におけるSEAHの予防や対応の一層の取組を求める国連事務総長宛の共同書簡が、英国を中心とする有志国により発出され、日本(林外務大臣)も署名に加わりました。

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