平成19年12月
● オールジャパンとしての取組を明らかにし、読者に親しみやすい白書とするため、標題に「日本の国際協力」を付記。
● 特集では、日本の開発援助の今日的な役割(気候変動問題への取組を含む)、国際的な援助の動向と日本の開発援助の特徴、政府開発援助改革の進展、アフリカ支援の取組等について解説。特に、開発における企業の貢献と官民連携の推進について具体的に記載。
● 途上国の現場における国際協力の幅広い担い手(民間企業、NGOを含む)の活動事例を個人の物語(ヒューマンストーリー)として幅広く紹介。
● 全体のページ数を2割以上縮減(特に資料編を大幅にスリム化)。
第1章 国際協力の今日的な役割
人類共通の課題と開発途上国の需要に応じた日本の国際協力の意義、協力を担う幅広い日本人の貢献が国際社会における日本への信頼感を高めていることを解説。
開発途上国の貿易・投資環境を改善することは、開発途上国の経済成長を促すと同時に日本の経済活動の機会を拡大することにも通じ、そのために開発援助を活用することにつき解説。特に、アフリカにおける日本企業3社(住友化学株式会社、三菱商事株式会社、住友商事株式会社)との連携の具体例をとりあげ、開発途上国における開発効果の向上や資源・エネルギーの安定的確保を念頭においた官民連携の取組について解説。
気候変動問題について、日本の省エネなどの技術を活かして、温室効果ガスの排出量削減や森林保全、温暖化の影響を受けやすい地域の適応対策、クリーンなエネルギーの利用促進などに対する支援を行っていくとの日本の方針につき解説。
第2章 国際的な援助潮流と日本の取組
最近の開発援助を巡る国際的な動向につき、ミレニアム開発目標に体現される成果主義の出現、新たな援助主体の台頭、援助効果向上の取組等につき解説。また、「自助努力支援」などの日本の開発援助の特徴、「人間の安全保障」の取組について解説。
第3章 政府開発援助改革の進展
最近の政府開発援助の改革の具体的成果を解説。特に、2006年8月の国際協力局の創設を踏まえ、外交政策を援助政策の実施に反映させる取組、二国間・多国間援助の連携、異なる援助手法間の連携等の取組等につき解説。また、2008年10月に発足する新JICAについても解説。
特集囲み 元気なアフリカを目指して
日本の対アフリカ支援につき、来年5月のTICAD・に向けた取組を解説。
第1章 実績から見た日本の政府開発援助
2006年(暦年)の政府開発援助実績は、支出純額(ネットベース)で、対前年比14.9%減の約111億8,707万ドル(円ベースでは対前年比10.0%減の約1兆3,022億円)。政府開発援助総額は、1982年以来24年ぶりにDAC諸国中第3位に下がった。実績減の要因は、2006年度の政府開発援助一般会計予算が減額となったことに加え、政府貸付等の回収額が増加したこと、イラクやインド洋津波災害の緊急援助が減少したこと等にある。
2006年の政府開発援助実績の内訳は、二国間政府開発援助が全体の約65.4%、国際機関を通じた政府開発援助が約34.6%となっている。内訳は、下表のとおり。
援助手法 | 実績(ドル) | 実績(円) | 前年との比較(円ベース) |
---|---|---|---|
無償資金協力 | 約11億2,652万ドル | 約1,311億円 | 対前年比31.9%減 |
債務救済 | 約35億4,408万ドル | 約4,125億円 | 対前年比21.5%減 |
国際機関を通じた贈与 | 約3億7,650万ドル | 約438億円 | - |
技術協力 | 約26億1,322万ドル | 約3,041億円 | 対前年比3.4%増 |
政府貸付等 | 約▲3億4,723万ドル | 約▲404億円 | 対前年比約1,738億円減 |
国際機関への拠出等 | 約38億7,398万ドル | 約4,509億円 | 前年約3,017億円 |
(注)「国際機関を通じた贈与」を新設。そのため、「国際機関への拠出等」について、対前年比増加率の記載はない。また、「政府貸付等」について、回収額が超過しているため比率ではなく減少額を記載。
第2章 日本の政府開発援助の具体的取組
2006年度における政府開発援助の基本方針、重点課題について、国際機関との連携を含め包括的に報告。2006年度は、1)持続的成長(インフラの整備等を中心に経済成長を通じた貧困削減)2)地域別の取組(アフリカ、東アジア等への取組)、3)平和構築支援(イラク、アフガニスタン、スーダン等)、4)他の援助国・機関との協調(南アジアにおける事例等)、5)NGO・民間企業等との連携などについて解説。また、今次白書より「国際的な援助の動き」の項目を新たに追加。
日本の政府開発援助予算や実績等に関する基本資料を掲載。