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政府開発援助(ODA)白書
2006年版 概要

平成18年12月


主要なポイント

第I部では、国際環境の変化に伴って、日本のODAに新たな使命が求められており、ODA改革を進めながら、このような使命を果たそうとしていることを具体例を挙げて説明している。
第II部では、2005年度のODA実績をODA大綱に沿って報告している。

白書の構成と概要

第I部 世界の平和と繁栄のための日本の政府開発援助

第1章 ODAの役割の変遷

 日本のODAは、1954年の開始以来、日本の国際貢献の重要な手段として、国際社会の平和と発展に寄与し、時代とともに変化する課題に対応してきたことを概説する。ODAの開始当初は、戦後日本の国際社会における地位向上を目指し、その後高度経済成長を経て、多様化する課題に対応してきたこと、冷戦構造の崩壊等を背景にODA大綱が策定されたこと、新たな課題に対応し「人間の安全保障」の視点を踏まえ、ODA大綱を改定したこと等を記述する。
 BRICs諸国等が台頭する新たな国際環境の中、ODAに新たな使命が求められている。特に、アジア市場の拡大・発展によって各国の相互依存関係が一層深まっており、貿易・投資環境を整備するための経済協力を通じて民間経済活動を促進し、連携を深めること及び資源・エネルギーの確保にODAを活用すること等が重要である。こうした使命のためにODA改革が進展し、ODAの総合的な検討と見直しが行われ、内閣に海外経済協力会議、外務省に国際協力局がそれぞれ設置され、ODAの三つの手法の実施をJICAに一元化することとなったこと等を記述する。

第2章 我が国のODAの具体的な展開

 ODAが国際社会の共通課題の解決に寄与していることを、以下のテーマについて具体例を挙げて説明する。

  • ODAを通じた友好関係の強化と我が国の立場の強化
     ODAは開発途上国の経済発展や福祉の向上に貢献するとともに、相手国政府との関係の強化、日本に対する理解や支持の強化にもつながっている。
    〔具体的事例〕シンガポールの交番制度導入、一村一品運動、留学生事業、青年海外協力隊の活動等
  • 開発における貿易・投資の重要性とODAの役割
     開発途上国の貧困削減のためには、経済成長が不可欠であるとの考えの下、日本は、貿易・投資環境を整備し、民間企業の経済活動の強化に向けた支援を行っている。
    〔具体的事例〕投資環境の改善と日本企業の投資促進につながった対ベトナムODA、WTO開発イニシアティブ、EPA関連支援等
  • 地球温暖化と環境協力
     地球温暖化対策のためには、先進国だけでなく開発途上国における取組の強化が不可欠であり、日本は、エネルギー、森林等の分野でODAを通じた支援を行っている。
    〔具体的事例〕クリーンエネルギーを利用した地方電化、トルコでの省エネ支援、ケニアの森林管理支援、中国の黄砂対策、エジプトでのCDM事業等
  • 農業開発
     貧困と飢餓は開発途上国にとって依然として深刻な問題。開発途上国の人口の約6割が農村に居住し、収入の多くを農業に依存して生活している。
    〔具体的事例〕アフリカのネリカ稲普及支援、ブラジルの大豆生産支援、タイにおける家畜衛生改善支援
  • 感染症
     感染症の拡大は開発途上国の開発努力を後退させかねない大きな問題であり、日本はODAを活用して感染症対策を積極的に支援している。
    〔具体的事例〕西太平洋地域のポリオ根絶、SARS制圧支援、鳥及び新型インフルエンザ対策支援等
  • 海の安全確保
     国際航路における船舶の安全な航行は、輸出入の約99.7%を海上輸送に依存している日本にとって、極めて重要な問題。
    〔具体的事例〕マラッカ海峡周辺国に対する海図、航路標識整備のための技術協力、機材供与等の支援、海賊対策としてのインドネシアへの巡視船艇の供与
  • 平和の構築
     中東の安定化に見られるように、日本の安定と繁栄の確保の観点からも平和構築支援は重要。また、紛争国はテロリストの温床となる可能性がある。日本は紛争の政治的解決に向けた努力と連携して、平和構築支援に取り組んでいる。
    〔具体的事例〕スリランカ北東部支援、アフガニスタンにおける国際機関・NGO経由の支援及びDDR支援、イラク復興支援等
第3章 戦略的・機動的・効果的なODAに向けて

 ODAの総合的な検討と見直しが行われたことを受け、内閣に海外経済協力会議、外務省に国際協力局がそれぞれ設置され、円借款、技術協力及び無償資金協力の実施をJICAに一元化することが決まった。こうしたODAの戦略性・効率性の向上やチェック機能の強化を実例を挙げて紹介する。

第II部 2005年度のODA実績

第1章 実績から見た日本のODA

 2005年(暦年)のODA実績は、対前年比47.3%増の約131億4,658万ドル(1兆4,474億円)。実績の大幅な増加は、イラクに対する債務救済(約32億2,092万ドル(約3,546億円))及びインドネシアへの債務猶予による増額分(約13億4,152万ドル(約1,477億円))という特殊要因があったこと等が主な原因(注)
 2005年のODA実績の内訳は、二国間ODAが全体の79.2%、国際機関を通じたODAが20.8%を占めている。具体的には、無償資金協力が約17億4,793万ドル(約1,924億円、対前年比8.5%減)、債務救済が約47億7,569万ドル(約5,258億円、対前年比97.9%増)、技術協力が約26億7,106万ドル(約2,941億円、対前年比4.8%減)、政府貸付等が約12億1,153万ドル(約1,334億円、対前年比約2,646億円増)、国際機関への拠出等が27億4,037万ドル(約3,017億円、対前年比8.8%減)となっている。

(注)イラクへの債務救済及びインドネシアへの債務猶予による増額分を差し引けば、約85億8,414万ドル(9,451億円、対前年比3.8%減)となる。

第2章 日本のODAの具体的展開

 2005年度におけるODAの、基本方針、重点課題について、国際機関との連携を含め包括的に報告する。2005年度は、鳥・新型インフルエンザへの対応、第4回世界水フォーラムの開催、パキスタン大地震等相次ぐ自然災害への援助、イラク、アフガニスタン、および援助を再開したスーダンへの平和構築支援、二国間支援と国際機関を通じた支援との連携などについて取り上げる。

第3章 ODAに関する主な資料

 2003年8月に閣議決定により改定された政府開発援助(ODA)大綱、2005年2月に策定された政府開発援助に関する中期政策等を全文掲載する。

第III部 資料編

 日本のODA予算や実績等を図表で示す。

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