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政府開発援助(ODA)白書のポイント

平成14年5月
はじめに

開発課題の多様化

(貧困問題、テロとの戦いや紛争予防・平和構築、HIV/AIDS等の感染症・環境問題等の地球規模問題)

我が国にとってのODAの意義

(国際の平和と安定に我が国が積極的な役割を果たすことが我が国の国益にかなう。我が国のODAは、そのための重要な手段であり、これまでもアジアをはじめ途上国に大きな貢献。

ODAに対する厳しい見方
今後一層、ODAの透明性の確保、効果的、効率的援助の実施の必要性
「第2次ODA改革懇談会」最終報告の公表
国民参加型援助の推進(3つのP)


第I部 21世紀における政府開発援助(ODA)

第1章 グローバル化する世界と途上国の開発問題

 開発課題の多様化の現状を分析し、国際社会による取組の変化を紹介。

第1節 途上国の開発課題

 益々グローバル化する世界において、途上国の開発は国際社会の主要な課題。開発課題は、貧困、紛争、地球規模問題等多様化している。

第2節 国際的開発パートナーシップの構築

 国際社会による開発目標の共有、NGOを始めとした開発援助主体の多様化、それにもかかわらず世界的に援助資金が伸び悩んでいる中、援助の効率化、効果を高める動きが活発化(援助協調)。

第2章 国際社会の平和と繁栄の維持・強化-ODAの果たす役割

  我が国のこれまでのODAの歩みに触れた上で、「人造り」、「地球規模の課題への取組」、「紛争予防・平和構築」をテーマとして取り上げ、それぞれに対する取組を紹介。

第1節 人造りとそのネットワークの構築、活動環境の整備

 国造りの基本としての教育(特に基礎教育)、グローバル化に対応していくための人材育成・知的支援、人と人とのネットワークを築いていく南南協力や広域協力の推進。

第2節 地球規模の課題への取組

 わが国が重点分野として取り組んでいる2分野、すなわち、近年地球温暖化問題で注目されている地球環境問題、HIV/AIDSを始めとした感染症問題の現状と我が国と取組の紹介。

第3節 紛争予防・平和構築

 紛争予防の観点からの貧困対策、統治システム(ガバナンス)強化支援。紛争中や直後の緊急人道支援におけるNGOとの連携強化の努力。紛争の再発防止(平和構築)のためのスムーズな復興・開発支援の推進。アフガニスタン復興に対する貢献。地雷、小型武器対策への取組。

第3章 国民の参加と理解の増進-3つのP

 「国民参加型援助」推進のために、「連携」、「参加」、「交流」という3つの視点からの改革の努力を紹介。冒頭では、政府とNGOとの関係についても説明。

第1節 新たな官民の連携(パートナーシップ)

 効果的・効率的援助の実現や援助資源の拡大、更には、国民の支持確保のために民間や学界等のリソースを活用。(「ベトナム国市場経済化支援計画策定調査」、「民間提案型プロジェクト」、「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」)

第2節 国民各層の幅広い参加(パーティシペーション)

 ボランティア活動等を通じた国民の開発援助への参加を促進。援助人材の育成と参加促進のための環境整備。(「青年海外協力隊事業」、「シニア海外ボランティア」、「NGO支援策」、「日本評価学会」)

第3節 双方向の交流(パブリック・プライベート・インターアクション)

 国民がODAの実態を理解し、積極的に参加していくために、ODAの透明性向上と情報公開の強化を図るとともに対話を強化。(「事業事前評価表」、「タウンミーティング」、「ODA民間モニター」、「ODA開発教育キット」)

第4章 ODA改革の推進

 政府によるODA改革の取組及び今後の方向性について、「第2次ODA改革懇談会」最終報告の公表、ODAの透明性・効率性の向上、ODA制度の見直しという観点から述べ、さらに、開発人材の発掘・育成・活用の重要性にも言及。

第1節 「第2次ODA改革懇談会」最終報告

 「国民参加」、「透明性の確保」、「効率性の向上」をキーワードとして、(1)国民の心、知力と活力を総結集したODA、(2)戦略を持った重点的・効果的なODA、(3)ODA実施体制の抜本的な整備という3つの柱から成るODA改革の具体的方策を提示。今後、「ODA総合戦略会議」や「第三者による監査制度」等の設置をはじめ、できるところから直ちに実施していく。

第2節 ODAの透明性・効率性の向上

(1)援助政策における透明性・効率性の向上
 ODA大綱→ODA中期政策→国別援助計画・分野別援助政策(沖縄感染症対策イニシアティブ等)という一連の政策枠組みの充実に向けた努力。特に2001年10月に対中国経済協力計画を策定・公表。

(2)事業実施における透明性・効率性の向上
 案件選定段階から事後評価に至るまでのあらゆる段階における透明性の確保、不正の防止のための措置(円借款候補案件リスト(ロング・リスト)の公表、入札結果の公表)。ODA実施機関(JICA、JBIC)における環境配慮ガイドラインの策定。

(3)評価体制の充実
 「事業事前評価表」の作成・公表。「ODA評価内部フィードバック連絡会議」の設置。「外部有識者評価フィードバック委員会」の設置。「日本評価学会」の設立と評価人材の発掘・育成。

(4)政府内における調整・連携の強化
 「政府開発援助関係省庁連絡協議会」の設置等政府内の連携の強化。その他、「技術協力関係府省連絡会議」や「ODA関係府省評価部門連絡会議」の設置。

第3節 ODA制度の見直し

 援助スキームの改善(「円借款制度に関する懇談会」と「本邦技術活用条件」の導入。無償資金協力、技術協力におけるスキーム改善)。スキーム間の連携強化(2001年度より「セクタープログラム開発調査」の導入。連携の例示。)。

第4節 開発人材の発掘・育成・活用

 我が国にとり、多様化する開発ニーズに応え、国際的に高い評価を得られるような援助人材を育成・確保することは大きな課題。(「FASIDとGRIPS共同による国際開発博士前期課程プログラム」、「JICAによる専門家公募制度」、「ソフト分野のコンサルタントの育成」)

第II部 2000年度の実績

第1章 援助世界における日本の位置

円ベースで前年比17.5%減の1兆4465億円(ドルベースでは12.8%減の134.19億ドル)(国際機関向けの拠出・出資の減少(特にアジア開発銀行への約33億ドルの支援)と二国間政府貸付の減少。))
-アジア地域への援助の我が国二国間援助に占めるシェアは、約54.8%。
-対GNP比は0.28%(前年0.35%)で、OECD/DACメンバー22ヶ国中第12位。


第2章 ODA中期政策の実施状況

ODA中期政策の各項目に従い、2000年度におけるわが国ODAの実施状況を詳述。

第1節 重点課題別の取組の現況

(1)貧困対策や社会開発分野への支援
(「人間中心の開発」と「人間の安全保障」重視)
(イ)基礎教育
 (「万人のための教育」フォローアップ、G8教育作業部会)
(ロ)保健医療
 (「沖縄感染症対策イニシアティブ」フォローアップ、安全な水の供給)
(ハ)開発における女性支援(WID/ジェンダー)
 (「WIDイニシアティブ」に基づく女性の健康や教育の改善、経済・社会活動への参加に対する支援)


(2)経済・社会インフラへの支援
 (経済成長は貧困削減に不可欠、ITや広域インフラの整備)

(3)人材育成・知的支援
 (国造りの基本としての人造り)
(イ)人材育成
 (「留学生受入れ10万人計画」に基づく留学生支援への継続的取組、途上国における「人材協力センター(日本センター)」の開設、職業訓練など)
(ロ)知的支援
 (越やラオスにおける経済政策、市場経済化支援、「ミャンマーの経済構造調整支援」)
(ハ)民主化支援
 (「民主的発展のためのパートナーシップ(PDD)に基づく民主化支援(タジキスタンの民主化支援、民主化セミナーやシンポジウムの開催)」、「ガヴァナンス無償」の新設)


(4)地球規模問題への取組
(イ)環境保全
 (「21世紀に向けた環境開発支援構想(ISD)」、「京都イニシアティブ」(温暖化対策途上国支 援)に基づく支援推進、対中国環境協力、日米コモンアジェンダ)
(ロ)人口・エイズ
 (「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」、日米合同調査団、NGO活動の支援)
(ハ)食料
 (各種資金協力、専門家派遣や青年海外協力隊を通じた取組。タンザニアにおける農業セクタープログラム立ち上げのための知的支援)
(ニ)エネルギー
 (民生向上や貧困対策のための地域電化や送配電の整備、再生可能エネルギー開発協力)
(ホ)薬物
 (研修員受入や第三国研修の実施。代替作物栽培支援。)


(5)アジア通貨・経済危機への対応等経済構造改革支援
(成長軌道への復帰と経済・社会システムの強化)

(6)紛争・災害と開発
(イ)紛争と開発
 (アフガニスタン難民・避難民支援、東ティモール支援)
(ロ)防災・災害復興
 (モンゴル雪害への援助、「中南米防災政策対話」の実施)


(7)債務問題への取組
 (債務救済への取組と貧困削減戦略文書(PRSP)策定支援や債務管理セミナーの開催)

(8)その他(IT)
 (「国際的な情報格差問題に対する我が国の包括的協力策」に基づく支援の実施。ASE AN諸国やアフリカへの「政策対話ミッション」の派遣。「J-NET構想」など、具体的な案件形成作業の推進。)

第2節 各地域へのわが国援助の現況

-対中国経済協力計画の策定・公表。
-米国における同時多発テロを受けたアフガニスタン及び周辺国への積極的な支援。
-TICAD閣僚レベル会合の開催。


第3節 援助手法に関する取組の現況

(1)ODAの政府全体を通じた調整及び各種協力形態・機関間の連携
(「政府開発援助関係省庁連絡協議会」の設置。「セクタープログラム開発調査」の導入。

(2)ODA以外の政府資金(OOF)及び民間部門との連携
(アンタイド・ローンとの連携。「民間提案型プロジェクト形成調査」の導入。)

(3)NGO等への支援及び連携
(「NGO緊急活動支援無償」の導入。「NGO活動環境整備支援事業」に基づく種々のNGO支援の実施。途上国側のNGOや地方自治体の参加を得た「住民参加型援助」の推進。)

(4)他の援助国及び国際機関との協調
(米、英等他の主要ドナーとの合同ミッションの派遣。UNDP、UNICEF等国際機関とのマルチ・バイ協力の推進。)

(5)南南協力への支援
(アジア・アフリカ間の南南協力への支援。「パートナーシップ・プログラム」)

第4節 実施・運用上の留意点に関する取組の現況

(1)途上国毎の状況把握と国別援助計画の策定
 (これまでに12ヶ国について国別援助計画を策定・公表。)

(2)事前調査、環境配慮、実施段階でのモニタリング及び事後評価
 (ODA評価体制の充実。環境配慮ガイドラインの整備。)

(3)開発人材の育成
 (他のドナー国や国際機関との人事交流。JICA専門家の一般公募制度)

(4)国民の理解と参加の促進
 (4回にわたるODAタウンミーティングの開催。「ODA民間モニター制度」)

(5)情報公開の推進
 (ODA関連ホームページの拡充。4ヶ国につき円借款案件候補リスト(ロングリスト) の確定・公表。

(6)その他(ODA事業の調達に係わる不正防止、援助関係者の安全確保)
 (調達に係わる不正防止のための新たな措置の導入。援助関係者の安全確保のための種々の対策の実施。)


第III部 ODA大綱原則の運用状況

 ODA大綱原則の運用に関し、中国、インド、パキスタン、ミャンマーを例に最近の動きを説明。


第IV部 国別援助計画の概要

 前回年次報告公表(2000年10月)以降に策定・公表された、国別援助計画(中国、カンボジア、マレーシア)の概要。


第V部 資料編

1.平成13年度政府開発援助予算と事業の概要
2.2000年の我が国の政府開発援助実績
3.主な事業と援助関係機関の実績
4.世界各国の政府開発援助(ODA)実績
5.参考資料(ODA大綱、ODA中期政策等)
6.その他(年表、ODA関連ホームページ・アドレス一覧)

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