2019年版開発協力白書 日本の国際協力

(2)ガバナンス支援(不正腐敗対策を含む)

開発途上国において、経済発展の過程で公務員が関与する贈収賄や横領などの汚職事件が発生すると、国家の健全な経済成長や公平な競争環境を妨げる要因ともなります。そこで援助国は、公正かつ安定した社会の実現のため、途上国における不正腐敗対策を含むガバナンス支援にも取り組む必要があります。

●日本の取組

日本は、国際社会における腐敗対策のための唯一の普遍的枠組みである国連腐敗防止条約の締約国として、同条約の事務局である国連薬物・犯罪事務所(UNODC)への協力を通じ、腐敗の防止および取締りに関する法制度の整備や、腐敗に脆弱(ぜいじゃく)な国における法執行機関などの能力構築支援に積極的に関与してきました。2019年、日本は2018年に引き続き、国連腐敗防止条約の実施状況を審査し、条約の効果的実施に必要な技術援助ニーズの特定などを行う国連腐敗防止条約実施レビュー・メカニズムの運営を支援するため、UNODCに拠出を行うなど、国際的な腐敗対策における課題の特定と解決に貢献しています。

また、UNAFEIを通じて、アジア・アフリカ諸国等の開発途上国の刑事司法実務家を対象に、「高位高官が関与する汚職犯罪の発見・摘発、捜査及び公判」をテーマとした汚職防止刑事司法支援研修を実施しています。同研修は、国連腐敗防止条約上の重要論点からテーマを選出して毎年実施しているもので、各国における汚職防止のための刑事司法の健全な発展と協力関係の強化に貢献しています。

ほかにも、東南アジア諸国における取組を支援するとともに、刑事司法・腐敗対策分野の人材育成に貢献することを目的として、2007年から、「東南アジア諸国のためのグッド・ガバナンスに関する地域セミナー」を毎年1回開催しています。2019年は、東京で、「汚職事件における効果的な金融捜査と資金洗浄対策(新たな手口を踏まえた没収・資産回復に向けて)」をテーマに開催しました。

このページのトップへ戻る
開発協力白書・ODA白書等報告書へ戻る