2018年版開発協力白書 日本の国際協力

開発協力トピックス3

持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けた日本政府の取組

1.SDGsが採択されるまで

持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)は、2015年の国連サミットにて全会一致で採択された国際目標です。SDGsは、「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会を実現すべく、17のゴール及び169のターゲットを定めています。

SDGsに掲げられている17のゴール

SDGsに掲げられている17のゴール

SDGsが採択される以前は、その前身としてミレニアム開発目標(MDGs:Millennium Development Goals)がありました。MDGsは、2001年に国連の専門家間の議論を経て策定され、主に発展途上国向けの開発目標として、2015年を期限とする8つのゴールが設定されていました。このMDGsは一定の成果を上げ、極度の貧困やHIV・マラリア等を中心に大きな成果を達成した一方で、乳幼児や妊産婦の死亡率削減等、一部の分野では未達成の部分も残されました。また、世界がMDGsの達成に向け取り組んでいるさなかにも、環境問題や気候変動の深刻化、国内や国際間の格差拡大といった、相互に絡み合うグローバルな課題が新たに顕在化してきました。更に、開発アクターとして民間企業やNGOの役割が拡大する等、国際社会を取り巻く状況が大きく変化しました。

SDGsはこのような時代の変化に対応する形で、途上国だけでなく先進国を含む国際社会全体が行動するという普遍性を有するとともに、政府や一部の専門家に限らず、民間企業や地方自治体、NGO/NPOや学界等、あらゆるアクターが重要な役割を担う参画型の目標であるという特徴があり、これらの点がMDGsと大きく異なります。

2.SDGs達成に向けた日本政府の取組

日本は、SDGsの採択後、まず国内の基盤整備を行いました。具体的には、総理を本部長、全閣僚を構成員とする「SDGs推進本部」を設置し、政府が一丸となってSDGsに取り組む体制を整えました。同時に、SDGs達成の上で重要となる多様なステークホルダーとの連携も十分に図れるよう、広範な関係者(行政、民間セクター、NGO・NPO、有識者、国際機関、各種団体等)から構成される「SDGs推進円卓会議」を設置しました。

2018年12月に開催された、SDGs推進本部の第6回会合では、①官民を挙げたSDGsと連動する「Society5.0」の推進、②SDGsを原動力とした地方創生、③SDGsの担い手としての次世代・女性のエンパワーメントを3本柱とした、「SDGsアクションプラン2019」を決定しました。同アクションプランには、日本が豊かで活力ある「誰一人取り残さない」社会を実現するため、人間の安全保障の理念に基づき、世界の「国づくり」とそのための「人づくり」に貢献すべく、2019年のG20議長国として国際社会においてリーダーシップを発揮していくSDGsの主要課題について明記されています。

第6回SDGs推進本部会合で発言する安倍晋三総理大臣(出典:首相官邸ホームページ)

第6回SDGs推進本部会合で発言する安倍晋三総理大臣(出典:首相官邸ホームページ)

3.多様なステークホルダーとの連携

SDGsは達成すべき目標が多岐に渡っているとともに、「誰一人取り残さない」という理念を実現するためには、政府のみならず民間企業、地方公共団体、NGO/NPO等あらゆるステークホルダーがSDGs達成に向けて協力して取り組む必要があります。

2018年7月にニューヨークで開催された国連持続可能な開発のためのハイレベル政治フォーラム(HLPF)における日本政府主催レセプションでは、日本の関係省庁、民間企業、市民団体等、日本でSDGs推進に取り組む広範な機関・団体のパートナーシップの下、スピーチ・映像・ブース等を通じて2025年大阪・関西万博の魅力を印象づけるとともに、SDGs推進に向けた日本のイニシアティブを発信しました。

HLPFにおける日本主催レセプションの様子

HLPFにおける日本主催レセプションの様子

他にも、日本全国のSDGsに関する取組を見える化し、行動を促進する観点から、SDGs達成に資する優れた取組を行っている企業・団体等を表彰する「ジャパンSDGsアワード」を実施しています。2018年12月に開催された第2回ジャパンSDGsアワード授賞式では、食品廃棄物を活用して食品ロス対策に取り組む株式会社フードエコロジーセンターがSDGs推進本部長賞(内閣総理大臣賞)を受賞した他、「エシカル消費」に対応した商品を開発・供給する協同組合、独自のリサイクルシステムを国際展開している地方自治体、障がい者や引きこもりの方々と共に手がけるチョコレートブランドによって障がい者雇用を促進する社団法人、安価で高品質なトイレを途上国に提供する企業、HIV陽性シングルマザーのエンパワーメントに取組むNGO、自動車リサイクルのバリューチェーン構築と現地雇用の創出に取り組む企業等が表彰されており、まさに、幅広いアクターがSDGsを主導していることの証左となりました。こうした国内主体による創意工夫が、日本のSDGs達成に向けた大きな原動力となっています。

政府は、アワード受賞団体も含め、SDGsにコミットする団体に対して、ロゴマークの付与や「外務省×SDGs」ツイッター(https://twitter.com/SDGs_MOFA_JAPAN)での発信、外務省ホームページ「Japan SDGs Action Platform」への取組掲載等を通じてそれらの取組を後押ししています。

4.日本の「SDGsモデル」を世界へ

日本は、国内でのSDGs推進のみならず、その取組を国外にも積極的に共有・展開していく決意です。例えば、2018年10月に行われた日メコン首脳会談では、日メコン両地域間でのSDGs推進に向けた協力を強化すべく、「持続可能な開発目標(SDGs)を推進するための日メコン協力プロジェクト」を採択しました。引き続き、東南アジアやアフリカ等の地域を中心として、国際社会への流れをより一層加速化させていきます。

2019年は日本がG20、TICAD7を主催し、また9月には国連で初のSDGs首脳級会合を控えており、いわばSDGs達成に向けた重要な一年と言えます。「SDGsの力強い担い手たる日本」の姿を国際社会に示し、リーダーシップを発揮できるよう、引き続きあらゆるステークホルダーと協働し、叡智(えいち)を最大限に結集させながら、SDGsの達成に向けて邁進(まいしん)していく決意です。


※ 人や社会、環境に配慮して、製品やサービスを選び、消費すること。

このページのトップへ戻る
開発協力白書・ODA白書等報告書へ戻る