2015年版開発協力白書 日本の国際協力

開発協力政策の枠組み

日本は、2015年2月に閣議決定された開発協力大綱の下、各種政策、方針等を策定しており、開発協力大綱を頂点とした開発協力政策の一貫性を確保しています。

 

開発協力大綱(全文は第 Ⅳ 部資料編に掲載)

政府の開発援助の理念や原則等を以下のとおり定めています。

 

1.日本の開発協力の理念

(1)目的
国際社会の平和と安定および繁栄の確保により一層積極的に貢献。また、こうした協力を通じて、我が国の平和と安全の維持、さらなる繁栄の実現といった国益の確保にも貢献。
(2)我が国の開発協力の基本方針
ア 非軍事的協力による平和と繁栄への貢献
イ 人間の安全保障の推進
ウ 自助努力支援と日本の経験と知見を踏まえた対話・協働による自立的発展に向けた協力

 

2.重点課題

(1)「質の高い成長」とそれを通じた貧困撲滅

(2)普遍的価値の共有、平和で安全な社会の実現

(3)地球規模課題への取組を通じた持続可能で強靱(きょうじん)な国際社会の構築

 

開発協力政策の枠組み

開発協力大綱の下、次の政策を推進しています。

○国別援助方針

5年をめどに、被援助国ごとの開発ニーズを踏まえ、その国の開発計画、開発課題等を総合的に勘案し、その国に対する我が国の援助重点分野や方向性を示すもの。

○分野別開発政策

個別分野・課題における日本の援助の基本方針と具体的取組を示した政策文書(保健医療・人口、万人のための質の高い教育、環境・気候変動、安全な水・衛生、ジェンダー、防災等について策定)。

○開発協力重点方針

年度ごとに、外交政策の進展や新たに発生した開発課題等に迅速に対応するために重点事項を明確にするもの。

○事業展開計画

被援助国ごとに、実施決定から完了までの段階にあるODA案件を、その国の援助重点分野・開発課題・協力プログラムに分類して一覧にしたもの。

日本の政府開発援助(ODA)

日本の政府開発援助(ODA)

政府開発援助(ODA:Official Development Assistance)とは、OECD(経済協力開発機構:Organisation for Economic Co-operation and Development)のDAC(ダック)(開発援助委員会:Development Assistance Committee)が作成する援助受取国・地域のリストに掲載された開発途上国・地域に対し、経済開発や福祉の向上に寄与することを主たる目的として公的機関によって供与される贈与および条件の緩やかな貸付等のことです。

ODAには、開発途上国・地域を直接支援する二国間援助と、国際機関に対する拠出である多国間援助があります。二国間援助は、「贈与」と「政府貸付等」に分けることができます。贈与は開発途上国・地域に対して無償で提供される協力のことで、返済義務を課さないで、開発途上国・地域に社会・経済の開発のために必要な資金を贈与する「無償資金協力」と日本の知識・技術・経験を活かし、開発途上国・地域の社会・経済の開発の担い手となる人材の育成を行う「技術協力」があります。なお、「贈与」の中には国際機関の行う具体的な事業に対する拠出も含まれます。「政府貸付等」には、低金利かつ返済期間の長い緩やかな貸付条件で開発途上国・地域に必要な資金を貸し付ける「円借款」と開発途上国・地域での事業実施を担う民間セクターの法人等に対して融資・出資を行う海外投融資があります。多国間援助には、国連児童基金(UNICEF(ユニセフ))や国連開発計画(UNDP)への拠出や世界銀行などへの拠出・出資などがあります。


用語集

アンタイド/タイド援助 アンタイド援助とは、「実質的にすべての援助受取国および経済協力開発機構(OECD)諸国からの自由かつ十分な調達が可能な贈与または借款」のことをいう。タイド援助は、これらの調達先が、援助供与国に限定されるなどの条件が付くものを指し、日本語では「ひもつき」援助と訳されることがある。2001年にOECD開発援助委員会(DAC)で後発開発途上国(LDCs)向け援助のアンタイド化勧告が採択され(技術協力と食糧援助を除く、有償資金協力と無償資金協力が対象)、DAC加盟国に適用されている。2008年に同勧告の対象国がLDCs以外の重債務貧困国(HIPCs)にも拡大された。
インフラシステム輸出 新興国を中心としたインフラ需要を取り込み、日本企業によるインフラ輸出を推進するため、2013年3月、内閣官房長官を議長とし、関係閣僚を構成員とする「経協インフラ戦略会議」が内閣官房に設立された。同年5月に策定された「インフラシステム輸出戦略」(2014年6月、2015年6月に改訂)では、2020年に約30兆円(2010年約10兆円)のインフラシステムの受注達成を目標としており、このような目標達成のため、総理大臣、外務大臣をはじめとするトップセールスの推進、国際協力機構(JICA)海外投融資の本格再開、円借款をより戦略的に活用するための制度改善など、インフラ海外展開推進の体制整備・強化が進められている。また、外務省は、インフラプロジェクトに関する情報の収集・集約などを行う「インフラプロジェクト専門官」を重点国の在外公館に指名している(2015年12月末時点、51か国63公館129名)。
インフラプロジェクト専門官 各在外公館において、現地のインフラプロジェクトに関する情報を収集・集約するとともに、関係機関や商工会等との連絡・調整に際して窓口になるなど、日本企業のインフラ海外展開支援を担当する職員。
援助協調 途上国の開発目標を明確にし、その下で様々な援助主体が情報共有を行い、援助の戦略策定やプロジェクト計画・実施などにおいて活動を協調させ、途上国と共に効果的・効率的な開発協力を進めていくこと。案件ごとのドナー同士の連携・調整だけではなく、被援助国の開発政策に沿って、ドナーが共通の戦略や手続きで支援を行う総合的な援助協調が世界各国で進められている。なお、近年、新興国や民間セクター等、開発にかかわる主体が多様化していることから、主に先進国ドナー間の協調を指す「援助協調」に加え、「開発協力のためのパートナーシップ」、「開発協力主体間の連携」等の言葉も使われる。
開発協力大綱 開発協力政策の根幹を成すものとして、開発協力の理念、重点政策、実施のあり方などを定めたもの。1992年9月に策定され、2003年8月に改定された政府開発援助大綱(ODA大綱)を再度改定し、名称を「開発協力大綱」に変え、2015年2月に閣議決定。
技術協力 日本の知識・技術・経験を活かし、開発途上国・地域の社会・経済の開発の担い手となる人材の育成を行う経済協力。
技術協力専門家派遣 日本から開発途上国へ専門家を派遣し、相手国の行政官や技術者に必要な技術や知識を伝えるとともに、彼らと協働して現地適合技術や制度の開発、啓発や普及などを行う事業。
研修員受入れ事業 開発途上国において指導的役割を担うことが期待されている行政官や技術者などに対して、各分野の技術研修、新知識の取得支援あるいは訓練を行うことを目的とする事業。
機材供与 技術協力プロジェクトや専門家の業務に係る技術協力、その他開発途上地域に対する技術協力のために機材を供与すること。
技術協力プロジェクト 「専門家派遣」、「研修員受入れ」、「機材供与」などを最適な形で組み合わせて開発途上国の関係機関と事業計画の立案、実施を一貫して計画的かつ総合的に実施する技術協力。
コストシェア技術協力 ODA卒業国のうち、引き続き日本の支援を必要とする開発課題を有する経済・社会状況が認められる国を対象に行う技術協力。これまでJICAを通じた経済協力によって日本が蓄積してきた経験も活用しながら、日本の質の高い技術・知識・経験を提供し、相手国政府に必要な経費を原則負担させる形で実施することにより、相手国の経済社会開発に寄与し、それらの国と日本との良好な二国間関係の維持および増進を図ることとともに、日本のエネルギー安定確保、本邦企業に有利なビジネス環境の構築・インフラ輸出促進にも貢献することを目的としている技術協力。
第三国研修 開発途上国が日本の支援の下、優れた開発経験や知識・技術の移転・普及・定着等を目的に、他の途上国から人員を受け入れ、または派遣して実施する研修。
第三国専門家 技術協力を効果的に実施するため、協力対象の途上国に他の途上国から派遣される専門家。
開発計画調査型技術協力 開発途上国の都市や農業、運輸などの開発計画の作成や、資源の開発などを支援するとともに、調査・分析手法や計画の策定手法などの技術移転を行う。
地球規模課題対応国際科学技術協力
(SATREPS)
環境・エネルギー、生物資源、防災および感染症等の地球規模課題解決のために、新たな技術の開発・応用や新しい科学的知見獲得のための共同研究の要素を取り入れた技術協力プロジェクト。
(SATREPS:Science and Technology Research Partnership for Sustainable Development)
有償勘定技術支援-円借款附帯プロジェクト 円借款または海外投融資による有償資金協力の迅速・円滑な実施もしくは達成、またはその開発効果向上を目的として研修、専門家派遣、調査等をJICA有償資金協力勘定から実施するもの。
国際緊急援助隊 海外の地域、特に開発途上にある海外の地域における大規模な災害(紛争起因災害は除く)に対し、被災国等の要請に応じ、緊急の援助活動を行う人員を派遣する事業。国際緊急援助隊には、救助チーム、医療チーム、感染症対策チーム、専門家チームおよび自衛隊部隊の5種類がある。
青年海外協力隊
(JOCV:Japan Overseas Cooperation Volunteers)
開発途上国の要請に基づき、日本国内で募集・選考・訓練を行い、技術・技能を有する20歳から39歳までの日本の青年男女を、原則として2年間開発途上国に派遣する事業。
シニア海外ボランティア
(SV:Senior Volunteers)
開発途上国の要請に基づき、日本国内で募集・選考・訓練を行い、豊かな職業・社会経験を持つ40歳から69歳までの日本のシニア層を、原則として2年間開発途上国に派遣する事業。
青年海外協力隊現職教員特別参加制度 文部科学省がJICAに推薦した教員は、一次選考の技術試験が免除され、派遣前訓練開始から派遣終了までの期間を通常2年3か月のところ、日本の学年暦に合わせて4月から翌々年の3月までの2年間とするなど、現職教員が参加しやすい仕組みとなっている。
民間連携ボランティア制度 中小企業等の社員を青年海外協力隊やシニア海外ボランティアとして派遣し、開発途上国の開発に貢献するとともに企業のグローバル人材の育成や海外事業展開にも貢献するもの。民間企業の要望に応じ、派遣国、職種、派遣期間等を相談しながら決定する。派遣された社員は活動を通じて、文化、商習慣、技術レベル等を把握したり、語学のみならず、コミュニケーション能力や問題解決力、交渉力等を身に付け、帰国後に企業活動に還元されることが期待される。
基礎教育 生きていくために必要となる知識や技能を身に付けるための教育活動。主に初等教育、前期中等教育(日本の中学校に相当)、就学前教育、ノンフォーマル教育(成人教育、識字教育)などを指す。
基礎生活分野/
人間の基本的ニーズ
(BHN:Basic Human Needs)
食料、住居、衣服など、人間としての基本的な生活を営む上で必要最低限のもの、保健、教育など。
キャパシティ・ディベロップメント(能力開発) 開発途上国自身が主体となって、自国が抱える課題に対処する能力を向上させる過程のこと。また、その過程を他者が支援すること。従来の人材育成の概念から発展し、個人の能力のみならず、組織、制度・政策、社会システムなどを含む多様なレベルの能力が総体として向上していく過程を指している。
国別援助方針 ODAの戦略性・効率性・透明性の向上に向けた取組の一環として、被援助国の政治・経済・社会情勢を踏まえ、当該国の開発計画や開発上の課題などを総合的に勘案して策定する我が国の援助方針。
グラント・エレメント 援助条件の緩やかさを示す指標。借款の利率、返済期間、返済据置期間を反映しパーセントで表示される。DAC統計では、商業条件(金利10%と仮定した場合)の借款を参照条件としており、贈与はグラント・エレメント=100%となる。数字が高いほど緩和の程度が大きいとされる。
経済協力開発機構開発援助委員会
(OECD-DAC:Organisation for Economic Co-operation and Development-Development Assistance Committee)
OECDにおいて、開発援助に関する事柄を取り扱う委員会。OECD加盟34か国のうち、28か国および欧州連合(EU)から成る。
経済連携協定(EPA) 特定の国(または地域)との間で関税の撤廃等の物品貿易およびサービス貿易の自由化などを定める自由貿易協定(FTA:Free Trade Agreement)に加え、貿易以外の分野、たとえば人の移動、投資、政府調達、二国間協力など幅広い分野を含む経済協定。
現地ODAタスクフォース 2003年度から、開発途上国における日本の援助を効果的・効率的に実施するため、大使館を中心に、JICA、JETRO(日本貿易振興機構)、JBIC(国際協力銀行)などの援助実施機関の現地事務所を主要な構成メンバーとして立ち上げられたタスクフォース。開発途上国の開発政策と援助政策の調和を図り、相手国政府との政策協議など、他ドナーとの援助協調、要望調査を通じた案件形成、実施監理などを実施している。
後発開発途上国
(LDCs:Least Developed
Countries)
国連による開発途上国の所得別分類で、開発途上国の中でも特に開発の遅れている国。2011〜2013年の1人当たり国民総所得(GNI)1,035ドル以下などの基準を満たした国。現在、サブサハラ・アフリカ34か国、アジア8か国、大洋州5か国、中南米1か国の48か国。
国際協力機構
(JICA:Japan International Cooperation Agency)
国際協力事業団を前身とし、2003年10月1日に発足した独立行政法人。日本のODAの主な実施機関。2008年10月、これまで実施してきた技術協力に加え、国際協力銀行(当時)が担当してきた有償資金協力(円借款)、外務省が実施してきた無償資金協力業務の一部が統合された。これによって、3つの援助手法を一元的に実施する総合的な援助実施機関となった。
国際協力銀行
(JBIC:Japan Bank for
International Cooperation)
2008年9月末まで、一般の金融機関と競合しないことを旨としつつ、日本の輸出入等の促進や国際金融秩序の安定への寄与、開発途上地域の経済社会開発などへの寄与を目的として、国際金融等業務および海外経済協力業務(円借款等)を実施してきた機関。2008年10月以降、国際金融等業務は、株式会社日本政策金融公庫に統合され、海外経済協力業務は、国際協力機構に統合された。2012年4月からは、国際金融等業務が日本政策金融公庫から、新たに発足した株式会社国際協力銀行に引き継がれた。
債務救済 開発途上国の国際収支が悪化し、既存債務の支払いが困難になった場合、支払期限が到来したか、または将来到来する債務の支払いを猶予し、一定期間にわたる分割返済を認めたり(債務繰延:リスケジュール)、これを免除(債務免除または債務削減)すること。
サブサハラ・アフリカ 北アフリカ(モロッコ、アルジェリア、チュニジア、リビア、エジプト)を除く、サハラ砂漠以南のアフリカ。
事業展開計画 国別援助方針の別紙として、実施決定から完了までの段階にある個別のODA案件を、国ごとに設定した援助重点分野・開発課題・協力プログラムに分類して、一覧できるようとりまとめたもの。被援助国および我が国関係者間で共有され、援助の予見可能性を高めることに役立つ資料として、毎年1回更新している。
持続可能な開発のための2030アジェンダ
(2030アジェンダ)
2001年に策定されたミレニアム開発目標(Millennium Development Goals:MDGs)の後継として国連で定められた、2016年から2030年までの国際目標。MDGsの残された課題(例:保健、教育)や新たに顕在化した課題(例:環境、格差拡大)に対応すべく、新たに17ゴール・169ターゲットから成る持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)を策定。7回に及ぶ政府間交渉を経て、2015年9月に国連総会で採択された。
政府開発援助
(ODA:Official
Development Assistance)
(1)ODAとは、OECD-DACが作成する援助受取国・地域のリストに掲載された開発途上国・地域への贈与および貸付のうち次の3つの条件を満たすものを指す。
 ①公的機関によって供与されるものであること。
 ②開発途上国の経済開発や福祉の向上に寄与することを主たる目的としていること。
 ③有償資金協力については、緩和された供与条件のもの(実質的に譲許的でグラント・エレメントが25%以上)であること。
(2)ODAは、無償資金協力、技術協力、有償資金協力、および国際機関への出資・拠出から成る。
政府開発援助大綱
(ODA大綱)
現行の開発協力大綱(2015年2月閣議決定)の前身として、政府開発援助の理念(目的、方針、重点)や原則などを定めたもの。最初は、1992年9月に策定され、2003年8月にも改定されている。
その他の公的資金
(OOF:Other Official Flows)
公的部門による開発途上国への資金の流れのうち、開発を主たる目的とはしないなどの理由でODAにはあてはまらないもの。
卒業国 OECD-DACが定める援助受取国・地域のリストの記載から外れた国。日本は1人当たり所得が一定の水準にあっても特別な脆弱性を抱える小島嶼国等の国々に対する支援を行っていくことが重要との考えから必要な協力を実施。
南南協力 より開発の進んだ開発途上国が、自国の開発経験と人材などを活用して、他の途上国に対して行う協力。自然環境・文化・経済事情や開発段階などが似ている状況にある国々によって、主に技術協力を行う。また、ドナーや国際機関が、このような途上国間の協力を支援する場合は、「三角協力」という。
万人のための教育(EFA) すべての人々に基礎教育の機会提供を目指す国際的取組。主要関係5機関(国連教育科学文化機関(UNESCO)、世界銀行、国連開発計画(UNDP)、国連児童基金(UNICEF)、国連人口基金(UNFPA))のうち、UNESCOがEFA全体を主導する。
貧困削減戦略文書 多くの開発途上国において策定されている貧困削減を達成するための経済社会開発戦略。世界銀行・国際通貨基金(IMF)により、1999年に導入された。教育、保健、食料保障などについて包括的に記述されており、実質的にその国の国家開発計画となっていることが多い。文書は開発途上国政府の主体的な取組(オーナーシップ)の下、援助国やNGO、研究機関、民間部門の代表などの意見も取り入れて、通常3年ごとに作成される。重債務貧困国(巨額の借金を抱えている貧困国)が、債務削減を受けるための条件となる文書でもある。
フィージビリティ調査 立案されたプロジェクトが実行(実現)可能かどうか、検証し、実施する上で最適なプロジェクトを計画・策定すること。プロジェクトがどんな可能性を持つか、適切であるか、投資効果について調査する。
平和の定着 地域紛争の恒久的な解決のために、紛争が完全に終結する前から支援を行い、地域の安定および平和の萌芽を定着させること。具体的には①人道・復旧支援の実施、②和平プロセスの促進、③紛争防止支援を3つの柱としている。
ミレニアム開発目標
(MDGs:Millennium
Development Goals)
国際社会が直面している困難に対して、国際社会全体が2015年までの達成を目指す8つの目標。目標には、極度の貧困と飢餓の撲滅、初等教育の完全普及、乳幼児死亡率の削減、妊産婦の健康改善、環境の持続可能性確保などがあり、その下には、具体的目標を設定したターゲットや指標などがある。毎年、国連はそれぞれの指標の進捗状況を報告書としてまとめ公表している。MDGsの後継枠組みとして、2015年9月に持続可能な開発のための2030アジェンダが採択された。
無償資金協力 開発途上地域の開発を主たる目的として同地域の政府等に対して行われる無償の資金供与による経済協力。国際社会のニーズに迅速かつ機動的に対応するための有効な手段であり、国際社会の安定確保や我が国のリーダーシップ向上に資する大きな政策的こうかがある。
草の根・人間の安全保障無償資金協力 人間の安全保障の理念を踏まえ、開発途上国における経済社会開発を目的とし、草の根レベルの住民に直接貢献する、比較的小規模な事業のために必要な資金を供与する無償資金協力。
日本NGO連携無償資金協力 日本の国際協力NGOが開発途上国・地域で実施する経済社会開発プロジェクトや、災害等復旧・復興支援プロジェクトなどに対する無償資金協力。
水産無償資金協力 多くの開発途上国が自国沿岸海域の漁業資源を排他的に利用する権利の主張を強めてきたことなどを踏まえ、そういった途上国の要請に応じて、水産関係のプロジェクトに対して協力し、漁業面における日本との友好協力関係を維持・発展させることを目的とした無償資金協力。
一般文化無償資金協力 開発途上国における文化・高等教育振興、文化遺産保全などを目的として機材調達や施設整備などを支援するための無償資金協力。政府機関を対象としている。
草の根文化無償資金協力 開発途上国における文化・高等教育振興、文化遺産保全などを目的とした草の根レベルの小規模な事業の機材調達や施設整備などを支援するための無償資金協力。NGOや地方公共団体などを対象としている。
緊急無償資金協力 海外における自然災害および紛争の被災者や難民・避難民などの救援等のために人道的観点から緊急に供与する無償資金協力。
食糧援助(KR) 自国の貧困削減を含む経済社会開発努力を実施している開発途上国に対し、食糧援助規約に関連して行われる食糧援助を実施するために必要な生産物および役務の調達に必要な資金の贈与を行う無償資金協力。
有償資金協力 開発途上地域の開発を主たる目的として資金の供与の条件が開発途上地域にとって重い負担にならないよう、金利、償還期間等について緩やかな条件が付された有償の資金供与による経済協力。開発途上地域の政府等に対して開発事業の実施に必要な資金、または当該開発途上地域の経済の安定に関する計画の達成に必要な資金を貸し付ける「円借款」と、我が国、または開発途上地域の法人等に対して開発事業に必要な資金を融資・出資する「海外投融資」がある。有償資金協力は、無償資金協力と比較して大規模な支援を行いやすく、途上国の経済社会開発に不可欠なインフラ建設等の支援に効果的である。また、途上国に返済義務を課すことで自助努力を促す効果を持つ。さらに、途上国と長期にわたる貸借関係を設定することにより、その国との中長期にわたる安定的な関係の基礎が構築可能。
海外投融資 JICAが行う有償資金協力の一つで、開発途上国での事業実施を担う民間セクターの法人等に対して、必要な資金を出資・融資するもの。民間企業の開発途上国での事業は、雇用を創出し経済の活性化につながるが、様々なリスクがあり高い収益が望めないことも多いため、民間の金融機関から十分な資金が得られないことがある。海外投融資は、そのような事業に出資・融資することにより、開発途上国の開発を支援するもの。支援対象分野は①SDGs・貧困削減、②インフラ・成長加速化、③気候変動対策。
ODAを活用した官民連携
(PPP:Public-Private Partnership)
官によるODA事業と民による投資事業などが連携して行う新しい官民協力の方法。民間企業の知見をODAの案件形成の段階から取り入れて、たとえば、基礎インフラはODAで整備し、投資や運営・維持管理は民間で行うといったように、官民で役割分担し、民間の技術や知識・経験、資金を活用し、開発効率の向上とともに持続可能な形の事業の実施を目指す。
PPPの分野事例:上下水道、空港建設、高速道路、鉄道など。
このページのトップへ戻る
開発協力白書・ODA白書等報告書へ戻る