ODA評価年次報告書2023 | 外務省

ODA評価年次報告書2023

外務省ODA評価結果フォローアップ

2022年度提言への対応策

2022年度に実施した5件のODA評価における提言への対応策は以下のとおりです。

ラオス国別評価

提言1:日本の援助事業の成果を外交力として活用するための広報の強化

ODAは外交上重要な政策ツールであり、国民の理解と支持を得るためにも、ラオスに限らずODA事業の広報の必要性は益々高まっている。その観点から、ラオスにおいて二国間関係の強化の一環として、現地大使館及びJICA事務所は、現地メディア、ウェブページやSNS(Facebook、動画配信等)等を通じて、現地の人々にも日本の「顔が見える」形で広報に努めているが、改めてどのような広報活動がラオスにおいて効果的か検討する。国内広報としては、日本国内の国民の理解を図るべく、ODAホームページ、SNS、ラオスで援助に従事する日本企業の活躍を描く動画を通じラオスの援助事業を発信している。予算の制約があるが、評価結果を参考にしつつ、一層効果的な広報を検討し取り組んでいく。

提言2:財政安定化に向けた知的支援の強化

債務管理アドバイザーを中心に、JICAラオス事務所においても世界銀行、アジア開発銀行(ADB)、国際通貨基金(IMF)やその他機関と個別に協議を行っており、同アドバイザーの活動の他、歳入面で財務や税関分野への協力を軸に各ドナーとの協議を行っている。引き続き他援助機関と協力・連携して財政安定化に向けた支援を強化する。

他方で、ラウンドテーブルプロセスにおけるドナー会合の既存の枠組みと、ガバナンスやマクロ経済にかかるセクターワーキンググループ共同議長の取組を尊重しつつ、窓口役を新たに買って出るのではなく、メンバーとして積極的に役割を果たすこととしたい。(日本は保健、インフラ等他のセクターワーキンググループにおいて調整役を担っている。)

提言3:中国の援助との実質的な相乗効果を戦略的に追求

中国を含む他国支援による開発状況を踏まえた産業支援及び教育支援について、次期国別開発協力方針(及びJICA国別分析ペーパー)の検討に際してその取扱いを考慮する。

タジキスタン国別評価

提言1:国際機関連携無償案件におけるモニタリングの強化

在タジキスタン大使館及びJICAタジキスタン事務所は、実施中及び実施予定の国際機関連携無償案件が多数あるためその現状を改めて整理する。また、国際機関に対し、定期的進捗状況報告に加え、特に遅延や実態との乖離等の問題が発生している場合には、対面等での説明及び文書での改善を求め、その内容を本邦の担当部署に報告する。

国際機関側の事務的負担に鑑み、日本独自の報告書フォーマットの作成・提出は求めないものの、本国別評価報告書での提言を踏まえ、要請書の作成段階から、アウトカム、インパクト等を記載し、それに基づいた報告書の作成を求める等の改善策を検討する。

提言2:保健分野における日本の案件と保健システム改革との相互補完性

JICA事務所は引き続き月例ドナー調整委員会保健会合等のワーキンググループに参加し、JICAが2018年のタジキスタン国別分析ペーパーにより打ち出した「保健システム強化」の考え方に基づき、世界保健機構(WHO)が提唱している「保健システム改革」の具体化に向けて、実施中のハトロン州での「保健サービス強化」に係る活動のグッドプラクティスを、これまでよりもさらに積極的に保健社会保護省や政府関係機関、ドナーコミュニティに打ち出すことで、同プラクティスの全国展開を通じたシステム改革への貢献を一層、明確に位置づけていく。

トルコ国別評価

提言1:防災関連協力の継続

多くの自然災害による被害を乗り越えてきた日本の経験及び知見を活かした協力を継続する。特に、2023年2月6日のトルコ南東部を震源とする地震被害からの復旧・復興に向けた協力を検討する。

提言2:気候変動対策関連の協力の強化

トルコ政府によるパリ協定批准(2021年)を踏まえ、産業分野の低炭素化等、日本が比較優位性を持つ分野を中心に、トルコの気候変動対策の強化に資する協力を検討する。)

提言3:人的交流(本邦研修)の促進

技術協力を通じた本邦研修やJICAによる招へいの機会を追求するとともに、帰国研修員による同窓会の継続的な支援を通じ、JICA研修の経験及び知見の伝播とネットワークの維持に努める。

提言4:トルコとの三角協力プログラムの連携拡大・促進

日本の知見の活用や普及・拡大が期待される分野、地域の安定化に資する分野、日本のプレゼンスや高いビジビリティが見込まれる分野を中心に、トルコの文化的・宗教的な親和性も考慮しながら、トルコ国際協力事業団(TIKA)及び他のトルコ政府関係機関と連携し、第三国研修等の更なる実施を検討する。

提言5:現地での広報活動の強化

これまでも実施しているSNSを活用した広報やプレス関係者を対象とした視察ツアーについては、より効率的、効果的な広報活動を実施する観点から、現地での他国の事例も参考にしてトルコ国民への理解を深めるなど、今回の評価で得られた視点にも留意しつつ、引き続き実施する。

提言6:開発協力方針の改定時期の再考

トルコの第12次開発計画の発表後に、対トルコ共和国国別開発協力方針の改定を行う。

提言7:JICA現地事務所の専門性強化に向けた方針の検討

円借款の調達の手続等、特に専門性が高い分野については、JICA本部の専門部署等を含めてJICAトルコ事務所をバックアップする体制とすることについて、トルコ側関係機関に周知するとともに、円滑なコミュニケーションを継続する。

平成28年度対キューバ無償資金協力「経済社会開発計画」の評価及び
平成29年度対キューバ無償資金協力「経済社会開発計画」の評価

提言1:交換部品の調達による機材の継続的な運用

通常、経済社会開発計画では、メーカー、被援助国実施機関及び調達代理機関との協議において、運用計画及び各国の事情に応じて適切な量の交換部品を含んで調達を実施しており、本件も同様。他方、新たな無償資金協力を実施する場合には、キューバ政府における部品の調達の制約に鑑み、本事業の継続的な効果発現のために実施可能な方策についても検討する。

提言2:廃棄物減量と新最終処分場の確保についての周辺国の経験を踏まえた検討

廃棄物減量と処分場の確保について、キューバ自身が現実的な解決策を検討するにあたり、日本が周辺国への同分野支援において得た知見・経験を最大限に活用し、技術協力等を通じてキューバが周辺国の経験から学ぶことができる方策を検討する。

提言3:キューバの国際収支をめぐる状況の改善に資する支援の検討

日本の国益の観点からは、キューバの債務返済が重要であり、返済状況を注視しつつ、キューバの国際収支状況の改善を図る包括的な支援として何ができるかを検討する。

このページのトップへ戻る
ODA評価年次報告書へ戻る