ODA評価年次報告書2020 | 外務省

ODA評価年次報告書2020

編集後記

2020年12月現在、新型コロナウイルス感染症が依然世界中で多くの人々の暮らしや仕事に影響を与えています。新型コロナウイルスは私たちが想像しなかった形で、有無を言わさず、私たちを揺さぶり行動変容を求めました。

ODA評価についても同様で、海外への渡航制限やテレワークの拡大を受け、この新型コロナウイルスの影響下でいかに評価を実施するか、模索を続けています。目下の最大の課題は、対象国への現地出張が実施できないことです。これまでODA評価では一次情報を得るための現地出張調査を組み込んでいましたが、今回は見送りを余儀なくされています。協力現場に足を運んで状況を確認し、政府関係者や住民に会って直接話を聞くという機会が得られない状況をどう克服するか。テレビ会議システムでのインタビューや現地コンサルタントの活用など、それぞれの評価チームが工夫して取り組んでいますが、実際にその環境に身を置き、五感を通して多面的に情報を得ることができる現地出張と比べると、情報の量や質が限定的との悩みの声があがっています。

その一方で、今回の経験を通して効果的な遠隔調査の方法を見いだすことができれば、これまで治安上の問題で評価の実施を見送っていた国々についても評価の可能性が広がるかもしれません。また、新型コロナウイルスとの共生で開発・整備が加速化しているデジタル技術を活用することで、効率的で効果的な評価の選択肢が増えるのではないかとも期待しています。

先の見通しが不透明な今、状況に応じてできることを考えて取り組んでいくことが大切であり、そうした努力は必ず後に生きてくるものと思います。ODA評価においてもODA事業と同様に、経験から学び、それを次に生かして改善するというプロセスを実践していきたいと考えています。

大臣官房ODA評価室長
西野恭子 

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