ODA評価とは?
日本は、国際社会の平和と安定及び繁栄の確保に貢献することを目的に、政府の資金によるODA(政府開発援助)を手段として、開発途上の国々に対する開発協力を推進しています。
ODAの実施状況とその効果を確認・評価する作業がODA評価です。
ODA評価の目的は2つあります。実施状況やその効果を検証し、ODAを効果的かつ効率的なものへと改善していくこと。そして、評価結果を公表することで、国民への説明責任を果たすとともにODAの透明性を高め、国民の理解を促進し、その支持を高めることです。
実施体制
日本のODAは、外務省が政策を企画・立案し、主に独立行政法人国際協力機構(JICA)が個々の事業の実施を担っています。ODAの評価についても、外務省とJICAが相互に連携しながら役割を分担して実施しています。
日本のODA評価は、2002年に施行された「行政機関が行う政策の評価に関する法律」(政策評価法)に先立つ1975年以来着実に実施されており、経済協力開発機構開発援助委員会(OECD/DAC)をはじめとする国際的なODA関連機関とも連携して評価の枠組みを発展させてきました。
現在、外務省では、主にODAの政策全体を視点とした評価を外部の有識者などに委託する形(第三者評価)で実施しています。一方、JICAは自らが実施を担う個々の事業を対象とした評価を中心に実施しています。
外務省は、開発途上国の評価能力向上を目的とした支援も実施しています。
この年次報告は、政策評価法に基づく評価とは別に外務省が実施するODA評価を扱っています。
ODA 評価結果の活用

ODA評価により得られた評価結果及び提言は、ODA政策の企画・立案を担当する外務省や、個々のODA事業の実施を担当するJICAなどの関係者に真摯に受け止められ、将来のODA政策の企画・立案及び事業の実施に活用されることが肝要です。
このため、評価終了時には、評価者が外務省関係者に対し直接評価結果及び提言を報告します。評価実施翌年度には、外務省(在外公館を含む)及びJICAが連携し、提言に対し具体的にどのように対応する方針か「対応策」を策定しています。また、この対応策が1年後どのように実現したかを確認する機会も設け、いずれの内容もこの年次報告の中で公表しています。
これらを通じ、外務省は、ODA評価の目的である「ODAの管理改善」と「国民への説明責任」を果たしています。
評価対象

外務省の実施するODA評価は、評価の対象によって、フィリピンなど特定国・地域に対するODA政策を評価する「国別・地域別評価」、教育、保健、環境など特定の課題に関するODA政策の評価や技術協力、無償資金協力など日本の援助形態(スキーム)を評価する「課題・スキーム別評価」などに分類されます。
また、2017年度からは、外務省が実施する無償資金協力のうち供与限度額が10億円以上の個別事業を対象とした事後評価も、第三者評価の形で実施しています。なお、供与限度額2億円以上10億円未満の個別事業については、内部評価を実施し、結果を公表しています。
ODA 個別評価報告(内部評価)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ms/oda/page24_000056.html
評価の視点/評価基準/検証項目
外務省ODA評価(第三者評価)は、支援を受ける国の開発にどの程度役立っているか(開発の視点)に加え、評価対象となるODA政策が日本の国益にとってどのような影響があるか(外交の視点)という2つの視点から評価を行っており、評価基準は以下のとおりです。
1 開発の視点からの評価
国際的に認知されている経済協力開発機構開発援助委員会(OECD/DAC)の設ける6つの評価基準(妥当性、整合性、有効性、インパクト、効率性、持続性)を基礎として、日本のODA政策全体を評価するのに相応しい以下の評価基準に発展させてきています。また、それぞれの評価基準ごとに具体的な検証項目を設定しています。
政策の妥当性
日本の上位政策(開発政策、人道政策、教育政策など関連する政策の一貫性を含む)、支援を受ける国のニーズ、国際的な優先課題と合致していたか、他国と比較して、日本が比較優位を持つ内容であったか、など。
結果の有効性
当初の目標・目的がどの程度計画どおりに達成され、具体的にどのような効果があったか、など。
プロセスの適切性
ODA政策を企画・立案・実施するプロセスや実施体制は適切であったか、他の支援主体との効果的な連携は行われていたか、など。
2 外交の視点からの評価
外交的な重要性
国際的な優先課題の解決、二国間関係の強化、日本の安全・繁栄などにとってどのような点で重要であったか。
外交的な波及効果
国際社会における日本のプレゼンス向上、二国間関係の強化、日本の安全・繁栄などにどのように貢献したか。

ネパール 人工呼吸器技術指導
写真提供: JICA